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第0日目-2【メンタル病んだので最長片道きっぷの旅に出ました】

2024年1月24日。

 翌日から最長片道きっぷの旅を始めるべく稚内へ向かおうとしていた筆者だが、暴風雪により宗谷本線が運休。まさかのスタート地点に辿り着く前から足止めを余儀なくされた。
 どうなる、私の最長片道きっぷの旅……

↓前回はこちら

 時刻は13時頃。駅構内の「旭川駅立売商会」の売店で幌加内ほろかないそばを頂いて気持ちを落ち着かせつつ、今後のことを思案した。

 勿論、他の交通機関で稚内に向かうことも検討した。稚内へは札幌から長距離バスも出ているし、新千歳空港からの航空便も利用できる。だが私はこれらを利用する判断を見送った。

 特に運行情報を詳しく調べたわけではないが、列車が運休するほどの悪天候で飛行機が飛ぶとは思えない(後で知った話だが実際、稚内空港はその気象条件の厳しさなどから欠航率の高さで有名だそうだ……)。
 バスにしても、おそらく留萌るもい羽幌はぼろなどの日本海沿岸部を経由すると思われ、天候の影響を受ける可能性は大いにある。出発できたとしてもその後どうなるかが判らない。このとき私の脳裏に浮かんでいたのは、以前ニュースで見た大雪で何十時間も立ち往生する車列の映像だった。そのような事態に巻き込まれるのだけは避けたい。
 何より首尾よく稚内に到着できたとて、特に今回の旅においては列車が動いていなければ何の意味もないのだ。

 とりあえず、旭川に滞在して様子を見ることにした。
 旭川ならば運転再開までの暇を潰す手段はいくらでもあるし、もし列車の運転再開が決まればすぐに乗ればよい。札幌などに出るのも比較的容易であるし、最悪の場合そのまま飛行機で帰宅することも……
 正直、この旅自体を断念して帰宅することも検討の内だった。

 予約していた稚内の宿にはキャンセルの連絡を入れた。宿泊当日だったが天候事由のためキャンセル料は無料にしてもらえた。大変申し訳ないが感謝である。

 一通りの方針は立ったが、初日……というか、スタート地点に立つ前からの大トラブル。前途多難である。

(写真左)2328M 旭川13:47発~滝川1428着
721系 F-13(クモハ721-13ほか)

 この日も一日暇になってしまった。
 とは言え、せっかく来た北海道。やりたいことは探せばいくらでもあるので気持ちを切り替えよう。
 新たに予約した旭川駅前の宿に荷物を預け、13時47分発の函館本線普通列車で、札幌寄りの滝川たきかわに行ってみることにした。車両はJR発足直後に登場した721系電車。同車もちょうど今春のダイヤ改正で旭川駅への乗り入れが終了したため、これも貴重な体験となった。

特急カムイ19号
789系1000番台 HL-1006(クハ789-1006ほか)
滝川駅にて

 滝川駅にて、行き交う列車を暫し撮影。

 特急カムイ用の789系電車には、当時公開間もなかった映画『ゴールデンカムイ』とタイアップしたラッピングを施された編成があった。しかし残念ながらこの日はカムイ号の運用には入っておらず、見ることは叶わなかった。今回の北海道滞在中に是非とも見たかったし、時間ができたこの日が最大のチャンスだったのだが……
 こればかりは運の要素もあるので致し方ないことだが、大きなショックの後では些細な不運もメンタルに重くのしかかる。

2479D 滝川15:38発~東鹿越17:32着
キハ40 1747(宗谷線急行色)

 すると今度は根室本線のホームに、宗谷線急行色のキハ40が入線してきた。かつて宗谷本線を走っていた急行列車「宗谷」「サロベツ」「利尻」用の車両が纏っていたカラーリングを再現した車両だ。
 運休になって乗車が叶わなかった宗谷本線に因んだ列車がやってくるとは何かの巡り合わせか。

 この列車が向かうのは根室本線の廃止予定区間の東鹿越ひがししかごえ。これから最長片道きっぷを用いて通過する予定の区間でもあり、ネタバレ……というか先読み感は否めないが、せっかくなので乗ってみよう。

17時32分、東鹿越駅に到着。

 富良野駅を過ぎ、廃止予定区間に入る頃にはとうに日も暮れて、車窓風景は楽しめなかった。
 しかし終着・東鹿越駅で筆者を待っていたのは、月明かりに照らされる終着駅……そんな言葉の浮かぶ光景だった。

 東鹿越駅が終着駅……というのは正しい表現でないかもしれないが、ここから先、新得しんとく・根室方面は2016年の台風被害により不通・バス代行となっており、鉄道としては実質的に終着駅だった。

東鹿越駅 駅舎を入れて一枚。

 最長片道きっぷの旅の行程上では、この区間は明るい時間帯に通過する予定だが、もし予定通りならばこの景色は見られなかったはずだ。
 この日の足止めはこれのためだったと考えれば、そこまで悪い気分もしない。

17時42分。折り返しの列車(2484D)で東鹿越駅を発車。滞在時間は僅か10分だったが、期せずして見られた素晴らしい景色に大満足だった。
復路の列車(2484D)車内。この時間はさすがにお名残乗車する旅行者も疎らだ。
往路の2479Dもそうだったが、1~2人の学生が利用していたのが印象的だった。数少ない日常利用者だろう。
富良野駅にて。18時22分の到着後、回送される宗谷線急行色のキハ40。
かつての夜行急行「利尻」号の雰囲気は味わえた……かも?

 旭川へと戻る19時14分発の富良野線まで1時間弱。
 せっかく観光地・富良野に来たのだからここで夕食でも取ろうと思ったが、営業している店が意外と少なく、開いている店もインバウンド客で混雑しており断念。駅近くに少し気になるカレー屋さんがあり、是非入りたかったのだが……

740D 富良野19:14発~旭川20:25着
H100形 H100-81
乗車したH100-81は観光列車としても運行できる仕様の車両で、座席モケットは北海道に因んだ風物の模様になっている。

 突然のトラブルの中でもそれなりに楽しんだ旅行初日だったが、しつこいようだが私はまだスタートラインにも立っていないのである。
 果たして無事に稚内に辿り着き、最長片道きっぷの旅をスタートできるのだろうか……


現在、稚内から  -259.4km
新大村まで あと 11,145.0km

(いずれも営業キロベース)

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