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2024年版幕張から帰れま10#2:唐川侑己とワンドのペイジ(L-M)

 明日の先発は唐川侑己だ!!と言われたので急遽チケットを取ったはいいものの、緊張しすぎてどうしようもないので占いに頼ることにした。タロットを1枚引いたらワンドのペイジ(正位置)が出た。思いっきり本の受け売りだが、このカードの意味は「未知の可能性」「情熱的なエネルギー」といったものらしい。プロ17年目でまだ未知の可能性があるとは人は無限のエネルギー(出光昭和シェル)という感じである。ついでに緊張しすぎて夢にも出てきた。9-4で負けていた。なんでもっと推しの先発を楽しみにできないのか?


 結論から言うと、未知の可能性を秘めた唐川さんはプロ17年目じゃなくて17歳の間違いだろというような顔をしてこの世で一番かっこいい登場曲(♪Get The Party Started)とともにマウンドに上がり、6回1安打無失点無四死球、5回までパーフェクトというピッチングを見せた。未知の可能性が可能性すぎて意味がわからない。試合のスコアの方は4x-3だった。「4」は合ってた。

 この日の唐川さんはとにかくもうめちゃくちゃ素晴らしかった。146km/hが決まってたしランナーを出しても乱れなかったし11mの風で帽子が飛んだり(しかも2回)ベンチでもぐもぐしたりしていた(現地では見えなかったが)。後半試合関係ない。周りの人がみんな唐川さんを褒めていてへへっありがとうございます///になった。

連写しちゃったよ

素晴らしいサムネ。


 唐川さんは勝利投手の権利を持って堂々とマウンドを下りた。一貫して(  '‐' )こういう顔をしていた。このまま終われば先発としては6年ぶりの勝利となる。が、「こんなに西武が出塁しているのに1-0で終わるわけがない……絶対なんかある……」というざわざわが消えない。ロッテが出塁してるわりに1点止まりなのもそのざわざわを加速させる。


 果たして、ピッチャーが代わった7回の表にランナーを2人置いた状態で2アウトから山村くんはライトにホームランをぶちこんだ。なんかこう、一番やけっぱちになるような展開である。ヒットで1点とかならまあ、唐川さんの勝ちは消えるけど1-0で終わらないことはわかってたからいいよという気持ちにはなる。しかしここでスリーランはチームの勝利すら遠く見せるような、そんな重みがある。なんでこっちのは押し戻されて向こうのは入るんだよ!マリンに自分がどっちのホームなのか教えてやれ!小学生の頃から34歳の今に至るまでここのマウンドで投げている唐川さんがいつぞや言っていた「野球をする上ではあんまり好きな球場ではないです」という豪速球デッドボールみたいなコメントが頭をよぎる。いやマリンのせいじゃない。山村くんの力。山村くんのことは占ってないけど彼もきっと未知の可能性を持つ男。

 しかし7回、ここで終わらなかった。その裏すぐさまポランコが打ち、あっという間に同点になった。もうあちこちで可能性が炸裂している。可能性祭り。

ありがとうポラ様


 唐川さんはこないだまで中継ぎをやっていたから、きっと打たれた西村さんの気持ちも痛いほどわかる。3年前、今日もスタメンに名を連ねておられる栗山巧様にシーズン初被弾して負け投手になった日のことを思い出す。いつまで思い出してんだという感じではある。と同時に、直後に味方が自分の失点を帳消しにしてくれた時の気持ちもたぶんよくわかる。被弾したその回の裏マーティンが逆転ホームランを打って被弾したのに勝利投手になった時のことも思い出す。ピッチャーは孤独かもしれないけど、中継ぎは特にそうかもしれないけど、でも一人で何もかも責任を背負わなければいけないというわけではない。リリーバー唐川侑己を応援する中で何度もこのポジションのことを考えた。そして今日も考えた。


 同点で9回裏まで行ったので私はポラ様のホームランで変わった流れが依然としてこちらにあることを確信していた。ここでヒロミナイトでよこやん勝ち投手だろ、私は詳しいんだ。しかしヒロミナイトは不発で、試合は延長戦に突入した。唐川さんがサクサク投球してくれたおかげで一時は他のどの球場よりも進みが早く、もしかしたら8時台で終わるかもしれない……と淡い期待を抱いていたのにいつのまにか他球場は全部終了していた。置いていかないでほしい。あと8時台の夢を返してほしい。ついでにカープの点が欲しい。

 10回裏があっさり終わってしまい、ちょっと「このまま引き分けかピッチャーが持ちこたえられなくて……」という想像が頭をよぎる。しょっちゅういろんなことがよぎる試合だ。が、この試合はワンドのペイジである。未知の可能性である。唐川さんのピッチングを占ったはずがいつのまにか試合全体の話になっているがそれはいい。とにもかくにも、リリーバーたちはピンチを招きながらもしっかり押さえて11回裏のヒロミナイトにバトンをつないだ。「感電」が流れて岡大海が打席に立ったらそれはもうヒロミナイト。可能性の男のサヨナラ打。


 週明け一発目から長くなった試合は最高のエンディングを迎えた。唐川さんに勝ちがつく機会は野球を続けている限りまた巡ってくるだろうと思う。ベテランと呼ばれる年齢になろうと、人にはいつでも未知の可能性が秘められているのである。いや、推しが活躍していい形で勝つと書くことがいっぱいあっていいな!!

吉井監督に肩をポンポンされていた


参考文献:78枚のカードの意味から、深く占うリーディングまで タロットの教科書/森村あこ(西東社)

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