私の英語多読遍歴80: The Case of the Cryptic Crinoline: An Enola Holmes Mystery
エノラシリーズ5作目です。
エノラがその正体を隠して暮らす家の大家、トッパー夫人は人はいいけれど耳が遠い老婦人。いまいち話が通じないものの、ボロボロになって帰ってくるエノラを優しく手当してくれるなど、エノラにとっては母親のようにも思える人です。
害のない脇役かと思っていたら、そんな彼女には悲しい過去があり、そこにはなにか陰謀の気配。そしてある日エノラが留守のあいだに家は荒らされ、どこかへ攫われてしまうトッパー夫人。
事件の鍵となる暗号メッセージが見つかる過程が面白かったです。前回でも少しありましたが、流行の服装からヒントを得るとか、飾りがあるのはいいけれどなぜここに?みたいな女性でしか分かりえないであろう視点からの考察がすごくいい。
襲った男たちの目的は何か?夫人はどこへ消えたのか?捜索を進めるなか、エノラはある有名な婦人に出会います。彼女の助けを借りて夫人の居場所を突き止めるのですが、そこにまたシャーロックが絡んできます。シャーロックの姿を見かけた瞬間に反射的に逃げ出すエノラ。それを追いかけるシャーロック。もはやお約束w
それでも敵陣に単身乗り込んだエノラを支えたのは兄に対する信頼でした。この展開がアツい。兄のことは敬愛している、認めて欲しい、でも淑女教育は絶対に嫌。このジレンマが彼女を逃走に向かわせているのです。
シャーロックが大家であるトッパー夫人の捜索に関わったということは、じきに隠れ家は見つかってしまうでしょう。自分が安心して暮らせる家、愛情をかけてくれる家族がないことに時折とても落ち込んでしまうエノラですが、それでも自分を奮い立たせて行動し続けます。強い。
次回でシリーズ最後ですね。幸せになっては欲しいけれど、この時代女性として自由を得るには慣習から逃げるしかない現状で、はたしてどういった結末になるのか楽しみです。
以上「The Case of the Cryptic Crinoline: An Enola Holmes Mystery」でした。
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