見出し画像

エッセイ『暮らしを彩る小さなもの』③

自分の暮らしを彩る小さなもののもうひとつは、「とらや」で購入した張子の置物だ。

画像2

桜舞うなかに若草色の富士山が描かれている。

数年前だったかいつだったか(失念したけど)、お正月シーズンに東京ミッドタウンのなかにある「とらや」を訪れた際に見つけたものだ。

その時期、菓寮では期間限定で白味噌雑煮を提供していて、白味噌は好きだけれど日頃あまり口にする機会はないので、是非とも食べたい!と意気込んで食べに行った帰り、お腹も気持ちも満足な状態でとなりにある売り場の方に立ち寄ると、その奥、展示スペースのようなところにぽってりとしたカラフルな富士山の張子が並んでいたのだ。

なんだろう、これ?、と思って手にすると、張子なのですごく軽い。
ひとつひとつに丁寧に富士山の絵が描かれていて、なんというのか、工作のような手作り感が溢れていて、その素朴な風合いがとても愛嬌があった。
正月だし、縁起も良さそうだし、春の富士山っていいよなあ、と眺めるほどに惹かれてしまい、よし自分への正月土産に買おう!と思って購入した。

以来、この張子は毎年、お正月から桜の時期に飾ることにしている。
小さくても季節を感じるものが部屋にあるとなんとなく丁寧に暮らしている気分になれるし、この張子、色合いも含めてかわいいから部屋に愛らしさを加えてくれる。

普段なら季節柄もう仕舞っているところだけれど、今年はステイホームな状況もあって今もまだ部屋に飾っている。けれどそろそろ夏も近づいてくるので、また来年会いましょう、と言ってそろそろ仕舞うかもしれない。

画像2

画像3

ちなみにこれは折形デザイン研究所が制作している。
とらや御殿場店限定で販売されている羊羹「四季の富士(春)」を図案にしていて、大きさも羊羹一切れサイズ、となっているのが遊び心があって素敵だなあと思う。

***

本エッセイでは5つの暮らしを彩る小さなものについて綴っています。
以下もよかったらご覧ください。
『暮らしを彩る小さなもの』①→ ガラスのペーパーウェイト
『暮らしを彩る小さなもの』②→ 真鍮の小さな家のオブジェ
『暮らしを彩る小さなもの』④→ 小さな紙箱
『暮らしを彩る小さなもの』⑤→ 果物クリップ

お読みいただきありがとうございます。