YAMA LIFE CAMPUS 高所縦走編~3ヶ月シリーズ終了~
昨年の夏のシリーズから担当させていただいいているYLC企画。昨年夏は「登山基礎編」、昨年冬は「冬トレ編」そして今年夏は「高所縦走編」というテーマで、同じメンバーと知識と経験を積みながらステップアップする3ヶ月を過ごさせていただきました。ご参加いただいた方は、登山を基礎から学びたい、高所に不安がある、という8名の女性の皆様。
シリーズは以下のようなプログラムで開催いたしました。
●オンライン①
YLCのシリーズ3回目ですが、オンライン①(初回の顔合わせ)では皆様の登山中の悩みなどを共有。それぞれの悩みをお聞きして共有すると、意外と皆様同じことで悩んでいたりして、なんだか安心するものですね。
●低酸素体験
今回は私が所属するミウラ・ドルフィンズにて標高4000mの低酸素体験を行いました。主な目的は、4000mで体がどのくらい低酸素状態になるのか、そこから回復させるために有効なことってどんなことなのか。実際に体の状態を測定できるパルスオキシメーターを装着して行いました。皆様のご意見は「今までやっていた呼吸法が間違っていたことに気づけてびっくり」「頭痛の前の症状に気づけたことがよかった」など。これを次回以降の登山で実践していきたいですね!
●登山①八ヶ岳硫黄岳〜天狗岳1泊2日
低酸素室で学んだ呼吸法に加えて、高所での歩き方や水分補給、睡眠の取り方を登山で実践。呼吸法に関しては、パルスオキシメーターでチェックも行いました。高所ではペース配分もとても大事。今まで高所でバテていた方も、コースタイム通りのペースで歩きながら、しっかり呼吸を行えば大丈夫だと実感していただきました。高所が苦手と思っている方、実はペースが早すぎていた可能性もありますね。何よりも快晴で素敵な天気の中、歩くことができて最高でした!
●オンライン②
低酸素体験の復習と登山①の復習、新しい発見など。低酸素室での皆様の様子を数値で発表しました。呼吸法の大切さを再確認。そして八ヶ岳登山のペース配分についても再確認。「今までは高所で食欲が落ちていたけど、ペースを気をつけるとしっかり食べられるようになった」「下りが苦手かも〜ということを認識させられた」など気付きを発表してもらいました。そうやって一つ一つの山ごとに気付きや反省を感じられると、今後の成長につながりますね。
●登山②仙丈ヶ岳1泊2日
南アルプスの女王「仙丈ヶ岳」へ。前回の宿泊地硫黄岳山荘よりも標高が高い、馬の背ヒュッテに泊まることも今回の目的の一つ。前回は問題がなかった方も、今回は起床時に頭痛があるかも〜と。急な登りからスタートする2日目、ペースを守りながら水分補給もしっかり意識。ほぼ貸切状態の山頂で写真を取ったり、景色を眺めたり。単調な下山を楽しくあるくことが次回からの課題となりました!
●オンライン③
登山②の復習と、最後の締めくくり登山前の予習、今までのおさらい。最終目標に向けての意気込みと今までの復習を行いました。さて、最終回はどんな感じになるのか。皆様の緊張感が伝わる会でした。
●登山③北岳〜間ノ岳2泊3日
いよいよ最終回。だいぶ前から天気予報を眺めていた方がたくさんいたみたい。それだけ楽しみにしていたということは私も嬉しい。しかし今までの経験上、楽しみの気持ちの裏には同じくらい「不安」という気持ちも入り混じっていることも承知の上です!
今回のキモはなんと言っても2日目のアップダウンを含めた行動時間の長さ。そのためには、疲労を蓄積させないこと、キツい状態で我慢しないこと、水分とエネルギーをしっかり取ることを初日からお伝えしました。予想通り2日目は参加者皆様の疲労感とそれに伴う気力の低下も感じました。でもそこは天気と景色が見方をしてくれ、心が折れる前に間ノ岳まで歩き通すことができました。流石に疲労も大きかったようで、参加者の中には食欲が低下している方もいらっしゃいました。最終日も北岳登頂からスタートの長時間行動、歩き方や呼吸の仕方、休憩の仕方など、自分自身の体調と向き合いながらしっかり下山していただけました。全員登頂、そして全員無事に下山できて本当によかったです。
●オンライン総集編と総括
今までの総復習と参加者皆様からの感想。「自分のことをしっかりと考えて行動できるようになった」「自信がついた」その回答が多かったことが、私自身とても嬉しく思いました。日頃から「自分のことは自分が一番知っておいて欲しい」とお伝えしています。それが少しでも伝わったかな、と。苦手意識があった「高所」や「大きな目標」、それを少しずつ克服しながら全員で目的を達成できて、オンラインからの「退室」が名残り惜しかったです。
克服できたことが多かった反面、山の環境の厳しさを改めて感じた今回の企画。疲労が極限まで達すると、復活するのにもかなりの時間と労力を使うことを実感しました。私自身も大変貴重な経験を積ませていただいたツアーでした。皆様、ありがとうございました。