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魔法少女とわたし

 とにかく女の子が変身する系だったらだいたい好きである。


 ……と言い切ってしまうと「変身」ではなく物理的に「着替え」をしているカードキャプターさくらが含まれなくなってしまうので、「女の子がコスチュームチェンジして魔法などの力を使う系」ということにしたい。


 プリキュアを毎シーズン視聴中なので(今シーズンはキュアコーラルが好きです)こういう「魔法少女もの」が好きなのは日々自覚しているが、この本を見てさらに熱量が大きくなった。


 作中に登場する変身アイテムや武器類がかわいいのはもちろんだが、それを実際に触れる形で具現化したおもちゃのかわいさといったらない。全作品網羅されているわけではなくセーラームーンとかは収録されていないのだが、そこは各自Google画像検索をすればよいので問題ない。全アイテムかわいいけど特にキューティムーンロッドとムーンスティック。大好き。あとCCさくらの封印の杖。鉄板。


 この本に掲載されている作品は未見のものが多いが、そういう作品のアイテムもめちゃくちゃにかわいいので新鮮な感動を得ることができる。魔法使いサリー(第2期)のタクトと馬車とドレッサーがかわいすぎて変な声が出た。普通にアクセサリーとしてつけられそうな姫ちゃんのリボンもカッコかわいいレイアースも素晴らしい。


 振り返って私はどうかというと、ここにメインで載っている変身アイテムのような「ド真ん中」のおもちゃをほとんど持っていなかった。載っているものだとキューティ-ハニーFの人形(如月ハニーver.)とおまけページにあったキティちゃんのポシェットはある。他に持っていたものといえば怪盗セイント・テールのクリアポーチ(となぜか原作の最終巻だけ)、CCさくらのポーチ、キューティーハニーの水着、コメットさんのぬいぐるみ、コレクター・ユイのサントラ、大物っぽいものだとセーラームーンSuperSの衣装。なぜか関連商品ばっかり。


 別に厳しい家庭でおもちゃを買ってもらえなかったとかではない。ただ単に何かをねだる子どもではなかっただけである。「あれがほしい」と言っても「ダメ」と一回言われるとあっさり引き下がるタイプだった(と思う)。大人になるにつれ物欲は増したがその分「自分のお金」が手に入り自由自在に野球のユニフォームやシルバニアファミリーやリカちゃんの服を買えるようになってしまったため、ダダをこねるチャンスを永遠に逃している。


 手持ちのものの中で一番お気に入りだったのは衣装。これさえあればクライシス・ムーン・コンパクトがなくてももうセーラームーンになれていることになる。これを着て保育園のイベントに行ったりもした。誰か止めた方がよかったんじゃないかとも思うが、あの頃はアニメのコスチュームで日常生活を送っても怒られないみたいな空気感があり、私がセーラームーン、もう1人がおジャ魔女どれみのコスチュームで1人だけトレーナーにズボンという普通の格好なはずの子が浮いているように見えるという変な写真も残っている。


 しかし、好きだったこれらの作品をまともに観ていたのかというと別にそんなことはなかった。セーラームーンRに関してはアニメブックでブラックムーンあたりの話やキャラクターの知識は得ていたが、アニメ自体を観た覚えがない。今だったらオタクに「これだからにわかは」とか言われてボコボコにされているところである。いや、観ていないのだからもはやにわかですらない。エアプみたいなものだ。どちらかというとちゃんと観ていたのは実写版の方である。北川景子がセーラーマーズとか今考えると豪華。


 それなのにセーラームーンの服を着たり将来はカードキャプターさくらになりたいとか言っていたのは、ストーリーやキャラクターではなくて単純にコスチュームやアイテムのかわいさに惹かれていたからだったのだろうと思う。ピンクも赤もスカートもフリルもリボンも大好きだった。が、なぜコレクター・ユイのCDを買ったのかだけがわからない。一秒も見たことないのに。母も買う前に「見たことあるアニメのにしたら?」ぐらい言ってはどうか。しかし曲だけ聴いても「これは日常シーンっぽいな」「これは変身の曲かな」とわかるので、劇伴のすごさを学ぶにはいい機会だったのかもしれない。


 サントラは置いておくとして、大事なのはこれらを好きだった理由が「女の子はこういうものが好きなものだから」ではなかったということである。「プリキュアより仮面ライダー、スカートよりズボン、ピンクより他の色、おままごとより木登りが好きな女の子もいる」は正しい。が、「自発的にプリキュアやスカートやピンクやおままごとが好きな女の子がいるわけがない」は正しくない。文字にしてみると当たり前のような気もするが、たまに突きつめすぎて極端なことになっている言説を見かける。そういうものを見るたびに親に言われたわけでもなく勝手に「セーラームーンってちょーかわいい!!」となっていた私は複雑な気分になる。好きなものは好きだし、かわいいと思うものはかわいい。


 そうやって大人になった私はバイト代で「魔法つかいプリキュア!」のリンクルステッキを買った。かわいいなぁ! こんな最高なものを世の中に出現させてくれるジャンル永久に不滅であってほしいな!

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(魔法少女おもちゃ、宝石の質感めちゃくちゃ大事)


 そのようなことを本を眺めて思ったりした。おもちゃが主題だが日本の1960~90年代の魔法少女史も概観できるので、未見の作品に興味を持つきっかけにもなる。とりあえず「有言実行三姉妹シュシュトリアン」と「美少女仮面ポワトリン」は前々から気になっているのでなんとかして観たいと思う。


(こちらの企画に参加させていただきました)


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