見出し画像

土星を鉛にするか、金にするか

土星を鉛にするか、金にするか、それとも、鉛と金の間の状態にとどめるか。それは本人の自由意志によって決まる。(リズ・グリーン)

サターン 土星の心理占星学
リズ・グリーン著、鏡リュウジ訳/青土社

こちらの本からの一節です。

 
土星という天体の一般的な意味は

試練、制限、老人、古典、構造、忍耐

というなんともマイナー、憂鬱な感じですね。

 
私たちにとっては決してめでたくは思えない天体。
その土星について書かれた本です。

今回はこの本の紹介も含めて、少し土星について書いてみようと思います!

少し専門的な内容だけど、ご自身のホロスコープの土星の位置を知ってらっしゃる方にはお役に立つ記事になっているかもしれません!


古典占星術と心理占星術


『サターン 土星の心理占星学』著者のリズ・グリーン女史とは、
ユング派の分析家でもあり、占星術家でもあり

彼女はその登場以来、
つねに「心理占星術」という一潮流を牽引し

その圧倒的な見識の深さと奥行きによって
世界中の占星術家に多大な影響を与えてきた人物です。

現代で占星術というと、
ほぼ「心理占星術」ともいわれます。

それに対して「古典的占星術」というのも、もちろんあるわけです。

 
その違いは

それぞれ「運命」に対する捉え方が違う
「どこまでが変えられるものか」という点においての物差しが違う

と考えると分かりやすいかなと思います。

これは「予言はなぜ必要なのか」の記事でも
書いたのだけれど

その昔は
人の内側(心)の世界という概念がなくて
人の外側(出来事)の世界だけしかなかったんです。

それはなぜかというと
生れた時から
役割とか地位がはっきりしていて

自分の内面を見るということや
自分らしさって何だろうと
考える必要がなかったから。

社会に起こる出来事に
星を引き当てることがすべてで
人の内側をみるという発想すらなかった。

だからこそ、昔の古典占星術では
予言がバシバシ当たっていたし
そこにすごく意味があったんですね。

一方、現代(心理)占星術では
心理学の発展とともに
人の内側の出来事に
星の配置を引き当てるということを
するようになったんですね。

そこでは
「太陽」がすごく重要で
自分らしさの象徴となっていたり

個人の資質や自己実現に
フォーカスするようになった。

簡単にいうと
古典占星術のように出来事ベースではなく
人の心の在り方や動きが
運命に影響を与えることができる

という風に
運命の捉え方が変わってきた
ということなんです。

だから、「心理占星術」というのは、
心理占星術家の思想の数だけある、
といってもいいかもしれません。
 

土星がもたらす光


さて、話を戻しまして
冒頭に紹介したリズ・グリーン女史は
心理占星術家の中では、

どちらかというと
「生き方はホロスコープの中で限定されている」的な雰囲気も漂わせていてね、

読んでいると「救いようないやん・・・。」という記述だらけ。

心理占星術だから
「成長」に特化したものかと思いきや、
少し違うイメージなのです。   

しかし、洞察を深めていくとまた違う視点が見つかります。

なにより、その彼女の文章表現に引き込まれてしまいます。
 
・ 『サターン 土星の心理占星学』(リズ・グリーン著,鏡リュウジ 訳/青土社)
占星学(リズ・グリーン著,岡本翔子, 鏡リュウジ 訳/青土社)
この2冊が有名です。

 
引き込まれた先に、
「土星」がもたらす光をきちんと見せてくれています

読み方によっては、見失いそうな光なんだけどね。

 
彼女は、太陽と土星を
「自我と呼ばれる心的現実の二つの面」
と表現しています。

太陽に対し、
シャドウの部分が土星といった感じかな。
 
 
つまり、自分が向き合いたくない部分でもあり、制限を課している部分ともいえますね。

・・・ということは、

ここをみていくことで「自分の全体像」が見えて来るともいえるわけです。

交流分析、再決断療法、ビリーフチェンジを心理療法に取り入れている私としては、まるで土星ってのは「リミッティング・ビリーフ(制限を作り出す観念)」のようなものではないか?と思いながら読み進めていったわけです。

つまり、自分にどんな禁止令を課しているか?です。
 
 
例えば、
名誉や権威を表す10室に土星があれば
「達成することへの制限」を持つのかもしれないし、

所有の2室に土星があるなら
「所有してはいけない、豊かになってはいけない」

コミュニケーションを司る3室だと
「自由に考えてはいけない」

11室だと「属してはいけない」とか

健康を象徴する6室だと
「健康であってはいけない」など、

人生脚本を扱う心理セラピストとしては、
そんな風に予想してしまうのだけど、
この本によると、まるでそのままだったのですよ。
 
(これを実際の臨床に当てはめるかどうか、はまた別問題だけど。)
 
