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異様な友だち

大人になれば友だちとの関係性も変化する。
私も例外ではなく進学や就職等で疎遠になったままの友だちも多く、そんな中で今でも仲良くしてくれている友だちが数人いる。

ルカとは高校2年生で同じクラスになったのをきっかけによく遊ぶようになった。活発な女の子で友だちも多く彼氏も絶えずいた。根っからの美人というわけではないが愛嬌で勝負しているタイプだ。高校卒業後は疎遠になりかけたが就職で地元に戻ってきたことをきっかけに仕事終わり等、時間が合う時にご飯に行ったりしている。

社会人5年目になろうかとする頃、私は仕事に行けなくなった。体調不良が続いていたのもあって精神的に弱っていき、最後はいわゆる適応障害と診断を受け、仕事は辞めた。

精神的に参っている時に家族以外と会うのは気が引けた。会う気力がそもそもないし心配かけたくなかったのもある、なんせ私はプライドが高い。

数ヶ月後、ルカと久しぶりに会うことになった。ちょっと遠いけど美味しいパン食べに行こうよ、全てが丁度いい誘いだった。

ルカの車に乗り込み、目的地のパン屋のこと、車中で流れている音楽のこと等たわいもない会話をした。避けても通れないのが私の話題だ、話したくないならいいよとは言われたが、誘ってくれた手前、なにも触れないのは申し訳なかった。概要をさらっと話し、今は調子がいいことも伝えた。「よかった、心配してたよ」と運転しながら言ってくれた。

続けてルカは「というのも、このあいだショウタが自殺未遂をしたからなんだよね、だからこそ心配だった」と

衝撃だった、同じく高校の同級生のショウタはルカと仲が良く本人たちの認識と違うかもしれないが側から見るとマブダチだ。私は何回かルカに混じり遊んだことがあるくらいではあるが、なにがあったのだろうかと心配になった。

だがよく考えるとそんなマブダチの大事なことを私にさらりと言ってのけた彼女、こいつ口が軽い。
急に私のことも誰かに広めてはなかろうかと不安になってパンの味なんか覚えていない。SNSでルカが私の知る誰かと遊んでるのを見るたびにその不安な気持ちは跳ね上がった。

そんな話を最近、同じく高校の同級生で2人を知るアカリに喫茶店で私はコーヒーを味わいながら話していた。「ショウタが自殺未遂した話を私にしてきたんだよ、いくらなんでも口が軽いよ」と

異様なのは私だ。


#創作大賞2024 #エッセイ部門

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