PIPE DREAM(2019) ⑩一等賞
2019年1月21日
京都府立文化芸術会館にて
毎稽古毎稽古流れが変わってゆく。河井朗は悩んでいるようだ。
今日も河井朗はみかんを持っていた。今回のみかんは甘い。
本格的に、テキストを用いての稽古を開始した。
自分を中心にしてテキストをきれいに広げ、順番に読んでゆく。おもしろいとかなんか違うとか言いながら。
稽古場に、実行委員の沢さんがきてくれた。
沢さんとははじめましてだったのだが、はにかんだ笑顔が幼い子供のようで愛らしい方だとおもった。
沢さんに、なかばむりやり今あるテキストを読んでもらう。そのあと質問責めにする。
「親に言われたことで守っていることはありますか?」と河井朗。
沢さんは、「僕に直接言われたことはないけれど、『熱くなれ』って」と答える。
それを聞いて、わたしのおじいちゃん、わたしがまだ10歳くらいのときに亡くなったおじいちゃんの口癖「一等賞や」を思い出した。
脇の下から身体を両手で高く抱き上げて「一等賞や」と言う。それを、誰にでもする。わたしにも妹にもいとこにも。さっきわたしに一等賞やと言った口で、そのまま妹にも一等賞やと言う。
大人って! みたいな、男って! みたいな、そんなふくざつな気持ちになったことを思い出した。けれど、そう言われている瞬間、わたしはたしかに一等賞だったのだと今なら分かる。
ここ二ヶ月ほど河井朗と行動を共にしていて思うのだが、それにしても河井朗、物怖じしないというか怖いもの知らずというか、年上や目上の人間に対してまったくと言っていいほど遠慮(みたいなもの)を見せない。いや、そんなことはないんだろうけど。
絶妙な距離感でずかずかと踏み入る。たぶんそれが心地いいというか、みんな、わりと「わるくない」と思っているんだろうな。だから河井朗はかわいがられるのだな、と得心しているこのごろ。
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Kyoto演劇フェスティバル
京都府文化芸術会館 U30支援プログラム
ルサンチカ『PIPE DREAM(2019)』
会場:京都府文化芸術会館 ホール
時間:2019年2月16日(土) 17:30
料金:一般|前売 ¥1,000- / 当日 ¥1,200-
高校生以下|前売 ¥500- / 当日 ¥700-
予約:https://www.quartet-online.net/ticket/u30
WEB:https://www.ressenchka.com/