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木次夜歩き

木次夜歩き

 夜に町を歩き回るのが好きだ。
私が路地から路地へと伝い歩きする頻度は、週に1日から2日。普段はホームグラウンドとも言える松江市の天神町周辺がメインだが、出張にでれば、そこの町を歩く。この町歩きにはほろ酔いを伴うことも多い。というかほろ酔いを伴う可能性は8割くらいだから、ほぼ

酔っ払いの徘徊

・・・うん。
その内天神町の名物おばさんになってしまうのが目に見えるようだ。「ツボさんまた歩いてたねえ」・・って。気を付けよう。

話を戻して、最近歩いたのはお隣、鳥取県の米子の朝日町。
雲南市の木次町など。
小旅行の理由はワークショップへの参加だったり、まちづくりを通して知り合いになった、全国を飛び回る素敵な女性がのお声掛けで、新しい出会いをいただいたりと、どちらも新しく、楽しい出来事だった。
その中で木次の町並みに惚れ込んだので、今日は木次の町をレポートしたい。

木次町の中心地は島根県雲南市の桜土手が有名な川沿いに長く伸びる集落群。木次駅がその端に当たる。
駅を起点に南北に向かう通り、更に緩やかにカーブを描き、東に向かう通り沿いに、商店や民家が並ぶ。昭和の息吹を感じるその商店街に直行する様々な通りは、片側は山に、片側は桜土手に通じる道路となっている。

その並びが素晴らしい。メインの通り、直行する通りもほぼ2階建ての町屋の民家が立ち並び、空き家もあるのだろうけれど、魚屋や町の商店、クリーニング屋や雑貨店などのそのエリアの人の生活を担う店店が現役で存在し、レトロな旅館も2軒存在する。そのうちの1軒に泊まったが、宿の方は「色々直している最中で、ご不便なところもあってすみません。」と仰ったが、何を何を。何も問題ありません。それどころか最近便利で安いカプセルホテルに泊まり慣れてきた私にとっては、お帰りなさい、の声掛け、朝に部屋に届く温かいポットの湯、ごゆっくりお出かけください、の言葉。町並みと相まって全て最高の時間だった。

便利さと、どこでも同じ物差しでの生活のクオリティを確保する為に、町は様々なものを失って来たのだと思う。人はそこに失われた記憶を求め、喪失感を埋めてくれる懐かしいその場所に戻りたいと漠然と願っている。
それが日常として存在する町はそこを繰り返し訪ねる理由がある。

私もまた木次の町に。幾度となく行くことになるのだろう。


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