肩を抱くように肉を焼く
何か物事を深く考えすぎてしまうきらいがある。
もっともらしい理由を探して、過去にまでさかのぼり、嘆いたり憂たりするくせに、それを論理立てることがカタルシスになっている。
いつも朗らかな友人に、上機嫌でいるコツを聞いてみたら、シンプルな答えがかえってきた。
「不機嫌な時は大抵お腹すいてるんだよ。ファンタでも飲んでおいでよ。」
炭酸でお腹もふくれて、糖分も一緒にとれるよって、底抜けに明るい笑顔で、笑い飛ばすように教えてくれた。
どんな書物より、どんな慰めより、心理ではなく、生理に働きかけることの方が、いち動物として抗えない確かさがある。
ただお腹が空いているだけ。
そう、
物事はもっとシンプルだということを、素直に受け入れた方がいい。
元気のないあの人の肩を抱くように、大好物の肉を焼こう。
麻佑子