免許で食べていくということ
タクシーの仕事を始めた頃、先輩ママドラから「免許で食べていってるんだから」という話をしたことがあった。
今日、お客さんを乗せてすぐに車が向かってきて向こうからぶつかってきた。
車がすれ違うのがかなり難しい狭い道ではあったが、事故対応は初めてでずっと手が震えていた。
本当に110番に電話したら警察がきたし、会社の人も来てくれたので、特になにもなく、お客さんは代わりの車がで目的地まで行ったし、ケガもなかった。
会社の人や警察は淡々と事故処理をしていく中で、
動揺している自分、泣きそうな自分、それらを冷静に見ている自分がいた。
動揺していたら、意外と何もできないなと思う自分がいながらも、
車を移動させたり、事故処理終わって車で会社まで戻るときも、これ以上運転するとまた何かやらかしそうと思う自分もいて、会社の人にお願いした。(会社の人は役職者である。)
もう周りに迷惑かけまくってて、
お客さんの1人は証明する人がいるでしょとその場に残ってくれたし、近所の人は車で出かけるからと駐車スペースを貸してくれた。
会社へ戻ると夜勤の人が早くきている人がいて、少し話をしたがベテランになるとそういう事故もまああるよね、くらいに思えるようになるようだ。
夜の運転は自家用車で運転するよりもっと怖い。
タクシー運転手は男の職場と言われ、お客さんからも女性にとってはきついでしょ、と言われたりするが、やはり元々男性の職場は心身ともにきついと言われる所以がわかったような気がした。
運転手も職人の仕事だと思う。
何年も乗って初めて一人前になる。
これから「免許で食べていく」ってことか、と思う出来事だった。
そして、どんなに自分が注意していても起こる事故。
いつ死んでもいいように後悔しない人生を生きないととあらためて思う日だった。