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「1000人の金田一耕助」に行ってきた話

 11/25(土)に岡山県倉敷市真備町で行われた「1000人の金田一耕助」(千金)というイベントに初参戦してきた。このイベントは横溝正史が戦時中疎開していたゆかりの地で金田一耕助をはじめ横溝作品のキャラクターのコスプレをして歩くというのが概要だが、私の周りでは「ナニコレ珍百景で石坂さんが行ったイベント」と言った方が早い。ので、テラサに入っている人は↓を観てください。

 ここの「石坂浩二が行った」というのが私にとって重要で、今年行こうと決めたのも「推しが行った翌年に自分が行く」をやりたかったからだった。なので道中石坂さんがいたところにはなるべく行った。疎開宅の顔ハメパネルもやった。石坂さんはこの日東京ドームシティにいたのでいるわけないのはわかっていたのになぜかソワソワした。

 そんな一年越しの追跡は置いておいて、千金である。コスプレだが、女王蜂の大道寺智子にした。映画じゃなくて原作の方の智子。

とにかく服さえわかればいいという写真

 古着のオンラインショップを見ていたらこれがあり、「智子(原作)じゃん!!」と思って買ってしまった。小説のいいところは「私は原作を読んでこのキャラはこういう格好をしていると思いました」でコスプレできるところですね。

 余裕でホテルから着ていける服なのでこの格好で倉敷駅に行き、寒かったので(常連さんによるといつもはもっと暖かいとのこと)ホームの日向になっているところから何気なく乗ったらそこに偶然フォロワーさんがいてめちゃくちゃびっくりした。奇跡。

 そしてスタート地点の清音駅に到着。ここは金田一耕助のデビュー作「本陣殺人事件」で金田一さんが降り立った「清─駅」のモデル。着いた時にはすでにコス姿の人たちがいっぱいでTLで見たやつだ~と感動する。受付を済ませた後は開会式まで撮影タイム。コスプレといえば併せということで、私も「女王蜂」の智子の家庭教師である神尾先生と2ショットが撮れた。あと!ミステリー専門劇団「回路R」の看板俳優さんであり「本陣殺人事件」や「扉の影の女」、先月の「不死蝶」で金田一さんを演じた林正樹さんとも2ショットできたので!よかったです!林金田一は私の推し金田一のひとりなので、興奮しました。

 「金田一さんだけ」と「金田一さん以外」でそれぞれ集合写真を撮って、さていよいよ出発。先導役は「岡山の金田一さん」こと綱本さん。

網本善光 【あみもとよしみつ】
(1960~)
横溝正史研究家。岡山県笠岡市の映画『獄 門島』ロケ場所に自宅を建て、「1000人の金田一耕助」をはじめ数々の横溝イベントで金田一に扮してガイド役をつとめるなど、筋金入りの横溝/金田一ファン。小説から抜け出てきたかのようにかの名探偵そっくりな風貌と温かい人柄から、横溝ファンの 間では「岡山の金田一さん」と慕われている。『岡山ぶらりスケッチ紀行』 (岡山文教出版)は中国新聞で連載された紀行エッセイを、同じく笠岡在住の漫画家・南一平の挿絵とともにまとめたもの。岡山で起きた金田一の事件のモデル推定地を訪ね歩き、正確な描写と金田一愛にあふれるやわらかな筆致 でまとめた同作は、横溝ミステリをより深く味わうための必読の書である。

「金田一耕助語辞典」/木魚庵,p22

 今回は例年とコースが変わっているらしく、まず清音駅から井原鉄道の特別列車に乗って隣の川辺宿駅まで行った。電車内に金田一さん(複数)とスケキヨと松子奥様と珠世さんが乗っており事件が起きない方がおかしいみたいな絵面だったが、当然雰囲気は和やかだった。この後も見た目は物騒なのに雰囲気は和やかという感じで進行していくことになる。

ヘッドマーク

 川辺宿駅前で記念撮影をし(ニュースでも使われた)いよいよここからは歩き。広い田畑の中の道を横溝キャラの一群がぞろぞろ歩いていく。これ外から見てみたい。曲がり角で後ろを振り向くと壮観だった。

 道中には巴御寮人(悪霊島)・森美也子(八つ墓村)の像や作品の舞台、作中の地名や施設名の元ネタになった場所などのチェックポイントがあり、そこではクイズが出題されたり寸劇が行われたりして楽しい。

ポケモンGOのジムになっていた巴御寮人

 特に寸劇は地元の方々が作品のワンシーンを演じるものなので、みんな上手いしセットも本格的。濃茶の尼(八つ墓村)がペンラを振られていたのは笑った。

角のタバコ屋(本陣殺人事件より)
これは小道具のチェリー。先着順でもらえました

 そんなこんなで横溝正史疎開宅に到着。琴の演奏があったり、スタンプが押せたり、参加者の方々(Xや同人誌でよくお見かけする横溝ファン)とお話できたりした。
ここから「悪魔の手毬唄」でおりんと金田一さんがすれ違う坂を通ってゴールの真備ふるさと歴史館へ。

おりん軍。この後林金田一が参戦してくれた

 トータルで5キロぐらい歩いたが、持ってきていたミズノのシューズに一回も履き替えず、結局なんだかんだでパンプスで歩き通してしまった。

 しかし千金はまだ終わらない。ここから意見交換会という名の地元の方が作ってくれたお弁当を食べて倉敷市の職員さんが毒殺されて(※寸劇です)横溝カルタをやるイベントに突入する。

その合間にぬいドール撮影会。うちのハスキー金田一もいます

 横溝カルタは角川文庫の杉本一文先生表紙をカルタにし、その作品の内容を盛り込んだ上の句を聞いてその作品の表紙を取るものである。読み手は林さん。犬神家のようにわかりやすくて反射神経勝負のものから読んでいないとなかなかわかりにくいものまであるが、自分がコスプレしている作品の取り札を取りやすい位置に置いたり、網本さんから「0枚の人がいるので0枚じゃない人たちはわかってますよね?」的な圧力がかかったり、優しい大会だった。

私も女王蜂取れました

 私はカルタそこそこ得意キャラ(?)でこれまでやってきたため、16枚でテーブルの中の1位を獲ることができた。でも全体のトップは22枚だったので上には上がいる。当たり前だが。賞品は地元の方が作ったアームカバー。やだ嬉しい……泣いちゃう……。

 これで千金2023完結!と思いきや倉敷駅に戻った後の懇親会にも参加したのでまだ全然終わっていないし、家に帰るまでが千金なので帰らない限り終わらない。

 今回は名刺というものを持っておらず、私が作った石坂金田一本を振りかざして「私が!この本を作ったMayimです!!」と名乗れるのは便利。本出してよかった。よかったけどそれはそれとして名刺も持っていくべきだなと思った。名刺の代わりに若かりし頃の石坂浩二しか持っていなかった。若かりし頃の石坂浩二を見せたところで若かりし頃の石坂浩二が美しいことしか伝わらない。

 私の千金はだいたいこんな感じでした。お会いしたことのあるフォロワーさんといっしょに歩けたのも楽しかったし、いろんな人たちとお話できたのもよかったし、沿道で地元の方々が手を振ってくれたのも嬉しかったし、いいイベント。来年も行きたい。あと、来年までに「夜歩く」を再読します!

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