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私の英語多読遍歴127:The Paris Library

セール本を眺めていたらなんだか気になって、きれいな表紙が気に入ったので。

1939年のパリ。本を愛するOdileはパリのアメリカンライブラリーで働くことになった。しかし戦争が始まり、やがてドイツ軍がパリを占拠する。なにがあっても図書館は開き続けると決意したスタッフたちは、出入りを禁止されたユダヤ人利用者のために本を届け、外国人のスタッフや利用者を命をかけて守ろうとしていた。
時は流れ1983年アメリカ。少女Lilyは隣に住むミステリアスなフランス人の老女Odileに興味を持ち、課題のインタビューという口実で家を訪ねる。

ベースはOdileの目線でのパリの話、少しずつ悪くなる戦況、底をつく食べ物、そしてドイツ軍の侵攻に伴って変わっていく街の様子が描かれます。これが実話をベースにしているということで、あたりまえですがとてもリアリティがあります。主人公Odileは実在しませんが、図書館の館長やスタッフなど、実在の人物が多く登場しているようです。

ナチスの侵攻がどのように街を変えていったのか、人々の間にはびこる悪意や怒りがどうして密告という形をとっていったのか、特別な力があるわけではない図書館のスタッフがどうやって本や利用者、そして外国人である仲間を守ろうとしたのか、教科書では絶対にわからない事実を知ることができます。作中に出てくる密告の手紙の一部は実在のものだそうで、これが本当に…なんというか人の悪意が立ち上ってくるような文面で読んでいるだけでぞっとしました。

LilyのパートではLilyからみたOdileが書かれており、それがOdileの過去の話のよい牽引となり、またOdileのストーリーをうまく着地させる役割を果たしていると思います。

英語についてですが、イギリスのインフォーマルな単語や戦争関係用語など、知らない単語はけっこう多かったです。飛ばして読むと意味がわからないものも多かったのでKindleの辞書は今回結構使いました。フランス語が文中に多く出てくるので、耳だけだとしんどそう。

今回も大半はオーディオブックを聴きながら読みました。Odileのパートはかすかにフレンチアクセントのあるブリティッシュ、Lilyパートはアメリカンと朗読者が分けられていました。めっちゃ贅沢じゃないですか?フランス語はフランス語で綺麗に発音してくれるので、これはオーディオブック聞く価値ありです。とはいえ、結構スピードも早く理解が追いつかないところも多々あって、一旦止めて読み直したりもう一回聞き直したりすることが多かったです。

戦争ものというと敬遠しがちなんですが、これは昔の映画を観ているような感じでフランス語にうっとりしつつ読めますのでおすすめです。淡々と進む朗読がかえって悲しみを際立たせるというか、雰囲気最高なのでぜひ。

以上、「The Paris Library」でした。

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