私の〜恋愛暗黒時代〜⑨最初で最後の・・・
「嗚呼、こんなに書く気が起こらない回は
あっただろうか…」というほど、今回は皆様に
お読み頂くことが気乗りしない失恋体験です。
というのも、前々回のブログを更新した後、
母から何とも心温まるメッセージをもらい
嬉しかったが故に、今回のネタをさらすことに
躊躇してしまっていること。また、生涯の伴侶
といっても相応しい男性と出会い結婚できた今、
現在の自分と、この当時の自分とが、あまりにも
かけ離れすぎていて、思い返そうとすると、
脳みそが完全凍結状態になってしまうこと。
これが理由です。
ということで、前置きが長くなりましたが、
今回は、人生で最初で最後のフ、フ、フ、
不倫ネタです。
この当時、私はすでに35歳でした。
そして、このお相手とは、前回のおじさん彼氏の
“待て!”の真っ只中に出会ったようです。
この方のプライバシーもありますので、どこで
どうやって出会ったのかなどは割愛します。
この方、とても積極的でした。特に日本の
既婚男性に多いなぁと思うのですが、もう
結婚しているという余裕からなのか、独身の
男性に比べて、妙に口が上手いというか、
「可愛いなぁ」「魅力的だなぁ」みたいな
ことを躊躇なく言える男性でした。
前途の通り、私は、おじさん彼氏から、距離を
置きたいと言われて、自己否定バリバリの
時期だったので、この男性の発するこれらの
言葉に、多少なりとも女性としての自尊心を
くすぐられたり、良い気持ちになっていました。
しかし、年齢は私よりも少し下のこの男性、
奥様とまだ小さなお子様が2人いる、バリバリ
のパパ。いやいや、絶対にあり得ないでしょと、普通ならば思うでしょう。しかし、この時の
私は色々なものが欠落していました。
この男性から、まるで女神のように崇められ、
調子に乗っていたというよりも、自分の中に
ある、自分では決して埋めることのできない
“不足感”を埋めるのに、この男性を利用して
いたという表現が正しいかもしれません。
いつの頃からか、抱くようになってしまった
この不足感というのは、
35歳なのに独身の私は、一般的に、もう女性
としての価値や需要が“無い”かもしれない。
私は、いつも他の女性に男を取られてばかりで
“勝てない”もしくは“選ばれない”女なのだ。
私はただ愛されたいだけなのに、私のことを、
必要として、大切にして、本気で愛してくれる
男性は“居ない”んだ。という、無い無い尽くし
の感覚でした。そして、いつもいつも心の奥の
方が冷たくて、寂しかったのです。
でも、その反面、他人からは寂しい女だとか
モテない女だとは決して思われたくないから、
「私は充実してますし、大丈夫です」みたいな
オーラを出したりして。そうやって、自分の
本心と、周りから見られたい理想の自分の姿
との間に、自ら隔たりを作っては、ますます
苦しんでいたのでした。
だから、この男性が私に言い寄ってきた時、
奥様やお子さん達に申し訳ない、なんていう
倫理観や道徳観は1ミリも無く、むしろ、
「私は、奥さんよりもイイ女なんだ。
奥さんよりも私を好きって言ってるし、
私は奥さんよりも優っている女なんだ」
と、見事にこれらの“不足感”が解消されたこと
に満足していました。
決して、この男性を好きではないけれど、
“無い”から来る寂しさを埋めてくれるのには、
ちょうどいいやって感じだったのです。
きっと、一般的な不倫あるあるだと思うの
ですが、この彼からは、「奥さんとの関係が
うまくいっていない。離婚を考えている。
子供達のことは愛しているが、結婚を続ける
意思はない」という、いかにもドラマや小説に
出てきそうな言葉を耳にしていました。
そして、ある日、彼はこう言い出したのです。
奥さんとも話し合って、お互いに離婚する
ことに合意した。奥さんはすでに、子供を
連れて実家に帰り、別居を始めたのだと。
そして、その言葉を証明するかのごとく、
それまで、彼の車の後部座席に設置されていた
チャイルドシートがきれいに取り払われ、
それまで以上に、私と過ごせる自由な時間が
増えました。
私達は何度かその車に乗って遠方デートに
出掛けたり、私の家に泊まりにきたりして、
見事にザ・不倫道を謳歌したのでした。
そして、そのような時間を過ごすうちに、
彼は私に対して本当に本当に真剣なのでは
ないかと勘違いするようになりました。
そんな関係を続けていたある日、私は一人
チャリを漕いでいました。無意識に目に入って
きた、彼の車と同じナンバープレート。
それを見た瞬間、なぜか突然、神がかり的に、
とても悪い予感がしたのです。
それから、この悪い予感の答え合わせでも
するかのように、彼の様子がなんだか変だな
と感じることが多くなってきました。
あれっ、前よりも泊まりの回数が減ってるぞ。
そういえば、最近、彼の車に乗ってないぞ。
彼が休みの日でも、ちょっと仕事するからと
会わない日が増えたぞ。そんな感じで、わざわざ
確かめるまでではないけど、何かおかしいなぁ
みたいな事が、少しずつ気になり始めたのです。
そして、一度気になり始めると、すごい勢いで
疑い始める私の性分。スパイ心がムクムクと
沸き起こり、ついに、こっそりと彼の家に
向かってみることにしたのでした。
Googleマップを頼りに、これまで降り立った
ことのない駅から、彼の家であろうマンション
までたどり着いたのは、夜の7時か8時ころ。
まだ仕事中のはずの彼の部屋に灯りがともって
いるではありませんか。ん???
