コーチの行く手を阻む、知識不足のブロック 《中井茉由子× 田口淳之介 対談(後編)》
2022年7月2日に東京で開催した『Business Mind Seminar』の会場で私が感じたこと。
ICF(国際コーチング連盟)のルールに則ったコーチングをするだけなら、どのコーチでもいい。
あなたはどんなサービスが提供できますか?
クライアントは何を望んでいますか?
それらを一緒にもっと考えていくことが必要なのだ、とあらためて思いました。
では、そんなコーチたちのビジネスマインドを、コーチ以外の業界の方はどう見ているのでしょうか。
同セミナーの共同主催者であり、私のメンター兼Vivid Factors顧問でもある対話の専門家 田口淳之介さんにお話を聞いてみました。
前編・後編の2回にわたり、私と田口さんとの対談形式でお届け。
後編となる今回は、セミナーの「その後」について語り合います。
▼前編はこちら
田口 淳之介
1980年生まれ。2022年【リーダーのための対話の方程式】出版
業界業種問わず(士業/デザイナー/コーチ/カウンセラー/SE/営業/ディレクター/コンサルタントetc...)幅広い分野にてビジネスパーソンをサポート。
知らないから売れない
中井 働き方も、学んだメソッドも違う受講生たちが、全国から集まった『Business Mind Seminar』。主催した私たちもヘロヘロになっちゃうくらい熱い1日でしたよね。
田口 昨日のこと? って思うくらい、いまだに疲れが取れません(笑)。本気の方々が集まって、すごい熱気でしたよね。あれからコーチの方々との交流機会が増えました。あらためて感じているのは、コーチは真面目な方が多い! ということ。ただ、「人の役に立ちたい」という思いを循環させられない、何かブロックを抱えているようにも見えますね。
中井 どういう意味ですか?
田口 例えば、プロのパティシエに負けないくらい美味しいケーキを作れるのに、家族や友人にしか食べさせていない感じ。本当は、もっと多くの人に食べてもらいたいだろうに。
中井 なるほど! 確かに周りのコーチたちを見て、同じようなことを感じます。一体、何がブロックになってしまっているんだろう。
田口 ブロックとなっているのは、やっぱり知識不足! スモールビジネスを構築していく方法や手順を知らない、というのが8割くらいでしょう。
例えば、大企業で何十億と動かすポジションにいた人が、たった1人に商品を売る方法がわからないということもある。知らないから、売れないんです。
中井 その気持ちわかるなぁ。コーチング・ファームで営業をしていた私も人が作った商品を売ることはできても、自分を売るのは本当に難しかった!同じ営業でも違うんですよね。
「繋がり」よりも「コミットメント」が大事
中井 学びをアウトプットするために欠かせないのが、人と人との繋がり。でも、コーチは「人が好き」と言うわりに、人と繋がる力の弱い人が多いと思いませんか?
田口 繋がる力そのものが弱かったり、繋がったあと自分のサービスをプッシュできなかったりと、さまざまな課題があるのでしょう。「営業が苦手」という声も、よく耳にしますね。
中井 人と繋がることで、新しいビジネスアイデアを生み出したり、ブレイクスルーを起こしたりできるのに、もったいない!
繋がるためのとっかかりは、自分をどう定義づけるかによって、いくらでも作れるでしょう? 私ならコーチ、エグゼクティブコーチ、経営者、女社長……
田口 ちょっと待って(笑)。そんなにたくさんの“役割”を一瞬で並べられても、困っちゃいますよ。僕は「田口淳之介」の1役で生きていますから。
そもそも、繋がる必要性は、その人が本気で伝えたいのかどうかによります。僕も、好きな人以外の他人と繋がることにはあまり興味がない。より大事なのは、「コーチとして誰かの役に立ちたい」というコミットメントでしょう?
中井 確かに田口さんはクライアント以外に興味がないですよね(笑)。あ、私もそういうところある。確かに、コミットメントは本当に大事! 最近、SNSで発信するのが嫌っていうコーチが多いんですよ。でも、「嫌だからやらない」では、自分がコーチとして力になれるかもしれない相手にサービスが届かないじゃないですか。
だから、相談者に問いたくなってしまうんです。嫌なことをやらなくてもコミットできる方法を、あなたは徹底して考えましたか? と。
田口 うーん……。徹底して考えることがうまくできる人って、そんなに多くないんじゃないかな。中井コーチは、やっぱり「前進」を謳っているだけあって、そうやって人を勇気づけながら刺激することができるんでしょうね。
中井 そうだといいな。お尻を叩くどころか、刺すくらいのこと言っちゃっている気もしますが(笑)。
私自身、これまで徹底的に考え抜いてきたんですよ。「嫌なことをやらずにコミットするにはどうすればいいか」とか、「多くの人に思いを伝えるためにはどうすればいいか」とか。
田口 「考え抜いた方がいい」ということすら知らないコーチも多いですよ。そういう方ほど、高学歴だったり、きちんとしたところに勤めていたり。 僕がビジネスについて考えてきたのは、自由に生きたい、他人にガチャガチャ言われたくなかったから。考えざるをえなかったんです。
中井 私も起業した理由に、平日昼間にネイルに行きたいとか、ストッキングを履きたくない、とかしょうもない理由も含まれてる(笑)。
田口さんはコーチたちから相談を受けて、「徹底して考えたのか?」って思うことはないですか?
田口 よく相談されるのは、自分の存在価値の見せ方、サービスの構築の仕方といったビジネス全般。「徹底して考えたのか?」と思うことはないかな。むしろ、考えるための手法を自分が渡せたかどうかに矢印が向きます。
それは、コーチたちの「人の役立ちたい」という思いをリスペクトしているから。人の役に立ちたいなら売らなきゃならないし、そのために必要な知識がないなら僕が伝える。けれど、やるかどうかは本人次第です。
タイプの違う2人がコラボする『Business Mind Seminar』
中井 私たち、全然タイプが違いますね(笑)。私は「人」に、田口さんは「仕組みや構造」に気持ちが向かっていくタイプ。
田口 そうですね。僕は例えば、10人に手法を伝えたら、そのうち7人が実行できたら上出来だと思う。聞いたことをパッとできる人もいれば、そうじゃない人もいるし、自分で考えてできる人もいますから。
中井 私なら、その残りの3人ができるようになるまで、1対1で関わりたい。だから、プロコーチ育成プログラムMMPも超少人数制で深く関われるようにしているし。
田口 一人ひとりに向き合うからこそ、厳しくなるのでしょうね。
中井 田口さんも私にはめちゃくちゃ厳しいですけどね。社長になって2ヶ月くらいの頃に「経営者なんてやめちまえ!」って言われたの、脳にガツンと響きましたよ。二度と言われたくないな、というのと「この人は顧問先の社長になんてことを言うんだろう・・・」って(笑)。
田口 誰がそんなひどいこと言ったんですか? なんか、中井コーチから厳しいフィードバックをいただいて、僕は今ストレスマックスです(笑)。
中井 よい顧客体験になったでしょう(笑)。私たち、タイプが違うからこそ、バランスが取れているのでは?
本気でコーチングビジネスに取り組みたい方、興味を持ってくださった方は、2023年2月11日に東京で開催する『Business Mind Seminar』にぜひご参加くださいね!
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