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日曜日の柳葉敏郎

[ShortNote:2020.3.15]

 一週間柳葉敏郎のトリを飾る日曜日ですが、見事にヘビー級シリアスな作品しかありません。コメディシーンすら一秒もないんじゃないかと思われます。なぜ愉快な日曜日がこうなっているのかはよくわかりませんがたぶん日曜劇場とドラマWのせいです。


●21:00台

・運命の人(2012年/TBS)

 史上類を見ない重役出勤ぶり。主人公を担当する弁護士の役なので第6話まで出てきません。話が重厚な分ギバちゃんの顔を見るとほっとしたし、判決出なければいいのにと思いました。でも最終回にもちゃんと出てきてくれるので安心です。放送時第1話は観てた記憶があるんですが、第1話だけではギバちゃんには会えません。役的にも信念を持ってるいい人なので安心して観られます。番宣で「A-Studio」に出た時、緊張と頻出する専門用語のせいで20回もNGを出しちゃったって言ってたのがかわいかったです。


●22:00台

・パンドラ(2008年/WOWOW)

 グレーゾーンを疾走する執念深い狂気的な刑事、壊れそうな危うさを持ちながら真実を追い求め続けるキャラクター、家ではいい夫でいい父親、なのに次再発すれば命はないガンに侵されている、もはや心臓をハンマーでぶん殴るためにやってきているとしか思えません。配役の女神に祝福された男。的場さんみたいなぶっ壊れて見えるけど芯にまっすぐさを持つ刑事大好きです。「最高の死に場所を探してるんですよ」というセリフを吐くんですが、表情と言い方も含めてギバちゃん史上トップ3に入るほど好きです。こういうセリフ、一生に一度でいいから言ってみたい。

 ビジュアルも美しいです。個人的にギバちゃんのビジュアルは(常にカッコいいけど)特に1989年と2008年が最高値を記録していると思っているのですが、その2008年なのではっきりとした目鼻立ちに渋さが加わって絶好調です。グレーゾーンな刑事だからなのかグレーのシャツをよく着るんですが、それがまた似合いすぎています。グレー似合うんですよね。ブルべ冬って感じです(※適当です)。「ゴチになります!」のメンバーカラーもグレーだったし。

 そしてこれは「君の瞳をタイホする!」以来20年ぶりに三上博史さんと共演した作品なのですが、この2人が絡むとにやけてしまいます。今度は追ったり追われたり対立したり協力したり複雑な関係性です。目ぱっちり同士でビジュアルも華やか。内容もシリアスながら先が読めない展開で面白いです。ギバちゃんがいなければ観始めてなかったんじゃないかと思うので、こんなにいい作品に出会わせてくれてありがとうございますという感じです。

・誤断(2015年/WOWOW)

 パンドラと同じ枠で同じ製薬分野の話で同じくらいシリアスな作品ですが、その中でも一番シリアスな役回りなのがギバちゃん演じる高藤先生です。最重要ポジションです。野球で言ったらキャッチャーぐらい大事です。
 
 序盤は主人公の槙田さんとカウンターで飲んだり主人公サイドなのかなと思わせておいてからの急展開。でも悪役ではありません。むしろ哀しくて切ない。体が不自由なキャラクターなのでいつも杖をついています。それがまた凄みと美しさを放っていてとにかく「すごい俳優だな!」と何目線なのかわからない感想を抱きました。ネクタイを緩めたりななめがけバッグだったり小さな見どころもちょこちょこ散りばめられています。

 観た時、この前に「君の瞳をタイホする!」と「愛しあってるかい!」を立て続けに観てしまったので落差がすごかったのですが柳葉敏郎という俳優の守備範囲の広さを実感するにはなかなかいいやり方だったのではないかと思っています。80年代つながりでいうと「キツイ奴ら」で見た小林薫さんとの絡みが再び見られますが、テイストが見事に真逆なので30年前を踏まえて見ると味わい深いです。いい俳優さんしかいない。

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