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あなたの魅力を語る言葉は、それで正解?
毎日毎日、何らかの文章を書いて暮らしているのですが、
言葉って使いよう。ツールだよなぁ
とつくづく思います。
フォトグラファーがNikonやCanonのカメラを使って写真を撮っても、
あがる写真は十人十色であるように、
使える平仮名やカタカナの数はみんな同じ条件であるにもかかわらず、
編み出される世界観の、なんと異なること。
私は、毎週「Vogue girl」のLINEから配信される「しいたけ占い」が大好きなんですが、
正直、占いを信じているかと言われれば、そこまで心酔することはありません。
読んでも30分後にはほとんど忘れてしまう。
けれど、しいたけ.さんの筆力、文章の魅力は素晴らしいと思うし、
一種、週ごとに展開される連載小説を心待ちにする気持ちで
蠍座の今週の“気のもちよう”を指南していただこう、と読んでいます。
しいたけ.さんのチアフルな文体、パッションに溢れる口調、にも関わらず少し引いてモノを見る観察眼は魅力ですが、
何よりもいいなぁと思うのは、
彼が自身の文章で表現を楽しんでいる
ということではないでしょうか。
今週、「発信したい」のイエローが出ています。蠍座の人ってある意味、毎日誰かに向けて何かを伝えていないと気が済まないところがあるって思ってるんですが、それを指摘されても「そう、私は発信が生き甲斐なんです。なにか?」って明るく言い返せる、そんな強さとしたたかさをあわせ持つ性分なんですよね。今週は他の人のnoteに引きずられることなく、「イエローな私はこう言いたい!」という主張をどんどんしていっていいです。
これ、しいたけ.さんの文体を真似て、
今、noteを書いてる自分を表現してみました。
(しいたけ.さん、失礼をお許しください)
こうして真似っこしてみると、
彼がいかに、正しい文章を書くことだけにとらわれず、
自身の思いに従って、楽しい策略を胸に秘めながら文章を書いているかが、なんとなく感じられます。
巨匠、村上春樹さんの文章も、同じ日本語でありながら、あの作品群は彼にしか紡ぎ出せない言葉の集積です。
彼の小説やエッセイに登場する
やれやれ。
という4文字が、これほどまでに余韻を感じさせるのは、
村上さんが織りなす言葉のすべてに一貫した世界観が存在しているからだと思います。
さて、長々とつぶやいてる私が何を言いたいのかというと、
人は誰でも、オリジナルの言葉を探すべきだ
ということです。
流行語や新語、ギャル語を発明して誰よりも早く使えという話ではなく、
例えば自分を形容する言葉、それらが本当に自分を表現しているかどうかを考える、
要するに、
もっと他にも「言葉」がないか
疑ってみてもいいんじゃないかな、と思うのです。
しいたけ.さんや村上春樹さんのように、独自ワールドを貫ける小説家タイプは自身のスタイルを作ることに長けていますが、
新聞記者や雑誌編集者は、まずは目の前の情報を正しくシンプルに伝えるのがミッション。
あまり文章にキャラクターが入りすぎるのはどうかな、とは思います。
しかし、例えばある料理を表現する言葉が軒並み、
伝統と革新の融合、食材の本来の良さを引き出して、大胆さと繊細さを併せ持ち、とことん素材にこだわり抜いた
というものだったりすると、
世の中にはすでに100万皿くらい、同じ形容詞の料理がありますよう!
……と叫びたくなります。
かくいう私も、疲れ果てて原稿を書いていたりする際に、
かつて何度も使った表現に頼ってはいないだろうか。常に自問すべきなのでしょうね。
料理やレストランの取材の際に
うちは皿の上だけで勝負ですから
とおっしゃる潔いシェフもたくさんいらっしゃるのですが、
もちろんそれは正論なのですが、でも美味しいかどうかを判断してくれるお客さんが店に来てくれないことには、最初の一歩さえ踏み出せません。
ビジュアル作りや、自らを語る言葉を練る作業というのは、
一種、料理人の思惑とは遠いところにあるように思われるかもしれないけれど、実は伴走すべきものなんじゃないでしょうか。
SNS時代に突入する前から、情報を伝える手立ては、
どんなビジュアルで表現するか、どんな言葉で伝えるか
でした。
味わいや素材へのこだわりと同じくらい、大事なことだと思うんです。
特に、言葉。
苦労に苦労を重ねて、入魂の一皿を完成させた料理人さんにはぜひ、
それを人々に伝えるための言葉選びまで、
執着してほしいなぁと願ってます。
料理を物語る言葉とビジュアルがその後、
お店のことを(勝手に)世間に宣伝してくれる優秀な営業マンになってくれるかどうかは、
そこにかかっているのではないでしょうか。
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