週末お遍路さん(39):お遍路さん関連エピソード満載!石手寺さん
またしても超個性的な名前の、51番札所石手寺さん。なんでこんな名前?には、お大師さま伝説が深く関係しているのです。
その昔、伊予の豪農だった衛門三郎さん。お金持ちだったけど、ケチでイヤなヤツだったらしく、ある日托鉢に訪れたお坊さんを無下に追い返す。でもお坊さんは、翌日も翌々日も衛門三郎の家を尋ね、8日目、衛門三郎はお坊さんが差し出す鉢を壊してしまった。鉢は8つに割れ、お坊さんもその日から衛門三郎の元を訪れることはなくなった。
そしてその年から、8人いた衛門三郎の子どもが毎年一人ずつ命を落とし、ついに全員亡くなってしまう。
打ちひしがれている衛門三郎の枕元にお大師さまが現れたことで、托鉢に訪れたお坊さんはお大師さまだったと気づいた衛門三郎。懺悔のため、全ての家財を売り払って四国巡礼の旅をしながらお大師さまを探すが、20周してもお大師さまには会えない。21週目、今度は逆周りで巡礼をしていたところ、12番札所焼山寺近くで病に倒れてしまう。
死の淵にいた衛門三郎の前にとうとうお大師さまが現れ、衛門三郎は泣いて非礼を詫び、「来世は人の役に立つ人間になりたい」と残して息を引き取った。そしてお大師さまは、その手に「衛門三郎」と書いた石を握らせる。
そして翌年、伊予の国に男の子が生まれるが、左手を握ったまま開こうとしない。さて困ったと近所のお寺で祈願してもらったところ、男の子の手が開き、中から「衛門三郎」と書かれた石が現れた。衛門三郎の生まれかわりとなった男の子が握っていた石は寺に納められ、後年「石手寺」と名を改めた。
というエピソードにまつわる、石手寺さん。
お大師さまは今でも四国を巡って修行しているから、四国を巡ればいつかはお大師さまに会えるという信仰や、逆打ちの元祖となるエピソード、とも言われているそうです。
そして、石手寺の宝物殿には、この時に男の子が握っていた石があるらしいじゃないですか!
いや、それは見たいっしょ!
境内もめちゃ広くて、見所もたくさん!
ちなみに、石手寺の名物は「やきもち」。それも食べなきゃいけない。
というわけで、私たちもたっぷり時間を確保。
ミシュラン・グリーンガイドにも選出されたことがあるという境内は、そらもう素晴らしいのひと言なのですが、なんか、改めて調べてみると、すっごいいろいろ見逃してるな!という気しかしない。
こういう見逃しも、お遍路2週目したくなるかも?につながるのかも!
とにもかくにも、世界一とも言われているらしい立体曼荼羅に度肝を抜かれ、境内のど真ん中にある立派な松に感動し、そして遠くに見える、バカでかいお大師さま像。
そして、ここにも「マントラ洞窟」あり。
昨日の岩屋寺さんに続き、洞窟2連チャン。
せっかくだから行ってみよう、と、私が先陣を切って挑むことに。
左側通行で奥まで行って帰ってくる、という作りなのですが、細い洞窟内に転々とお地蔵さまがいらっしゃったり、なんか急に登場する中間地点にいきなりお不動さまがいたり、暗くて怖い、というのもあるのですが、別の恐怖心も煽られるような場所。
煩悩捨てきれていないからそう思わされるのか、煩悩だらけの人間は、なんとも言えない恐怖心を掻き立てられる洞窟でした。
怖くて写真なんて撮れたもんじゃないよ!
すれ違うお地蔵さまに、常に「あ、お邪魔しておりますー」「すいません、失礼いたしまますー」「すいません、お騒がせしておりますー」と3人でご挨拶しつつ、長さ160メートルの洞窟を往復。
ひとりで来てたら、絶対入ってないわ!!ここ!!
だって怖いもん!!!
岩屋寺の洞窟も怖かったけど、石手寺の洞窟はカオスを感じるの!!!
マントラ洞窟から無事に帰還したら、私たちが楽しみにしていた宝物館へ。握ってた石、しっかり見なきゃいけないしね!
コンパクトな宝物館でしたが、お寺に伝わる貴重な文献から、昔のお遍路さんの納経帳など、興味深いものもたくさん。
そして境内には仏陀の生涯を描いた彫刻があったりと、正直、見所が多すぎてお腹いっぱい。
参道に戻り、「やきもち食べましょ……」と、焼きたて熱々のやきもちを頂きました。
粒あんを薄い皮で包んで、鉄板で焼いた素朴なやきもち、めっちゃ美味しかった!
ちなみにTOP画像は、世界一巨大?な立体曼荼羅。
Oちゃんの後ろ姿との対比で、そのバカでかさを感じてください。
今日は52番太山寺さんにお邪魔して、そのままお宿に向かうのみ。
なんか、濃厚な1日だったぜ……。