春に思う
桜もすっかり葉桜になり、野山に花咲く春。
新年度も始まり、この空の下のそこここで
新しい生活が始まっているのだろう。
去年縁あって設計(プランニング)を教える機会があった
学校の先生と今日、再びお会いしてお話した。
私の担当したテーブルには4人の学生さんたちがいて
1日で設計のプランニング(エスキスまで)を仕上げるという
授業だった。
4人はそれぞれ個性的で、それぞれ実現したいプランがあって
外部から来た講師と一緒に作るという照れと、私の言うことを
真剣に捉えてプランを作ろうという熱意と、投げかけられる
問に関しての戸惑いが入り混じり、それはそれは可愛らしかった。
可能性の卵だな、と思った。
この卵の面白い所は孵化するものが決まってないところだと思う。
アヒルの卵からはアヒルしか生まれないが、この卵からは何でも生まれる。
生まれたあとも変われる。それが可能性で無くてなんなんだろう。
先生のお話は、そのテーブルの学生さんの一人が大工志望だったが、設計の授業をきっかけに設計志望に切り替えて就活を進めているという話だった。
それを聞いて私はとても嬉しかったのだ。
私という人間が何らかの影響を及ぼしたからでも、若者の将来を決める手助けをしたからでもない。
あの短い「授業」という時間の中で、彼らが自分で自分の種を見つけたからだ。
人生の道筋は、そんな大小さまざまな選択と、自分の足を前に運ぶ勇気の繰り返しだ。素敵な人生を歩んで欲しい。