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布団屋のおじちゃま
毎週日曜日は私の唯一のお休み。
よっぽどのことがない限り、お店の営業日には毎日店に出勤している為、日曜日が唯一のお休みで私だけの時間である。
コロナ流行から、ここ数年のお休みといえば
好きな漫画を熟読したり、たまーに映画見てフィルマークスに記録したり、ひたすらコメディ見漁ってあぁでもないこーでもないと文句言いながらも笑って、お気に入りの曲を探したり、歌える曲を増やすために歌練をしたり。そんな近年の休日だった。
とある日の日曜日。
数週間前から家の中で話には上がっていた。
ー 布団を新しくしよう。
ちょうどお休みだし、今日は活発に動けそうだった。車を出して布団屋探しに向かった。
どーせなら、少しいい布団にしようかな。
そんな会話が道中で繰り広げられる中
布団といえば西川ふとんだよね!と彼。
私は物の知識が乏しかく、そこで初めて耳にした西川ふとんに興味が湧いた。
向かった先が地元だった私は、なんとなしの記憶で布団屋があった気がした方へ歩いて行くと、『東京西川チェーンサホダ』とある布団屋さんがそこにはちゃんとあった。
外から店内を覗くと、スタッフは見たとこ女性2人と男性1人。こじんまりとしたお布団屋さんだった。
ちょうどお目当てだった西川と書いてある布団屋を見つけて、巡り合わせを感じ入ってみることに。
すぐに女性スタッフが、いらっしゃいませ。と駆けつけてくれた。
ー布団を変えようか悩んでいてちょっと覗いてみたんです
それを聞いた女性スタッフはオススメの商品を引っ張り出してくれた。
敷布団や羽毛布団に触ってみたりするが、良さそうな感触だけは感じても、結局寝てみないとわからないのが正直なところで、ビビッとくるものがあれば新調しようかくらいの気持ちでいた私だった。
彼との会話を聞いていた男性スタッフがすっと話してくれた。
どんな布団を探してるのか、寝心地の良さや布団の良し悪しについてお話ししてくれたが、私は布団の知識が乏しいため、話し上手で博識な彼に任せ横目で布団屋の雰囲気を楽しんでいた。
彼が大体お店の人と話しだすと、不思議なことに会話は弾み、それを好きになった理由から歴史まで話してくれる人が多く、お店から出る時には互いにどことなく嬉しそうな顔で、どこか満足気な印象だった。
数分話していると男性スタッフさんはこの店のオーナーさんだと分かった。
尚更話は弾み、おじちゃまはこの商売に携わり40年が経つと話した。
店内にはカナダ産の羽毛、ポーランド産など様々な布団に纏わる物が置いてあり、その地は羽毛布団の産地であることを教えてくれた。
その結果
お目当ての西川布団ではなく
高級マットレスを購入した。
おじちゃまは私達のためにわざわざ駐車場までマットレスを運んでくれて、マットレスカバーもプレゼントしてくれた。
ー またなんかあったらすぐご連絡くださいね。
優しい笑顔で私たちを見送ってくださった。
私の彼は、いつも物選びをする時にこう話す。
俺よりその商品が好きだなと感じたら買う。
自分が販売してる商品の事をよく分かっていない。なんとなく販売している人は多くいるが、結局買ってみたら良くなかったみたいな事は度々あるし、服屋に行くと店に入った瞬間に声をかけられる。自分と対話をしながら、お気に入りの物を見つけるのが楽しみの一つでもあるウィンドウショッピングにおいて、まだ何も決まってない状態で何かお探しですか?と聞かれるとなんだか少しだけ嫌な気持ちになって結局お目当てのものも見つからず、勝手に気まずさを感じてお店を後にすることもしばしば。
布団屋のおじちゃまは違った。
そもそも私は布団を買うかさえも悩んでいたし、結局買ったのは西川布団でもなく、高級マットレス。
私たちに話しかけてくるタイミングも、ありきたりな営業トークもなく、話せば話すほどその人と布団への魅力を感じた。
私がお店を出る頃には、布団について前より少しだけ詳しくなっていた。
自分の目で見て、自分の手で触れて、自分が良いと思った物をお店に置いていて、この人が言うのなら間違いない。
と思わせてくれた事に物の価値を感じたのだ。
それからというもの、私は快適な睡眠ライフを送っている。
いろんな商売の形がある中で、消費者である私たち側に立ち、考えてくれること。
予算や理想に近い物を提供してくれたこと。
高い商品をただ押し売りしたかったようにはまず感じないし、ただ良い物を良いと伝えたい。
私達の生活もそれによって向上されていき、人々の人生が豊かになる事にも紐づいてる気がした。
いくら高かろうが無駄な買い物ではない。
と思わせてくれた事で、満足した買い物をする事ができたと同時に、仕事でのあり方をまた考えさせられ、私もそんな人になりたいなぁと思った、とってもハッピーな休日のお話しでした。
あまり外出する事が減った中、久しぶりに外へ出て気分の上がる買い物ができて、自分の好きな事のために働く、素敵なおじちゃまに出会い、学びを頂いた。
それだけで
良い一日なのかもしれない。
キャバ嬢のワタシ
https://www.instagram.com/mynamemayu