毒舌寿司
生ものだから、鮮度には気を付けなきゃいけないけれど、食べたそばから舌が痺れた。だから少しずつ、毎日少しずつ。ほんの一、ニ貫ずつ口にする。慣らさなければ、少しずつ。
そのうち舌に、刺激はなくなった。
「今夜きっと」
貴方がドアを開ける。
おかえり、わたしの愛しい人。何年ぶりかしら、こうして貴方を迎えるのは。
首に回った貴方の手が、力を失くして垂れ下がる。
「大丈夫よ、わたしもいくの」
最期に貴方に絡めた毒を、噛み切ってわたしも逝くの。
生ものだから、鮮度には気を付けなきゃいけないけれど、食べたそばから舌が痺れた。だから少しずつ、毎日少しずつ。ほんの一、ニ貫ずつ口にする。慣らさなければ、少しずつ。
そのうち舌に、刺激はなくなった。
「今夜きっと」
貴方がドアを開ける。
おかえり、わたしの愛しい人。何年ぶりかしら、こうして貴方を迎えるのは。
首に回った貴方の手が、力を失くして垂れ下がる。
「大丈夫よ、わたしもいくの」
最期に貴方に絡めた毒を、噛み切ってわたしも逝くの。