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オレンジ色に思いを馳せた日

この投稿でもお伝えした通り、トロントの職場は色んな国や地域にルーツのある方が働いている。

日本で言われている「英語ネイティブ」「カナダ人」ってなんだろう…、と常日頃から思っている。

私の学校の先生であったカナダ東部出身の彼は「自分は移民だ」と、いつも言っていた。カナダに生まれ、カナダで育っても、元を辿ると2、3代目はヨーロッパなどからの移民だったりする。彼の祖父母はアイルランド人とイギリス人だと聞く。

彼曰く「カナダで移民じゃない、と言えるのは先住民族の方たちだけだと思う」だそう。そう考えている方は少ないと思う。まあ、カナダで生まれて育ったら「カナダ人」で間違いない、と私は思うが、繊細なトピックである。ところで、台湾出身の私のパートナーも、カナダの市民権を持っているので、カナダ人でもある。

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先日9月30日は新たに制定された

National Day for Truth and Reconciliationと呼ばれる日であった。日本語では真実と和解の日、と訳されるようだ。

上のサイトにあるように、州ごとに祝日にするかは異なっていて、私の住むオンタリオ州は祝日に設定せず。何故でしょう。オンタリオ州にも沢山の先住民族の方が住んでいて、以前通っていたクラスメイトにも、トロントから北に進んだエリアの先住民族の村出身だと教えてくれた。

彼女の家族の住む村へは、交通機関が発展しておらず、バスで暫く走ったあと、誰かに車を運転して貰わないと辿り着けないらしい。同じ州内だが、移動に片道1日掛かると言っていた。

この日、オレンジ色のTシャツを着る、という事がもともと問題提起のサインとしてあった。今年以前は「Orange Shirt Day」という名前で知られていた。

私は保育園で働いているので、ピンクTシャツデーだったり、グリーンのものを身につけるデーがあったり、バレンタインデーは赤を着たりよくある。だが、オレンジ色は個人的に好きじゃないこともあり、持っていなかった。

「オレンジTシャツを買う場合は、先住民族の方のビジネスから直接買いましょう」とか「デザインの盗用が見られるコマーシャルブランドからの購入は避けましょう」など話題を目にした。先月は、モールに出掛けた度に(とりあえず、普段も着れるオレンジ色の服を買えばいいや)と思いオレンジ色の商品をチェックしたが、オレンジ色があまり好きではないではない事もあり購入に至らなかった。

パートナーは、職場からオレンジ色のメッセージの入ったTシャツを支給されていて、9月は職場でしばらく着ていたようだ。

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当日、ちょっとドキドキしながら職場に向かった。オレンジ色を着ていない後ろめたさがあった。

地下鉄内では何人かオレンジを身につけている人々を見た。そして職場でも何人かオレンジを、同じクラスの一人は赤を、そして私を含んだ殆どの人々が普段のお洋服だった。

子どもの中にも長袖Tシャツの上からオレンジTシャツを着ている子もいた。(当地はもう肌寒くなって来たので長そで、朝はジャケットが必要である)

私はちょっと拍子抜けした。ああ、こんな感じか、着ても着なくてもいいんだな、と思った。こうなんというか、着てないとイジメられる、みたいな、着ていないと不届き者だ、みたいな感じではないのだ。それだと本来のオレンジTシャツデーの意味から逸れてしまう。

そもそもオレンジTシャツは、先住民族の寄宿学校に無理矢理子どもが連れて行かれた初日に、着ていたオレンジ色のTシャツを取り上げられた、というモチーフなのだ。

「Every Child Matters」

「全ての子どもが大切にされるべきだ」(筆者意訳)というメッセージと共に、人権侵害、社会問題を人々が今一度振り返り、現代をより良いものにしていく、それがこの日の意味なのかと思う。

うちの小学生は、ピンクシャツデーなどに特に参加せず、好きな服を着て行く事が多い。

参加していないから意識がない、という訳ではない。

着ない、という選択を個人がした時に、その選択に寛容である社会っていいな、と思った。

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これはワクチンの話とはまた異なる。ワクチンは公衆衛生の話(もしくは、それが子どもなら子どもの権利)だと思っているのでサイエンスに沿って行動してもらいたい。

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保育園では、持っているクラスが乳幼児クラスという事もあり、とくにこれといったサークルタイム(お集り)は行わなかった。ただ、いつも以上に子どもたちに「I love you」と言うように心がけた。そういう事だと思っている。

保育園では例えば、こういう絵本を繰り返し読んでいたりする。

こんな絵本もあります。

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カナダに愛されている、国民的コーヒー&ドーナツ屋さんでは、こんなドーナツが発売されていた。今度買ってみようと思う。




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