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海外で働く魅力と現実 アジアとアメリカで働いて子育てして思うこと

海外に出て30年を超えました。

私はイギリスへ留学したことで「世界は日本だけではない」と実感し、それ以来ずっと海外に魅了されてきました。地元(茨城)の大学を卒業した当初は、就職先として東京しか考えていませんでしたが、イギリス留学を経て英語を習得し、世界中の人々とコミュニケーションが取れるようになったことで、より広い世界を意識するようになりました。

最初は英語を活かせる仕事や海外の人と一緒に働く環境を求めていました。

東京で就職した会社では、アメリカ人の同僚がいて、外資系企業向けの営業を担当しましたが、それでも常に「もっと英語を使う仕事がしたい」という思いがありました。そんな時、香港に4泊5日の小旅行に行き、その活気に圧倒されました。当時の香港はまだイギリス領で、英語が公用語の一つとして使われていたこともあり、「ここなら英語を活かしながら働ける」と直感し、単身香港へ移住しました。


100万ドルの香港の夜景

香港での生活とキャリア

香港で働く魅力は何といってもその活気です。

人々は仕事熱心で、キャリアアップを目指し常に学び続ける姿勢を持っています。街は24時間眠らず、夜遅くまで営業しているレストランやバーも多く、特に単身者にとっては楽しめる環境でした。現地での友人も、欧米圏の人々や英語を話せる香港人が多く、仕事だけでなくプライベートでも国際的な交流が広がりました。

しかし、香港での生活は決して楽なことばかりではありませんでした。最初は収入も少なく、水回りの悪い小さなアパートに住み、騒がしい街の中で過ごす日々。特に体調が悪い時や精神的に疲れている時は、孤独を感じることもありました。それでも、香港の人々の向上心に刺激を受け、資格取得や語学学習に励みながら、自身のキャリアを築いていきました。

また、香港は日本から近く、仕事の出張を兼ねて年に2回ほど日本に帰ることができたのも大きなメリットでした。香港で22年を過ごし、第二の故郷と思えるほど現地に馴染むことができたのは、香港人や世界中から集まる人々との出会いがあったからこそです。

香港での子育てとワークライフバランス

香港で子供3人を出産し、子育ても経験しました。香港やアジア圏では、住み込みのヘルパーを雇うことが一般的で、家事や育児を任せることで、フルタイムで働くことができました。特に仕事と育児の両立を求めるキャリア志向の人にとっては、こうしたサポート体制が整っているのは大きなメリットです。

しかし、子供が成長するにつれて、より落ち着いた環境で育てたいという思いが強くなりました。特に「ヘルパーに頼るのではなく、自分たちの手で子供を育てたい」という考えから、家族でアメリカへの移住を決断しました。

私の住むアーバイン

アメリカでの暮らしとキャリアの違い

アメリカに移住し、まず感じたのは「生活のゆとり」と「家族を優先する文化」でした。企業の多くは家族を大切にする価値観を持ち、フレキシブルな働き方が可能です。例えば、コロナ禍の前からすでにリモートワークを取り入れている会社もあり、子供の送迎をする父親の姿も珍しくありません。朝は早いですが、夕方4時台に退社する人も多く、ワークライフバランスが取りやすい環境です。

一方で、アメリカは物価が高く、西海岸は特に住宅費が高騰しています。特に日系スーパーや和食レストランが多い地域は便利ですが、その分生活費もかさみます。また、銃社会という側面もあり、治安に不安を感じる人もいますが、私自身は8年間アメリカで生活する中で、銃犯罪に巻き込まれたり、身近で銃の危険を感じたりしたことはありません。

しかし、アメリカには別のリスクもあります。例えば、最近ではロサンゼルスでの山火事がおきました。今でも家がなく、仮の住宅で生活をしている人たちがたくさんいます。アメリカは広く、色々な地域で自然災害は起きるのです。常に防災意識を持って生活する必要があります。それでも、こうしたリスクを恐れていてはどこにも住めません。どこに住むにせよ、それぞれの環境に適応し、対策を講じながら生活することが重要です。

最後に

海外に出てから、日本に長期的に住みたいと思ったことは一度もありません。ただ、親との距離があることで、将来的に何かあった時にすぐに帰れない辛さはこれから経験するかもしれません。それでも、アメリカでは様々なバックグラウンドの人々と出会い、子供たちも国際色豊かな環境で育っています。
海外での生活は決して楽なことばかりではありませんが、その分得られるものも多いです。新しい環境に飛び込むことで、視野が広がり、人生の選択肢も増えていきます。これから海外で働くことを考えている人にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。


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