#14 『暮らしの費用』と『楽しみの費用』から考える農産物の価値
こんにちは、青森でいちご農家兼書道家をしているまゆみです。
出費には「暮らしの費用」と「楽しみの費用」という二つの種類があると思っています。
暮らしの費用は、成果物を作るために必要な道具や資材、生活を維持するための日用品などががこれに当たります。たとえば洗剤、鍋、仕事用の工具とか。
楽しみの費用は、楽しむための出費。飲み会やカフェのコーヒー、映画館のポップコーンとかが典型例。たまに高めの消耗品を買うのも、このカテゴリに入ると思います。
最近の私はこの二つに財布の紐の緩さの違いを感じているのです。
暮らしの費用<<<<楽しみの費用
暮らしの費用にはけっこうシビアになれます。買う頻度も多いし、値段を見て「もっと安いのないかな」と相見積もりを取ることも多い。けど楽しみの費用にはつい手が伸びる。コーヒー1杯、イベントの食べ物、あっという間に「ちょっとくらい」と買ってしまう。
ここまではよくある話。けど、農家になってからちょっとモヤモヤしてきたことがあります。
私が携わっているのはいちご。ハウスの整備は6月から始めました。それから半年以上かけて、やっと収穫できるのが12月半ば。そこまで時間をかけて育てたいちごだって、スーパーでは1パック600円〜1,000円程度。消費者としては「高いな」と思うけど、生産者としては「もっと高く買ってほしい」と思う。この矛盾がずっと心に引っかかっています。
たとえば、いちごはまだ「ちょっと特別」って思われることもあります。
けど、じゃあほかの野菜は?大根は?きゅうりは?
暮らしの費用扱いされる生鮮品は、「少しでも安く買いたい」と思われるのが普通だ。その普通が、果たして正しいのか?答えはまだ出ていません。
けど一つだけ言えるのは、自分が農家になったことで「地場野菜」を少し高くても買うようになったということです。
スーパーの野菜だって、高いといってもコンビニコーヒーや私の無駄遣いの総額よりは安い。なら、少しでも生産者の努力に報いたいと思うようになった。
もしかしたら、それは単なる自己満足かもしれないけど、それでも私は「暮らしの費用」にカウントされがちな野菜にも、楽しみの費用的な価値を感じたい。ただの食事じゃなくて、その裏にある「体験」を買う、みたいな。こんなことを考えています。