金曜日の柳葉敏郎
[ShortNote:2020.3.13]
二面性があったりなかったりする花の金曜日です。木曜を引きずってるのかまだ少し不穏だったりもします。
●20:00台
・猿飛三世(2012年/NHKBSプレミアム)
ギャップを持つキャラクターは多くても意外とあまりいなかったダブルフェイス。そして時代劇です。
まず表の顔・うさんくさい商人徳三郎様から。あの秋田生まれ秋田育ち渋谷経由で秋田在住の柳葉敏郎が京都弁を喋ります。これまた似合う。なぜ似合うのかはわかりません。京都っぽい品があるのかもしれない。「ごめんください」って言いながら暖簾をくぐっていくところとか、すみっこにちょこんと正座してるところとか猫のようでかわいい。
しかしこのはんなりしてるけどどこか裏がありそうな徳三郎様、正体は主人公佐助の父親にして初代猿飛佐助の血を継ぐ忍者・鬼丸さんです。キュートからの急転直下クール。はんなりダースベイダー。鬼丸モードだと常にキリっとしてるしにこりともしないしツンツンです。そして鬼のように強いです。敵が何人いようと倒してしまいます。でも実を言うと徳三郎様の時に戦闘力をチラ見せするシーンはあります。片付けた後「仲間割れはあきまへんな」とか言いながらしゃなりしゃなりと歩いていくのですが、正直あなたが一番あきまへんわという感じです。カッコいい。
息子の佐助にも厳しくて、佐助がまだ小さかった頃に家を出て行ってしまったのもあって愛情がないのかと思われがちですが、ちゃんと息子のことを想っています。佐助が生まれた時のエピソードが胸に来ます。さすがに2006年度ベストファーザー賞の人がやる「父親」は天下一品ですね。
そしてあの浅野ゆう子×柳葉敏郎シリーズでもある上にまた夫婦です。この2人は結婚したら一旦別れなければならないという決まりでもあるんでしょうか。ただラストで最上級にかわいいラブラブなやりとりを見せてくれます。さすがの貫禄です。
●21:00台
・男女七人秋物語(1987年/TBS)
光と闇の柳葉敏郎・健ちゃん。いや好きな人がだんだん自分から離れていってしまうことへの不安や焦りや寂しさとそこから来る感情の爆発を「闇」とひとくくりにしてしまうのは雑すぎて失礼だとは思いますが、病んでしまっていることは疑いありません。ただ抱きしめたくなるくらいかわいらしいのも確かです。年下彼氏の魅力を全て凝縮したらこうなるんじゃないかと思えるほど完璧です。仕事でミスをして落ち込んで、桃子ちゃんに励まされて少し元気になるシーンの彼が愛おしいです。母性本能を刺激するのがうまい。母性本能を刺激してやろうなどとは一切思っていないであろう自然さがまたいい。
桃子ちゃんには良介というある意味運命の相手がいたからうまくいかなかったけど、魅力的だし商社マンだし好きになってくれる人はいくらでもいると思うので元気を出してがんばってほしい。でも引きずっているところも見たかったりします。
健ちゃんのいいところといえばやはり年下故なのか彼自身の依存性が強い故なのかかなり不安定なところです。傷ついている彼は美しい。桃子ちゃんに対しても一度別れを告げられたからといってすぐ逆上するようなことはなくて、一回「まだ好きだから」って言うんですよね。本当に好きでそばにいたかったんだなと思えて切ない。アメリカにいたとき病気になって桃子ちゃんを引きとめてたのも、彼女を離したくないという気持ちが病気を長引かせていたのではないかとかいろいろ妄想してしまいます。感情が強すぎる男の人は大好物です。
・熱血シングルファザー~新聞記者・新庄圭吾の事件ファイル~(2004~2005年/フジテレビ)
ギバちゃんがやるとやたら似合う役ベスト3に入る役「シングルファーザー」再び。「リング」の浅川さんと同じ新聞記者でもあります。
新庄さんが他のバツイチキャラと違うのは、別れた奥さんが同じ職場にいてしかも上司だというところです。しかし上下関係は一切なくバチバチにやりあいます。この「元夫婦」を匂わせる距離感が絶妙です。
2人の息子さんもいい子だし、2人のために奔走しつつ事件を追う新庄さんがお父さんらしくカッコいいです。裁縫や料理がシリーズを通してだんだん上達していく成長過程に心を打たれます。がんばったんですね。
元奥さんの里佳子さんともケンカしながらもなんだかんだでお互いまだ思い合っていることに救われた気がしました。バツイチキャラは妙な色気があって好きなんですが嫌い合って別れてボロクソに言われてるのはつらい。岸本加世子さんともよく共演してますけど、だいたいどちらか(今のところほぼ100%ギバちゃん)が死んだり人を殺したりなぜか不穏な状態に陥っているので離婚してるだけのこれが一番平和です。
あと「トリビアの種」の二時間ドラマのテレビ欄で犯人の確率が一番高いのは3番目の役者という種でこのシリーズの1作目が出ていて、そのせいで観る前に誰が犯人なのか知ってしまいました。まさか種でネタバレされるとは思わなかった。