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⑮「返信には及びません」の使い方!

研修講師の石原まゆこです。職場のジェネレーションギャップの生情報を紹介しております。基本スタンスは、上司の味方です。がんばれ!上司。

新入社員ビジネスマナー研修は、半日、1日などの単発企画から、1週間、2週間、1ヶ月間に、フォロー研修を含め数回行われることもあります。課題の提出や質問等は事務局が取りまとめて講師に問い合せてくださるので、直接受講生とやりとりをすることは、実際はほとんどありません。

講師に直接届くことがあるのは、お礼やお詫び、振り返りや決意表明のメール等です。数年前に、ある企業の新入社員からのメールで「返信には及びません」が猛烈に流行ったことがあります。来るメール来るメール一様に、メール分の最後に「返信には及びません」と書かれていました。

初めは、ご丁寧な気遣い表現だな、と感じたものの、判を押したように来るので、「返信するかはこっちが決めることなのに、なんでそっちが指定してくるの?」「よかれと思ってるのかもしれないが、いらん気遣い。返信したいのにかえって返信しにくいじゃん」という気持ちになってきました。

私はメール作成指導で、「返信には及びません」を推奨することはありません。理由は、
〇返信がいるかどうかは、情報発信側と受信側の双方が、それぞれ必要性を検討すること。片方が決めることではないと考えるから。
〇内容を確認したか、理解、納得したかどうかの返信もいらない程度の情報は、送信側の安心保険で送りたいだけ。確かに送りましたからね!と。
〇返信はお手間でしょうから、という気遣いなのだろうが、返信なんて数秒でできる。いらん気遣い。

新入社員の人数が多い企業様では、一クラス30名×複数クラスが一斉に実施されます。そういう時は、指導内容にバラツキがでないように、事前に講師が集まって申し合わせや勉強会が行われます。ビジネスマナー研修は、ある程度内容と型が決まっていますが、そういう基本型がある研修ほど、実際の指摘やフィードバックには、講師のカラーが出やすいのものなのです。

私のクラスの受講生に、なんで「返信には及びません」がこんなに流行っているの?と訊ねたところ、他のクラスでこのメール文を講師が誉めていたので、皆でマネしている、とのこと。そして、もう一つの理由が「メールのキャッチボールをどこで終わらせるか判断できないので」というものでした。

1.「本日は、ご指導ありがとうございました」新人
2.「お疲れさまでした。次のフォロー研修では、〇〇さんの積極性を期待しています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」講師
3.「こちらこそ、何卒よろしくお願いいたします。次の講義までにしっかり復習して、積極的に臨みます」新人
4.「それは素晴らしい。その学ぶ姿勢が〇〇さんの成長に必ずつながりますね。応援しています」講師
5.「応援ありがとうございます。ご期待に添えるよう精一杯頑張ります」新人

新入社員は、どこで終わりにして良いか判断できないのだそうです。
2.で終わったら、講師からのメッセージを既読スルーしているみたいにならないか。で、3.へ。講師からなまじ4.の励ましメッセージが届いてしまうと、それにも応えなければ。で、続いてしまう。

そこで登場するのが、「返信には及びません」
例)本日の御指導に対する感想と、感謝をお伝えしたくメールを送らせていただきました。ご多忙中と存じますので、返信には及びません。

自分が悩まなくていいように、強制終了しているのです。もちろん、新人に悪気はありません。

★対策と指導案★
✓メールは、行って来い、でワンセットで完了。そのこと自体、失礼ではないことは指導してくだい。既読スルーということはありません。

✓メールは基本既読がつかないので、本当に読んでもらえたかの確証はありません。情報発信者として受信の確証をとりたいのであれば、「返信には及びません」は不要。

✓受信した場合は、私は以下の1行返信をしています。
ここで、日頃より御世話になっております、、、今後とも何卒お引き立てを、、、と書くと長くなるので、1行返信します。受信メールは下にコピーされている状態です。ご参考まで。
例)〇〇様 メール拝受しました。内容承知致しました。石原

✓目を通してもらっていればお返事は不要、というメールほど、お忙しいお相手は目を通していないことが多い。これは、実務経験での実感です。なんかきてたね、程度です。タイパでは解決しませんので、要確認です。手間を惜しまないよう、指導してください。

✓感想や感謝を伝えたかっただけなので、気持ちを分ってもらえれば特にお返事はいらない、というのは、もったいないです。私は、感想や感謝には一言お返ししたい派なので、お返事不要と書かれると、少しさみしいです。コミュニケーションはキャッチボール。投げたボールが返ってくるまででワンセット、受取ったら投げ返すまででワンセット、というコミュニケーションの基本をしっかり教えてください。







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