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私の英語多読遍歴86:Eleanor Oliphant is Completely Fine

多読のおすすめに上がることもよくある本。レビューもよく気になっていたので読みました。

いわゆる「変人」な女性のオフィスワークの話かなと適当な予想で読んだのですが、これが全然違ってとても面白かったです。

【あらすじ】

オフィスワーカーのエレノアは化粧っ気もなく髪も伸ばしっぱなし。少し変わった女性として周りから見られていて、でも本人はそれで問題ないと思っている。潔癖で言葉遣いは丁寧、空気は読めない。毎日会社と家の往復で、楽しみは新聞のクロスワードを解くこと、週末にウォッカを飲んでピザを食べること。友達はおらず、家族も週に一度電話をしてくる母親のみ。

ある日地元のミュージシャンに一目惚れし、いわゆる「推し」がまず彼女の生活を変え始めます。彼のSNSをチェックするためにPCや携帯を買い、コンサートに行くために新しい服を買ったりメイクをしてみたり。それと並行して職場で知り合ったレイモンドとある事件に遭遇したのをきっかけに世界が広がり始め、その中で少しずつ心の底にしまい込んでいた過去の傷などが表に出てきて、自分を大切にすること、他人と心を通じ合わせることの大切さに気づいていきます。

【感想】

幼少期のつらい経験により心を閉じた女性が小さな出来事をきっかけに変わっていく話、といえばそれまでなのですが、私に特に刺さったのはエレノアの持つセルフネグレクトや自己否定の感情でした。

母親に否定され、傷つけられながらもそれでも誰かに愛されたいと思う。その心の底とは裏腹に「一人でも全然平気」と去勢をはって生きている不安定さは、状況こそこれほどひどくないものの私自身にも共通する部分があり、特に母親との会話は胸が苦しくなる場面もありました。

英語は読みやすいです。主にレイモンドが若者らしいくだけた表現を使うのですが、それに対してエレノアが「なんで無闇に略すのだろう。言葉は相手に伝わるように正確に表現するべき」などと初めは思いながら、そのうちだんだんと彼の言動を真似してみるようになるあたり、心を開いていく過程としてわかりやすくて印象的でした。

全体に軽いタッチで、過去の傷のシリアスな部分と、エレノアの真面目すぎるゆえのおかしみのバランスが良くて最後まで飽きずに読めました。悲惨すぎず、軽すぎず、読みごたえがあって面白かったです。

以上「Eleanor Oliphant is Completely Fine」でした。

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