辛かった時、抜け出せたきっかけ
今から12年前の12月1日に母が急逝し
いろいろな問題が浮かび上がって来ました。まるで溜め込んでいた膿が出てきたかのように。
そんな中、ヴァイオリンのレッスンを再開した私は、
ある日のレッスン帰り、
ヴァイオリンを背負ったまま街中を歩きまくりました。
路地という路地を、目的もなくただ黙々と。
歩く事で何か得られるだろうとか、
頭がスッキリするかもとか、
そういう明確な目的があった訳ではなく、
歩かずにはいられない。
それ以外の行動がとれないという感じだったと思います。
それで、無心になっててくてく歩き続けていたら、
最初は虚ろな気持ちで歩いていたのが、
「あれ?こんなところにお店がある」
とか、
小さなマンションのベランダに
ヨーロッパの窓でよく見られるように
綺麗に鉢植えのお花が飾られている事に気づいたり、
ジャズが流れているお店の前に
のんびり座っているおじいさん(たぶん店主)がいたりするのを
微笑ましく見ている自分がいました。
ふと気付くと、
知らない古本屋さんが目の前に。
しかも、店先の看板に、「コーヒーと古本」て書いてある。(どちらも大好物)
お店の前の本棚に陳列されていた1冊の本が気になり手に取りました。↓
ページをめくると、
この喫茶店の絵が目に飛び込んで来ました。
うわ、、好きだ、この絵。
絵に疎く、絵を見てそんな風に感じたのは初めてだったかもしれません。
これは、阿佐ヶ谷にある名曲喫茶「ヴィオロン」の入口が描かれた絵だと書いてある。
野津手(のって)重隆さんという方の水彩画。
なんて素敵な喫茶店♬♬
説明書きを読むと、
なんと、この絵のモデルになったお店が現存するというのです。
行ってみたい‼︎‼︎‼︎
そう思った私は、その本を持ってお店に入り即購入。
珈琲も飲み、
店主さんともお話し
久々にとてもいい時間を過ごしたのです。
……
アレ?
私、なんだか楽しんでる。
どん底だと思っていたのに。え。
こんな状態
でもまだまだ楽しめるんだ!と、自分でとてもびっくりしました。
「歩く」事は体にいい、というのは
わかっていたけれど、
体にいいだけではないんですね。
辛い時こそ、「歩く」事で
何か違う世界が見えてくるのかもしれない。
「散歩」は良いとよく耳にしていたけれど、
こういう事だったのかと、その時体感したのです。
そして数年後、
私は、本当に
その喫茶店に行く事が出来ました。
そのお話はまたいつか。
ここまで読んでくださり
ありがとうございました❤︎