夫との出会い
2020年9月。
私は、自力で恋愛依存症から抜け出しました。その後すぐに、私の彼氏となり、また、夫になってくれた彼との馴れ初めについて綴ります。
彼と初めて出会ったのは、一つ前のブログ【私の〜恋愛暗黒時代〜⑪最後のトリデ・後編】とも被っている、2020年6月のことでした。出会いの場所も、同じく前回のブログに登場する日本人男性が営む和食レストランでした。私の夫は、ここでお酒などを提供する仕事をしていました。これまた、前出のブログに登場するちーちゃんと私は、日本の味が恋しくなると、好んでこのレストランに足を運びました。ここでの楽しみは美味しいお料理だけでなく、オーナーとのおしゃべりもそのひとつでした。この男性オーナーは、毎回と言ってよいほど、夫を私たちの席に呼びつけ、「一緒に飲もう。」と誘うのでした。こうして、私と夫は顔見知りになりました。
彼の第一印象は「わぁ、イケメン!」でした。日本人オーナーは、彼をこのように紹介しました。「彼の名前は、フェラーリ。車のフェラーリ。兄弟全員、高級車の名前がついてるらしいよ。今、37歳なんだって。インドネシアの首都ジャカルタから来ていて、昔はマフィアみたいなこともやってたみたい。モデル活動みたいなこともやってたみたいだし。この前なんか、ここのキッチンで同級生と殴り合いのケンカしてたのよ。いやぁ熱い男だよ。」と、どんな人物なのかよく掴めない説明でしたが、実際に彼と話してみると、とても誠実で紳士な男性であることが伝わってきました。この時、最後の大失恋を飾ってくれた男性のことしか目に入っていなかった私ですが、「もし、こういう男性を好きになれたら、私は幸せになれるだろうに。」と思うほど、彼は優しいオーラを身に纏っていました。しかし、別の男性に恋焦がれて執着しまくっていた当時の私は、まさかこの彼と恋におち、そして結婚にまで至るだなんて、これっぽっちも予想していませんでした。ただ、何度目か彼と話していた時、あまりの瞳の美しさにハッと息を呑んだのと同時に、「あっ、この人は絶対に私のことを好きになる。」と直感したことがありました。こういう感覚というのは、本当に正しいんですね。のちに彼は私を愛し、とても大切にしてくれる存在になりましたから。
そして、ただの“お店の人と常連さん”だった私たちの関係が一変したのは、あの日の夜のことでした。それは、私がずっと想いを寄せ続けてきた最後の大失恋の男性に向かって、積年の怒りを大爆発させた夜です。
※詳しくは前回のブログをご覧ください↓
この時、私たちはこの日本食レストランで、私と夫を含めた総勢6人で飲んでいました。そこへ最後の大失恋を飾ってくれた男性がやってきて、その場に加わることになったのでした。周囲がワイワイと盛り上がる中、私の中にはこの男性に対する怒りが、沸々と湧き起こっていました。そして、とうとう我慢の限界に達した私は、全員の前でこの男性を非難したのでした。私は、怒って帰ろうとする男性を追いかけ、これまでの思いの丈をぶつけた後、その場で一人泣き崩れました。そんな私の様子に心を痛め、駆け寄ってきてくれたのが夫でした。涙が止まらない私を、ずっと抱きしめてくれました。私はこの時、忘れられない不思議な体験をしました。夫の腕の中でワンワンと泣いている時、私の胸のあたりから煙のような黒い何かが出てきて、どんどんと夫の胸の中に吸い込まれていくのが、はっきりと分かったのです。それを感じた時、「ああ。この人は、私を救いだしてくれる人かもしれない。」と思いました。そして、その後、夫は私を家まで送り届け、無事に部屋に入るまでを見守ってくれました。
この出来事を機に、ずっと好きだった男性から全ての連絡手段をブロックされた私は、この男性との関係を完全に終わらせること、また、恋愛依存症である自分にも完全に終止符を打つことを決意したのでした。そのためには、“いつも苦しみを伴う恋愛や、どうしても拭い去れない寂しさの原因が、どこから来ているのか”を、私自身の中に見つけてあげることが必要でした。数日間、私は一人で家にこもり、食べることも忘れて、自分の心の内側を見つめました。その間も、私を気にかけてくれていた夫は、何度かメッセージをくれたり、食べていないことを心配して、ごはんに誘い出してくれたりしました。その時、久しぶりに夫と一緒に食べたピザの美味しさは、今でも忘れられません。そうして過ごすうちに、ずっと心の中に置き去りになっていた、ある大切な思いがあることに気づくことが出来ました。その思いとは、私がほんの幼い頃に作り出したもので、大人になった私は、すっかりその存在を忘れてしまっていましたが、まるで私が気づくのをじっとそこで待っていたかのように、心の奥深くにぽつんとあったのでした。そして、この思いの存在に気がついた直後から、私は変わりました。というよりも、私が本来の私に戻ったと言う方が正しいかもしれません。恋愛に依存する自分、愛を探し求めていた自分に、完全にさよならすることができました。そして、本来の愛される自分へと戻ることができたのでした。
これは、私にとって本当にかけがえのない大切で愛おしい経験でした。心を見つめた時のお話は、また改めて別のブログで綴りたいと思います。
