7月7日【2】
午前中に破水してしまったためこの日から入院となり、夕方出産を撤回された私はこの日から泊まることになる部屋へ移動しました。もともと希望していたお部屋は上から2番目のランクのお部屋。夫も泊まれるよう、ベッドがあるお部屋です。私の通っていた病院は全室個室ではあるのですが、家族が泊まれなかったり、泊まれても簡易ベッドだったりで、夫が一緒に夜を過ごすにはいささか不便。ちょっと高くついてしまうけれど、はじめての子育て、夫ができるだけ身体を痛めないように、きちんとしたベッドのあるお部屋を希望していました。が、この日はそのお部屋に空きがなく、一番上のお部屋しか空いていなかったのです。一人でこの痛みに耐えるなんてとてもとてもとても無理!!高いけれど、背に腹は替えられない。翌日からは希望のお部屋が空いているようなので、この日だけ泊まることにしました。
広くてホテルみたいな部屋だけれど、ベッドからトイレまで歩くのが辛く、広さが仇になるなんて・・・と妙に切ない気持ちに。しばらく部屋で痛みに耐えているとようやく夕食の時間。5分間隔くらいに短くなってきているなか、体力をつけるために頑張って口に運びますが、痛くてなかなか喉に通らない。ううう、と唸りながらご飯を食べるのはなかなかに大変で、どちらか一方にしたいのが正直なところ。ご飯を食べてしばらくすると、再び分娩室へ移動し、子宮口チェック。そのとき、左隣の分娩室ではちょうど見知らぬ女性のお産が行われており、彼女のうめき声と女医さんや助産師さんの励ます声がリアルに聞こえてきました。すごく痛そうだし辛そうだけど、この人はもうすぐ赤ちゃんと会えてこの陣痛の痛みからも解放されるんだ・・・と羨ましいやら妬ましいやら自分の陣痛痛いやらでパニック。夫の手を握りつぶしそうになりながら思ったのは、「私はいったいいつになったら赤ちゃんに会えるの?」
そして、隣の部屋では「上手上手、もうすぐ出て来るよ!いきんで!」の声に応えるようにいきむ声。このやりとりが数回繰り返された後、ついに、赤ちゃんの泣き声が!自分の出産を経験する前に隣の部屋で顔も見たことのない赤の他人の出産現場のリアルボイスを聞くことになるなんて・・・。おまけに隣室の出産のおかげで助産師さんたちはそっちに集中。ちょうど右隣がナースステーションだったのですが、右の扉から左の扉へ、「赤ちゃん産まれたよ!」と言いながら私たちのいる部屋を通り抜けて隣室へ駆けつける助産師さんたち。「かわいい!」と言いながら左から右へと移動する助産師さんたち。
いや、わかるよ?そりゃ生まれたばっかりでバタバタするだろうし、生まれたての赤ちゃんはたいそう可愛いだろうし、毎日、何人もの赤ちゃんが生まれているのにそれを新鮮に喜んでいる助産師さんたちの姿を見て、この人たち、本当に赤ちゃんが好きで助産師になったんだなぁなんて変に感心したりしたんだけれど。でもね。私 に も か ま っ て!!!私、今陣痛中で、しかも昨日からで、夕方には生まれるって最初言われたのに結局生まれずこの時間になって、今絶賛痛くって、夫は隣にいてくれてるけれど、でもやっぱり助産師さんもいてくれたほうが心強いからいて欲しいんですよ!!私のところにも助産師さんカモン!!!
そんなこんなで分娩室にはいたものの、相変わらず子宮口に変化はなく、再びお部屋に戻ることに。痛みに耐えているせいで身体は汗だく。シャワーの許可を助産師さんがくれましたが、正直まったくそんな気にならず・・・。トイレですら途中で陣痛が襲ってきて一苦労なのに、シャワーなんてもってのほか!そんなもんやってられません。なので、「ちょっと無理です・・・」とお断りし、お部屋で長い長い一夜を唸りながら過ごすことになりました。