よし、今度は車を見てみよう。暗がりの中、
彼の車を発見し、携帯のライトで中を照らして
覗いてみると、後部座席には、一度取り外された
はずのチャイルドシートが鎮座しているでは
ありませんか。そして、助手席の足元には
女性もののサンダルが脱ぎっぱなしの状態で
放置されているではありませんか。
サァー。血の気が引くのが分かりました。
これは、彼が私に嘘をついている!!
奥さんと離婚を前提に別居しているなんて、
まったくの嘘じゃないか!!私のことを
好きだと言ってくるにも関わらず、私に嘘を
ついている!!私を騙そうとしている!!
怒りと、悲しみが一気に押し寄せました。
しかし、その後、私は彼を問いつめることが
できませんでした。なぜなら、工作員みたい
な私の行動が、もし彼にバレたなら、きっと
気持ち悪がられるだろうし、彼に対して結構
必死な自分がバレてしまうのが恥ずかしかった
から。彼が私に惚れていて、私の立場の方が
優位であるという構図を崩すことに対して、
プライドが許さなかったのです。
そして、あたかも何も知らないふりをして、
普通を装って彼との関係を続けました。
でも、日に日に募るモヤモヤとイライラ。
「奥さんよりも私のことを好きだと言った
くせに!!私に嘘をついたり、裏切ったり
することは絶対に許さない!!
彼のことを奥さんに取られたくない!!
奥さんに彼を渡したくない!私は奥さんに
負けたくない!」
まるで、自分のおもちゃを取られないように
必死になっている子供かのような心境でした。
そして、彼のことを好きだとか愛している訳
でもないのに、彼を誰かに取られてしまうと
いう不安の気持ちと混同してしまい、いつしか、自分は彼のことを本当に愛しているのだと
勘違いするようになっていったのです。
当時の自分では到底わかりませんでしたが、
私はただの嫉妬の鬼でした。本当は彼のこと
なんて、これっぽっちも愛していないのに、
ただ、彼を誰かに取られることだけが嫌で嫌で
仕方なくて執着していただけなのです。
なんだ、この中途半端な天城越え感は。
でも、一方で、こんな後先のない男女関係に
時間を割いてる場合では無いという、冷静な
思考を持つ自分も居て、はたまた葛藤の日々。
そんな折、彼が私の部屋にやって来ました。
そして、彼が何かを取ろうと立ち上がった
瞬間、その場に可愛いアンパンマンシールが
落ちているのを発見しました。それを見た時、
腹をくくりました。「もう終わらせよう」と。
そして、問いただしました。
「あなた、ずっと嘘ついてるでしょ?
離婚する気なんて、全然ないんでしょ?」
はぁー。前回のおじさんと言い、窮地に立た
された時の男たるや、何とも情けないものよ。
しどろもどろ過ぎて、「はぁ??」と聞き返し
ました。もう、言い訳なんてどうでもいい。
怒りが込み上げてきて、「はい、もうおしまい」と告げました。そそくさと荷物をまとめて、
夜逃げさながらに私の部屋を去っていく彼の
カッコ悪い後ろ姿を見て、一気に夢から覚め
たのでした。おしまい、おしまい。
大阪に来てから、というか、30代半ばになって
からは、あえて泥沼にハマりに行くような恋愛を、自らの手で引き寄せていました。
前回のおじさんとの復縁といい、今回の不倫も
まさしくそうです。
そして、この頃から、なぜか私の心の中には、
家族でも、女友達でもなく、男性に愛されて
いると実感することでしか埋めることが
出来ない、正体不明の空洞があることに、
薄々気づき始めたのです。
きっと、ここに綴った不足感の原因にもなって
いるであろう空洞…。この空洞は、いつも私に
物さびしさを与えてくるのです…。
しかし、この心の空洞の正体が、一体何なのかを突き止める余地もないまま、ただただ、これを
埋めてくれる男性を求めていたし、頼っていた
のです。そりゃ、ろくでもない恋愛ばかり
実現しちゃうわけですよ。
今、こうやって綴っていると、あらためて、
私は立派な恋愛依存者だったんだろうなって、
思わず苦笑いしちゃいます。
それでは、残すところ、あと二名分の失恋話が
残っておりますので、引き続きお付き合い
くださいませ。
それにしても、我ながら、あっぱれな数の
恋愛失敗談やなと思います。苦笑。
それでは、今回もお読みくださり、ありがとう
ございました。