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映画のはなし:10月といえば『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』

これまた強烈に好きな作品。
登場キャラクターの人形を1コマずつ撮影し、動いているように見せるコマ撮りのストップモーション・アニメに分類されるのですが、ティム・バートンらしさが全面に出ている、ファンタジーでホラーな作品。要所要所で各キャラクターによるキャッチーな歌もあり、それも大きな大きな魅力。

ティム・バートンの世界観、ホントに大好きなんだよな~(ノーラン監督の『ダークナイト』トリロジーも好きだけど、やっぱり初代『バットマン』+『リターンズ』が好き)。

さて、毎年、「『ナイトメア~』はハロウィン映画かクリスマス映画か?」と悩んだりするのですが、個人的に10月になると「今年もジャック・スケリントンの時期が来ましたね!」と観返しているので、ハロウィンでいいのでしょう。
東京ディズニーランドもハロウィンの時期になると、ホーンテッドマンションが『ナイトメア~』仕様に変わるし。

しかししかし!!

我が物顔でホーンテッドマンションを『ナイトメア~』使用にしていますけどね、ディズニー作品ですよ感を全面に出されていますけどね、

いろいろあったじゃないですか!!!!

と思うわけですよ。

そして世の中的にティム・バートンの監督作品だと思われてますけど、実は監督はヘンリー・セリック(『コララインとボタンの魔女』)なんですよ。
なのに、正式な原題は『Tim Burton's The Nightmare Before Christmas』。 
「Tim Burton's」って言っちゃってるの。
間違ってはいないんだけど。

この作品、ホントにいろいろ複雑。

ハロウィンやクリスマスなど、それぞれのホリデー世界が存在する場所。ハロウィン・タウンの王ジャック・スケリントンは、毎年変わらない怖くてゾクゾクするハロウィンを祝うことに虚しさを感じていた。
しかしジャックは、ひょんなことからクリスマス・タウンに迷い込む。そこで目にしたのは、サンタクロースのプレゼントに目を輝かせる子どもたちが溢れかえり、キラキラと輝き恐怖のない「クリスマス」という世界。
「これはなんだ!?」と驚きながらもジャックはクリスマスに憧れを抱き、ハロウィン・タウンでもクリスマスをやりたいと考えた。
ジャックはハロウィン・タウンの住人達に自分が見てきたクリスマスについて説明するが、「サンタクロース」を「サンディ・クローズ(鋭い爪を持つ男)」と説明してしまう。ハロウィンしか知らない住人達総出で、ジャックが想像するクリスマスを作り上げようとするが……。

原作+キャラクターは、ティム・バートンがディズニーで働いていた時代に作成。で、ディズニー側に「これ作りたいんですけど~」と企画提案したら、「こんな不気味な映画、ディズニーではムリムリ」と断られてしまった(ティム・バートン直筆のキャラクターは人形よりさらに不気味)。
しばらく寝かせていたらしいのですが、あるとき「長編映画で作りましょか」と企画が再浮上。だがしかしその頃のティム・バートンはすでに映画監督として人気になっており、『バットマン リターンズ』の撮影で大忙し。
というわけで、原作+キャラクターはティム・バートンが作り上げたものがあるので、ヘンリー・セリックが監督を担当した、という流れらしい。
「映画」としてはセリックが大半を作り上げて、ティム・バートンはほとんど手を出していないらしいです。

そんでもっていざ公開に向けて動きはじめたら、今度はディズニーさんが「やっぱり暗いし不気味だし、子ども向きじゃないっすよね!」ということで、ディズニー名義ではなく、タッチストーン・ピクチャーズ(ウォルト・ディズニー・カンパニーだけど、夢の国ではなく大人向けの映画も制作。『天使にラブ・ソングを…』『いまを生きる』『アルマゲドン』など)名義で公開した、という作品です。

だいぶ端折りましたが、詳しくはNetflixさんの『ボクらを作った映画たち』というドキュメンタリーのシーズン3に『ナイトメア~』を取り上げた回があるので、そちらをぜひ。
とっても面白いドキュメンタリーです。

ティム・バートン好きとして、もちろんジャックをはじめとする登場キャラクターも大好きなのですが、やっぱりこの作品で外せないのは、ダニー・エルフマンによる音楽。
ちなみに元バンドマンのエルフマン、ジャックの歌声も担当しています。

ヒロイン(?)であるサリーの声&歌を担当したのは、キャスリーン・オハラ(『ホーム・アローン』のお母さん)。キャスリーン・オハラはサリーだけじゃなく、作中に出てくる悪ガキ3人衆のひとり、ショックの声も担当。悪ガキ3人(ロック、ショック、バレル)のうちの一人はダニー・エルフマン、もう一人はピーウィー・ハーマンことポール・ルーベンス。
豪華!

とにもかくにも、ポップでファンシーな曲の中にも、同じハロウィンを繰り返すだけに虚しさを感じるジャックの心情を歌い上げる「Jack’s Lament」、オールド・ジャズのような「Oogie Boogie’s Song」などなど、中毒性のある曲が盛りだくさん。もちろん、映像と掛け合わさると、さらにクセになる。
『ナイトメア~』の曲は高校生の頃から大好きで、もちろんサントラも買ったし、歌詞も覚えるくらいに聞き込みました。

そんな『ナイトメア~』、カルト的な根強い人気に後押しされて、今のようにディズニーランドのハロウィン時期に登場する人気作品に出世したのですが……

なんかさぁ、都合よすぎじゃない?

なんて思ってしまうのです。
二度もダメだししておいて、やっぱり人気あるからハロウィンの目玉にしちゃお、グッズも作っちゃお、みたいな感じがどうしても否めない……。

確かに『ナイトメア~』が人気になってくれて私はうれしい!うれしいよ!!

ジャックのグッズを持っていて「え?なにそのドクロ」とか言われていた時代と比べると雲泥の差ですよ。
「ナイトメアだね」って言ってもらえるようになりましたからね。

でもさぁ、なんかさぁ……。
こう、釈然としないというかさぁ……。

推しがメジャーデビューしたときの複雑な感情って、こういうことなのかしら。

そして今朝、TwitterのTLに流れてきたこのツイートで、この気持ちを再認識しましたよね。

もうさ、こういうことなのよ。
節操なくライセンス商品出してんじゃないよ!!!

かわいいじゃないか!!!!!!


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