まゆぼー

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最近の記事

『ともぐい』河﨑秋子

「新たな熊文学の誕生」という惹句に惹かれた。熊文学とな! 北海道の山奥にひとりで住む猟師、熊爪(くまづめと読む。すごい名前!)が、ある日怪我を負った男を助ける。男は冬眠してない熊、「穴持たず」をを追っていたという……。 おもしろくてぐいぐい読んでしまった。熊爪のケモノっぷりがすごく徹底している。行動原理がほとんど熊。飼ってる犬(とても賢い)に名前もつけてないし、話す言葉が単語の羅列。狩猟シーンも迫力あった。熊を現実離れした怪獣にしてないのも新鮮だった。 映像化するなら、熊爪役

    • THE FIRST SLAM DUNK

      2022年最後の映画は、原作・脚本・監督井上雄彦の「THE FIRST SLAM DUNK」。 ボールの重さと硬さが素晴らしかった。冒頭の、手描きイラストが動き出すところも震えた。 私は飲んでる席で「スラムダンク」の話になると、みっちゃんを許してない件と、流川のキャラクターはよくわからない、性格の作り込みがぬるいという話をしつこく(本当にしつこく)している。みっちゃんに関しては「まだ⁈」と呆れられるだけだが、流川に関しては「流川はただの天才っていう設定でしょ」と返されることが

      • ラウンド16

        ラウンド16が終わって、ベスト8が出そろいました。怒濤の寝不足も一段落。いつもこのタイミングでさみしさが押し寄せる。もうすぐ終わってしまうんだなあ。 【オランダvsアメリカ】からだの大きさもあるけど、大人と子どもの試合みたいだった。オランダは予選トーナメント無敗で勝ち上がった数少ないチーム。だんだん調子を上げてる感じだ。 【アルゼンチンvsオーストラリア】メッシに対するアルバレスの献身的な働きを解説のゴンちゃんが「いいやつですねー!」と言っていて、まったくだと思った。

        • 予選トーナメントいろいろあった

          【グループA】オランダのファン・ダイクの大きさにびっくりした。コーナーキックのときにゴール前でジャンプすると、ラグビーでサポーティングされた選手がジャンプしてるくらいの高さに見えた。 セネガルはなんといってもシセ監督のスウェット上下にキャップにドレッドが素敵だった。別の試合で解説してた播戸が「シセはラッパーみたいでかっこいいですよね」と言っていた。 【グループB】64年ぶりに出場したウェールズに注目だった。国歌が流れた瞬間の選手の誇らしい表情が忘れらない。ベンチの人たちも涙

        『ともぐい』河﨑秋子

          W杯カタール大会が始まった

          W杯が始まった。 昨日は張り切ってフランス代表ユニ(98年モデル)でジムのスタジオエクササイズに出たけど、とくに気にとめる人もなく、ほかにW杯を意識した感じの人もいなかった。ハロウィンやクリスマスはそれ風な人もいるのに、オリンピックのときだってあの変なエンブレム柄のTシャツの人がいたのに。ひとりだけ「今日はスポーツマンぽいわね」と声をかけてきた顔なじみさんがいたので「今日からW杯だから」と勇んで応えたけど、とくに興味もなさそうにほかの知り合いの方へ行ってしまった。 開会式は

          W杯カタール大会が始まった

          原田知世 40th Anniversary Special Concert "fruitful days"

          最近の原田知世はミュージシャンのイメージが強いので、客層は高橋幸宏とか鈴木慶一とかを聴いてるような人かなと思っていたけど、昔からのファンや元オリーブ少女風な人や親子連れやカップルや、いろんな人が来ていた。サイリウムを振っている人もいて観客が自由に楽しんでいる感じでよかった。 知世ちゃん、前半はボブに赤い髪留めで、後半は髪を後ろに流したしっとりしたスタイルだった。少女のような装いのときに不思議な色香があって、大人っぽい装いのときにいたずら小僧のような顔がのぞいて、魅力の振り幅が

          原田知世 40th Anniversary Special Concert "fruitful days"

          『大丈夫な人』カン・ファギル(訳:小山内園子)

          サスペンスホラーな短編集。個人の不安が黒々した穴になって、その中に吸い込まれるようだった、ぷるぷる。これは「信用できない語り手」の妄想かもしれないと心を落ちつけ、穴の縁をつかみなんとか耐えるものの、最後の最後に、つかまってた指を1本ずつ剥がされるような不安な気持ちになる。すごい怖かったー。 #海外文学 #韓国文学 #白水社エクスリブリス

          『大丈夫な人』カン・ファギル(訳:小山内園子)

          サマンタ・シュウェブリン

          サマンタ・シュウェブリンが全米図書賞を受賞したそうで、とても嬉しい。なぜならば、シュウェブリンの最新作はまだ日本語訳が出ていないので、これを機にどこかの出版社が出してくれるかもと期待できるから。『七つのからっぽな家』の訳者解説によると、最新作は「インターネットを介すると人はどう行動してしまうのか」をクローズアップした小説で、「性産業先進国、性教育後進国」として日本が登場するらしい。大変不名誉なことではあるが、とても読みたい。タイトルは『ケンツキの季節』。日本語訳ポルファボール

          サマンタ・シュウェブリン

          『エトセトラ』VOL.6 特集「スポーツとジェンダー」

          体育2ついでに。 大変興味深く、もう隅から隅まで読んだ。 私は体育は苦手だったけど、大人になってからひとりてのんびりジョギングやゆっくり水泳を続けていたら、すっかりからだを動かすのが好きになって、授業でイヤな目にあったことはずいぶん昔にどうでもよくなっていたので、体育が苦痛だったことをずっと思い悩んでいる人がこんなにたくさんいるのに驚いた。と同時に、こういった声がいままでほとんど印刷物になってなかったんだな、よく本にしたなと感心した。素晴らしい、エトセトラブックス。 この本読

          『エトセトラ』VOL.6 特集「スポーツとジェンダー」

          『パッセンジャー』リサ・ラッツ(訳:杉山直子)

          名前を変えながら逃げる女の話。犯人探しではなく、何が起こったのかが明かされていくミステリー。 帯に「二度読み必須」とあるように、読み終えてからもう一度最初にもどった。 自分の力でなんとか逃げ続けるヒロインが良い。やはり人間、運動神経ですな。体育2の私なぞ最初の段階で殺されてる。 途中で、現れる謎のノー・マーシー女ブルーも魅力的だった。 #海外文学 #小鳥遊書房

          『パッセンジャー』リサ・ラッツ(訳:杉山直子)