その直後、夫は私を海に連れて行ってくれました。そこは、静かで穏やかでとても美しいビーチでした。海に浸かっていると、ごく自然に涙があふれてきました。海に入ること、また、涙を流すことで、おそらく禊祓いというか、これまでの自分の過去のことを全て洗い流しているかのような感覚でした。この時も、夫はじっと黙って、私を抱きしめていてくれました。
それから、二人で過ごす時間が増えるごとに、お互いに好意が芽生え始めました。夫は、私を好きだとは言ってくれていましたが、「付き合おう。」とは言わないので、前回の恋愛みたいなどっちつかずの中途半端な関係はもう懲り懲りだった私は、夫にこう言いました。「私には、結婚願望があります。私は私と真剣に交際をしてくれる人だけを望んでいます。」すると夫は私に聞きました。「僕は前から言っている通り、あなたが好きです。僕と付き合ってくれますか?」と。こうして、私たちの交際は始まりました。直前の恋愛では、彼女という肩書きが欲しくて欲しくてたまらないのに手に入らなくて、必死にもがき苦しんでいたのに、こんなにも簡単に、“誰かの彼女になる”ことが出来たなんてと、肩の力が抜ける思いでした。
そして、夫との交際が始まって一週間くらいが経ったある日、私をずっと彼女にしてくれなかった彼が、突然私の部屋を訪れ、「僕と付き合ってください。」と言ってくれたのでした。長い間、彼からのこの一言を聞きたくて頑張ってきた私は、胸が熱くなる思いでしたが、自分の幸せのために、夫と共に歩むの未来を選んだのでした。自分が自分の思いに気づいて、本来の自分に戻るだけで、こんなにも容易に願いが叶うことに、とても驚きました。
そしてもう一つ、私が驚いたことは、自分の心の在り方の変化でした。それは、夫にも自分にも素直でありたいという思いでした。あの夜、夫の目の前で例の彼と大喧嘩した時、日本語ができない夫は、その内容を理解していないままでした。夫がどう感じるかは分からないけれど、何があったのかを知っていてもらいたい。それでも私を愛してくれるかは、夫の判断に任せよう。そして、前の彼との間に赤ちゃんが出来たこと、堕胎したことを伝えました。夫はじっくりと話を聞いてくれて、「過去に何があったとしても大丈夫だよ。」と言ってくれました。これまでの私だったら、好きな人に嫌われるのが怖くて、言いたいことを言えなかったり、自分の本当の気持ちを隠したりしてきました。でも、もうそんな必要はない。ありのままの素直な自分で大丈夫なのだと思えるようになりました。
彼と交際し始めてから、自分の予想を遥かに超えるスピードで、とんとん拍子に物事が進んでいきました。交際して1ヶ月もしないうちに同棲を始め、その後すぐに妊娠、そして結婚。まるで見えない何かに導かれているとしか思えないほどの早さでした。そのため、自分の気持ちが追いつかず、「本当にこれでよかったのだろうか。」と自問自答することもありました。更にはつわりも重なり、自分ではどうしようもイライラを抑えきれず、夫に対してすごく辛く当たったりもしました。それでも夫は変わらず私と私のお腹の中にいる新しい命を愛してくれました。そして今は、私にとって最高の夫、最高のパパ、最高の同志になりました。生涯の伴侶として、この夫を与えられたことは、神様からのギフトだと思うほかありません。
初めて『思考が現実を創る』ことを、秋山まりあさんの書籍で知ってから、かれこれ8年あまり。その間なんとなく、理想のパートナーとの理想の暮らしを現実として引き寄せるために、それが叶った後のシーンをイメージして、ノートに書き出したりしていました。しかし、一向にそれらが叶う様子もなく、ましてや、更に辛くて苦しい恋愛ばかりが続いていきました。どうしてそうなるのか、このカラクリが私には理解できませんでした。ところが、私が私の中に取り残されていたある思い(思考)に気がついてあげられた瞬間から、それまでとは180度違う幸せな現実が目の前に広がるようになりました。そして、私がイメージしたりノートに書き記した理想も、いつの間にか全て叶えられていることに気がつきました。
恋愛依存症だった当時の私にとっては、夢物語とも言えるストーリーでしたが、今は全てが私の日常(現実)となっています。
『思考が現実を創る』ということはすなわち、『理想の現実は自分で創れる』ということでもありますが、そんなたいそうなことは、自分には出来っこないと思っていました。でも、今は違います。恋愛依存症で、失恋ばかりを繰り返し、結婚したくても出来ずに、とうとう41歳まで独身を貫いてしまった私でも、幸せな理想の現実にシフトすることができましたから。
だから、これからは、『思考が現実を創る』というこの世界の真理に私が辿り着くまでの紆余曲折の物語を、綴らせていただこうと思います。もしも過去の私のように、恋愛や結婚に悩んでいる方、なぜかいつも寂しい気持ちで過ごしている方、またはそうでない方にも、何かの参考になれば、うれしく思います。それでは、お読みくださりありがとうございました。今後とも、よろしくお願いいたします。