チャリンチャリン太郎
わたしが愛したのは諭吉だった。なのに振り向いてくれなかった。
「所詮は薄っぺらいやつだぜ」
この人は、わたしにまとわりつく男。いつもチャリンチャリン言っている。
「あの人は、あなたとは桁違いだわ。放っておいてよ」
昼も夜も、諭吉を想って泣いた。
泣きすぎて心が乾いた時、あいつがチャリンと自販機でポカリを買ってくれた。心があまりにも重たくなって荷物になると、あいつがチャリンとコインロッカーに預けてくれた。
だからといって、好きになったりしないけど。
「名前だけは聞いておくわ」
「俺の名は……
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