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一人じゃなくて共に。そして、6人じゃなくて3人だった
1週間前、約8ヶ月ぶりに、個人向けIKERUレッスンを再開しました。軽井沢で、大家さんの田んぼ・畑のまわりに生えている草花をいただいて、それをいける、という形式で。
2019年末にIKERU活動を休止して以来、自分にとっていけばなって何なのか、正直よくわからなくなっていました。軽井沢に移住した直後は、家の周辺の草花でのいけばなをよくやっていましたが、そのうちいけばなではなくせっせとフラワーアレンジメントを作るようになり、アレンジ熱が冷めた後はきのこに夢中に(現在進行形)。ほとんどいけばなをしない日々が続きました。身体や心にたずねても「花をいけたい」という気持ちはどうにも湧いてこない。
いけばなで独立までしたのに、私の中でいけばなってもう終わっちゃったのだろうか?天職だったはずなのに。そうしたら私、これからどうするんだろう?
そんな不安がよぎることもありました。でも、よくわからない状態をこのまま続けていればよい、という直感もありました。今きのこに夢中なら存分に夢中になっていればいいし、今花をいけたいという気持ちが湧いてこないなら無理していけなくていいって。
いけばなについて伝える機会がたまたま続いた
そんな中、たまたまのご縁で、横のおうちのテラスで自分の家半径50メートルにあった花をさっととってきていけながら、いけばなってこんな感じ、というお話をする機会がありました。ほんの30分程度、仕事でもなんでもなく、会話の延長のような気楽さの中で、花をいけ、いけばなについてお話しする、というのが、とても心地よかった。
それと続けて、まわりにある草花を各自がとってきていけるというワークショップを12名の方にやらせていただくことになりました。
その流れの中で「軽井沢でなら、そしてまわりの草花をとってきてやる、という形なら、個人向けのいけばなレッスンを再開してみたいな」とふと思うようになりました。そして、知り合いだけ、人数も3人で、レッスンをやってみることに。テラスで風に吹かれながら。
大家さんが管理されている田んぼや畑のまわりから、蒲、ススキ、アザミをいただき、そこら中に生えまくっているヨモギ、イヌタデも採ってきました。長靴履いて帽子と虫除けネットかぶって。汗だくです。
自分にとってのいけばなは「共に」歩む道だった
久しぶりに個人向けレッスンをやってみて感じたこと。
それは「ああ、やっぱり楽しい!」につきます。
風に吹かれすぎていけばなのデモの途中で花が倒れても、採ってきたアザミの葉っぱがめちゃくちゃ痛くても、最近あまり人前でやっていなかったせいかなんかの拍子で剣山に手を刺してこっそりたっぷり流血しても、それでもとっても楽しかった。
私にとってのいけばなは、一人で花に向き合い花をいける、という一人の道ではない。花をいける・いかす、を楽しめる場をつくり、そこで他の方と一緒に楽しむ、共に歩む道なのではないかと、改めて気づく機会になりました。だから、ただ一人でいけ続けようと思っても、なかなかできなかった。
もともとIKERUの理念は「いけばなの叡智を共に探求する」です。そう「共に」と自分でも書いています。自分一人で探求するのではなく、「共に」探求する。
「いけばなの叡智を伝えるんだ!」という使命感のようなものがあったのも事実ですが、今回わかりました。他の人たちが花をいけるのを楽しむ姿を見るのが、そして自分も一緒にいけるのが純粋に楽しかったんだって。自分にとっての喜びだったんだって。
6人じゃなくて3人だった
それともう一つ気づいたのは、3人という人数の心地よさです。
個人向けレッスンを始めた頃は、一回の参加者は多くて3人ぐらいでしたが、そのうちに少し参加される方が増えてきたので一回4人を定員に。さらに昨年は一回6人、こじんまりした東京の自宅でやれるぎりぎりの人数まで定員を増やしました。
時々キャンセルが出て一回の人数が2-3名となると、レッスン中自分が心地よさを感じていることはわかっていました。身体が深呼吸できる感じ。自分がゆるむので、場もいい感じでゆるんで、参加者の方もより楽しそう。一方6人となると、場のほどよい緊張感を保つために、レッスンの最初から最後まで精一杯自分のエネルギーを場に満たすようにしていなければならず、終わるとどっと疲れていました。
でも、どうせやるなら一回の人数を増やした方が仕事(=利益)としては効率的、という考えや、レッスンにきてくださる方の数が増えている流れをこちらのキャパシティを理由に止めたくない、という思いがあって、6人にしていた。かつ、2部制にすれば、1日12人にレッスンができる!と、1日2回セットするなんてこともやり始めました。
おかげでユーザー数は見事な右肩上がり。自分はいつもぐったり。
身体は「3人ぐらいがいい」ってわかっていたのに、資本主義的思考にまみれた頭がそれを上書きして、結果、自分が疲れて、いけばなの場をつくることすら楽しんでいるのかわからなくなったり、倒れたり、病気になったり。
一回のレッスンが3人か6人かなんて、本当に微妙な差です。普通のビジネスのものさしでみたら、鼻で笑われるレベルです。でもその微妙な差、どこまでが自分にとって心地がよく、どこからがしんどくなるのかがわかるのは、自分しかいません。
レッスンの回数もそう。気づけばどんどんと回数が増えていきました。それがユーザー数の「成長」につながっていたわけですが、その裏には成長についていってない自分の身体があった。
これからゆるやかにIKERUを再開していきますが、これからは一回の人数、頻度、場所、など、細々としたことをその都度自分の身体に聴きながら、歩いていく予定です。それが、自分が心から楽しいと感じている「いけばなの叡智を共に探求する」を長く続けていくことにつながるから。