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土曜日の柳葉敏郎

[ShortNote:2020.3.14]

 ちょっと大人な土曜日です。サタデーナイトフィーバーです。

●21:00台

・明日があるさ(2001年/日本テレビ)

 ゲスいギバちゃん、略してゲスギバ。悪役をやるなら強敵の法則は継続中であり、落ちこぼれ集団の窓際部署・営業13課を気持ちいいほど見下す営業成績社内トップのエリート部署営業1課課長・望月さんはゲスすぎてかえってすがすがしくなるような手段を選ばない男です。13課ががんばって結果を出しても涼しい顔で全部かっさらって自分の手柄にします。やりたい放題です。

 が、実は重めの糖尿病を患っており、出世の妨げになるからと会社には全力でひた隠しにしています。そのために体調が悪いにもかかわらずかなり無理もします。ここがポイントで、彼はスマートにゲスく労力をかけずにやっているように見えて実は自分の欲しいものを取りに行くためにがむしゃらにがんばるんです。弁当を13課より先に届けようとするエピソードがあるのですが、その時も彼は途中でタクシーを降りて全力疾走します。こっちとしては走ったりなんかしたら死ぬんじゃないか(過保護)とハラハラしてしまいますがそれだけ自分で汗をかける人なんです。

 なぜそんなにがんばれるのかといえばそれは「出世すること」「トップでい続けること」が価値観の中心にあるからだと思います。人それぞれいろんな価値観があっていいとか言いつつもどうしても結局「出世とかよりも大事なものがあるよね~」的な価値観が人として正しいようになりがちじゃないですか。望月さんにはいや俺にとってはそれが大事なものなんだと胸を張って言ってほしいし、それを貫けるところを尊敬してしまいます。13課メンバーのような人ばかりでは会社が回っていかないのも事実だし、望月さんには望月さんの存在理由があります。

 そもそも病弱キャラが好きでもあります。終盤で倒れてしまうシーン(しかも2回)もあって喜ばしい。そしてどれだけ色っぽく薬を飲めるのかチャレンジに挑戦してるのかと思うほど薬の飲み方が色気たっぷりです。ここだけ抜粋して眺めていられるくらいです。サービスシーンといえばボウリングをやるシーンもカッコいい。マイボール持ちのガチボウラー柳葉敏郎の本領発揮です。

 あと関係ないのですが昔からなぜかはわからないけれどもダウンタウンの浜ちゃんが大好きで、この2人が同期でライバル役なんて夢のようです。自分がキャスティングしたのかと疑っているくらいです。浜田課長と望月さんの関係性も素敵です。やっぱり同期って特別ですよね。終盤、望月さんのことを心配してくれた浜田課長に向かって彼はお手本のようなライバルキャラのツンデレしぐさをかまします。教科書に載せたい。

・隠蔽捜査(2007~2008年/テレビ朝日)

 今までなんとなくギバちゃんの警察官キャラは「キャリア=真面目」「ノンキャリア=チャラい」みたいなイメージでやってきていましたが、その枠を完膚なきまでに破壊しつくすために現れたのが口が悪いのにキャリア、お行儀がよろしくないのにキャリアな伊丹さんです。間違ってキャリアになったのかもしれない。このギャップでまた強烈な引力が発生しています。

 そして大事なのは陣内孝則×柳葉敏郎シリーズだということです。ギバちゃんの共演相手、女性なら浅野ゆう子さんとの組み合わせが好きですが男性なら陣内さんが好きです。要するに「君の瞳をタイホする!」軍団が好きです。素の状態での仲の良さが演技にも表れているような気がします。この2人が並んでるだけで愉快な気分になります。たまに対立するけど協力もするという関係性もこの2人に似合う。特に伊丹さんから竜崎さんへの屈折した感情が見どころです。

 ビジュアル面でいうとまず剣道着が拝めます。これは「愛しあってるかい!」みたいではある。詳しくは言えないのですがなんというかソナチネみたいなシーンはこのまま額に入れて飾ってもいいくらい絵になっていました。

●23:00台

・ノンママ白書(2016年/フジテレビ)

 クローザーのようにラスト2話だけ登板するのですがきっちり存在感を残していらっしゃいます。ギバちゃんのすごいところはたとえ一瞬しか登場しなくても爪痕を残せるところだと思います。

 まずバーの客として登場しますが、バーのカウンターの隅というポジションが似合いすぎています。バーのカウンターの隅で生活してるくらいじゃないと出ないなじみっぷり。服も結婚指輪もしっかりツボを押さえています。まさかギバちゃんの口から「子孫を残す」というワードが出てくるとは思いませんでした。その後最終回で社長として登場します。水戸黄門みたいです。やはり組織のリーダーが似合いますね。

 少し脱線しますが私はサザンオールスターズも好きなんですけど、桑田さんが当時ラジオでこのドラマを観ていたという話をしていて、桑田さんの目にギバちゃんが映ったのか……生きてるといいことがある……と思いました。

・明日の君がもっと好き(2018年/テレビ朝日)

 同じ枠の次番組が盛り上がりまくった作品です。私はこちらで十分盛り上がりましたが、一も二もなくギバちゃんの父親役は絶対にいいというのが盛り上がりの原因です。しかもシングル。娘役は森川葵ちゃん。完璧な布陣です。植木屋さんというのもこれまでにあまり見なかった職業ですが似合ってました。

 娘が自分は女なのかどうかわからないというのも女性が好きかもしれないというのも、理解はできなくとも決して否定せず受け入れようとしていて、どんな考え方でどんな生き方をしようと我が子は我が子であって愛してるしその選択を尊重したいという境地に行きついたところが美しかったです。亡くなった奥さんの仏壇に向かってぽつぽつ語りかけるシーンもよかった。

 これもまた組み合わせが最高というパターンなんですが、ルーキーズの頃から市原隼人さんが好きだったので共演してくれて嬉しかったです。バイクに二人乗りするシーンがカッコよかったです。

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