
Photo by
akisuke0925
生廻(せいかい)
君は美しい、と彼は言った。
目と耳が二つずつ、鼻と口が一つずつ、黒髪の私。
君は美しい、と彼は飽きる様子もなく口ずさんだ。
傷つけられ、傷ついた。憎まれ、憎み、愛し、愛され、貪り、貪られた。延々と廻る愛と傷に、途方に暮れた時彼は現れる。愛している、と彼は言う。
傷口に塗る薬は痛むのに、彼の言葉は傷まない。良いも悪いも廻し続ける世界に嫌気がさした時、彼はいつも抱擁をくれる。その度に私は、子供のように泣きじゃくる。安心して、何も隠せず、泣きじゃくる。また、救われる。
廻し続ける自分が嫌いになったとき、私が私を傷つけるとき、彼は抱擁を与えに来る。短な脚で、走れずに動けなくなっていた時、彼は羽をくれた。鳥は飛ぶために、馬は走るために、人は生きるために生まれたのだと、彼は言う。
彼の愛を中心に、今日も廻る