 
しかし、心理セラピストとして
いつも思うのは

「リミッティング・ビリーフ(制限を作り出す観念)」と向き合うことよって生まれる「才能」は必ずあるよなあということ。

つまり、自分のシャドウをどんな風に受け入れるか?です。
土星とどんな風に向きあうか?ですね。
 
 
例えば、極端な例でいえば
「生存してはいけない」という観念と
向き合った方に生まれる才能(持っている才能)は、
命の尊さを誰よりも知っている
ということなのだろうし、誰よりも命を尊重できる人なのですよ。

「人とつながることに困難さ」を抱えている人は
誰よりも愛情深い人とも言えるわけだし。

 

制限と向き合うことで得られるのは
「才能」以外の何物でもなく。

それこそ彼女の言う「金」なのかもしれないなあ、と思うわけです。
 

その昔、私は
ファミコン時代からの
ゲームクリエイターだったのだけど、
今のゲーム音楽は同時発音数がほぼ無数である。
(というか生演奏も可能だものね)

しかし、ファミコン時代は
同時発音数3音で世界観を表現しなければならない
という制限があったのです。
 
 
その制限だらけの開発環境の中でだからこそ、
生まれたゲーム音楽には「名作」が多いのです。マリオとかね。


ちなみに、私の大好きな「スター・ウォーズ」の制作者
ジョージ・ルーカス監督のホロスコープでは
土星は2ハウスに入っています。

ジョージ・ルーカス監督
1944/5/14 5:40 カリフォルニア州モディスト出生

2ハウスにあるっていうことは
先ほど言った占星術的にみると

「所有することへの制限」とか
「豊かになってはいけない」みたいなものが
彼の中での制限や課題としてあった
という風に読み解くことができるわけです。

彼はスターウォーズを手掛ける15年前に
人生の転機となる大きな事故に
遭ってしまうのですが

それまでは
小さなころから他人の意見を聞かず
自由気ままに生き、
思春期には不良とつるむ生活を送っていたそう。

もしかしたら
幼い彼の中には

「豊かになってはいけない」

そんな思い込みや制限があったのかもね。

だけども、事故をきっかけに
父親の反対も押しのけて
映画の世界へ飛び込んだ。

真正面から
土星にぶつかっていった感じですよね。

しかも、彼の土星は
双子座にあるので
「自由に考えてはいけない」って
制限もあったりしたのかも。
(あくまで推測ですがね)

それを取っ払う感じで
生きるってことに
向き合っていったのだと思うんです。

もちろん、
制限の感覚に向き合うわけだから
いろんな苦難もありますよね。

だけども、その中で
名だたる映画を生み出し
今や、世界的な監督として

物質的な豊かさを手にしただけでなく
人の心や人生の豊かさを
映画を通して教えてくれている存在となっている。

それはやっぱり卓越した才能ですよねぇ。

土星の制限の先にあるもの


ジョージ・ルーカス監督は
極端な例かもしれないけれど

制限があるって
「苦しいこと」と思いがちだけど、
そんなに捨てたもんじゃないな、って思うのです。

制限という境界こそ「創造」であり、
土星は私たちにそういう感覚を
与えてくれているように思うのです。

実は私たちはそもそも
「肉体」「時間」という制限を
持って生まれた生き物であるわけだし、

いかに制限を活用するのか?ってことも
創造性につながるのではないかなと。


というわけで・・

参考までに土星の滞在するハウス別に
どんなビリーフがあるんだろうか?を
簡単に挙げてみました。

※自分の土星がどのハウスにあるか分からない方は
星読みテラスでホロスコープみてくださいね。

土星の記号はこちら!
土星が入っているハウスを見てみよう!

1室(ハウス) 「ありのままの自分であってはいけない」「存在してはいけない」
2室(ハウス) 「所有してはいけない」「豊かになってはいけない」
3室(ハウス) 「自由に考えてはいけない」
4室(ハウス) 「愛着を感じてはいけない」「くつろいではいけない」
5室(ハウス) 「楽しんではいけない」「見えてはいけない」
6室(ハウス) 「健康であってはいけない」
7室(ハウス) 「人に近づいてはいけない」
8室(ハウス) 「人を信用してはいけない」「存在してはいけない」
9室(ハウス) 「自由に行動してはいけない」「成長してはいけない」
10室(ハウス) 「達成することへの制限」「重要であってはいけない」
11室(ハウス) 「属してはいけない」
12室(ハウス) 「感じてはいけない」

もちろんね、
これだけで自分のなかの才能が分かる!
ってものではないのだけど

(ほかにも
カイロンのハウスで見たりとか
色んな見方があるので)

・自分のなかの制限ってなんだろう?
・向き合うものって…?

をあらためて考えてみると
今まで見いだせていなかった可能性や

「まだまだこんなもんじゃないよね」

という心の声に気づくことができるかも
なんて思ったりしています。

お読みいただきありがとうございましたー!

<お知らせ>
◇まゆちんの占星術講座【無料】やっています♪
申し込みはこちらから↓↓


◇「まゆちんの星的私的メルマガ」
最新の情報はメルマガよりお知らせしています!
メルマガ登録はこちらから


いいなと思ったら応援しよう!