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生で観ると好きになっちゃう現象(たとえば大野雄大)

[ShortNote:2021.5.11]

(大野いかついよ大野)

 球場に行かなくても野球は観られます。中継なら私なんぞより数百万倍野球に詳しい実況解説がプレーの詳細や今日の選手の状態等々を事細かに説明してくれるし、ストレートとカーブの違いくらいしか見分けられないくせに画面に表示される球種とコースを見て「今のスライダーはいいところに決まったね」とドヤ顔で言うこともできるし、一瞬すぎて何が何だか分からない出来事をリプレーで見せてくれるし、どんなド最前席を取っても生ではとても拝めないような至近距離から選手の表情を見ることもできるし、今はいい時代なのでテレビのみならずスマホなどでいつでもどこでも観られます。終電を気にする必要も隣の人にすみませんすみませんと言いながら席の前を通ってトイレに行く必要もありません。

 しかしながら、たとえリアルタイムで一部始終を見ていたはずなのに何が起こったかわからず、後で中継映像やスポーツニュースを見て「そんなことがあったんだ~」と見てなかった人並みの感想を抱いたとしても、現地観戦には現地観戦の良さがあります。

 その中で私が真っ先に思いつく良さが「生で観に行くと推しを増やして帰ってきちゃう現象」です。映像で何回も見てるはずなのになぜか引っかかっていなかったような選手を一回生で観て惚れるシーンを披露されてしまうとどうしようもなくキュンとしてしまう。なんなんでしょうかこれは。オンラインで何十回も喋るより一度直に会って話した方が距離が縮まりやすいみたいな感覚と通じるところがあったりするんでしょうか。

 そんなことはさておき大野雄大。本日の主賓。いらっしゃいませ。中日ドラゴンズのエース、サウスポー、2010年ドラ1、ノーヒットノーラン(日本プロ野球史上92人目、セ・リーグ令和初)、去年の沢村賞。そんな情報量の多いセ界に冠たるエースが投げている試合を観に行ったのは4月20日でした。大野記念日に制定してやろうかな。↓のノートに書いた日ハム-ロッテの前日です。

 「行くなら火曜日だな~」ぐらいのノリで何も考えずチケットを取ったので、当日行ってから「有名な人が投げてる!」となりました。ひどい感想だ。プロ野球選手なのだから全員有名な人だろ。でもまあ大野さんは有名な人たちの中でも突出して有名だとは思います。

 この試合での大野さんがとにかくカッコよかった。スコアボードのゼロ行進が延々と続き、まったく援護をもらえない中でも黙々と投げ続け、ただただ目の前のバッターを抑え込むという自分の仕事に専念する姿に矜持を感じました。私だったら「何で誰も打たねえんだよ!!」ってなってしまう。そんなやつはエースになれませんね。セ・リーグなのでここだけの話自分で自分の援護をすることも可能なのですが(いつぞやの藤浪くんみたいに)、本業じゃないしそこはまあ、ね。

 ここぞという時に三振を奪って吠えるのも(そもそもほとんどランナーを出していないのでピンチらしいピンチも実質1回くらいしかなくあの伝説の8回表の唐川侑己さんのような満塁切り抜け吠えではないがそれでもとにかく吠えるピッチャーに弱い。弱すぎる。犬に吠えられると嫌になってしまうがピッチャーに吠えられると好きになってしまう)、ビシエドの熱盛にグラブを叩くのも、ちょっと笑顔をみせるのも、いちいちすべてが良かったです。

 大野さん自身この試合の時点では今シーズンまだ勝ちがなくて、チームを背負うエースとしても1試合でも早く勝ち星がほしい状況だったでしょうに焦燥感とかまったく見せずにひたすら黙々と投げてて超カッコよかった。大野雄大オンステージ。そしてなんといってもあの鋭い眼光。威圧感。あの眼に惚れたといっても過言ではない。いかつかった。クマみたいだなと思いました。ヒグマ系。クマみたいなプロ野球選手好きなんですよね。西武の山川穂高さんとか。あっちはホッキョクグマ系。この人がエースであるということはいくら言葉を尽くして説明されるよりもこの佇まいをひとたび見れば一瞬で理解できます。あぁ、エース。こういうのがエース。

 そんな偉大なエースがバシバシ抑えてクローザーのライデル・マルティネスさんも抑え込んで相手の横浜DeNAも無失点リレーでつないで完全に投手戦となった結果なんと0-0のまま8時25分くらいに終わってしまいました。プロ野球なのに。ご飯食べる暇もなかった。あまりに早すぎてハマスタの方を3回くらい振り返って(信じられない……)と思いながら帰りました。どれくらい早かったかというと帰って家でロッテの試合の9回が観られたぐらいです。

 後でちゃんと確認したら8イニング投げて6イニングが三者凡退でした。それは8時25分に終わるわ。8回3安打無失点。エースの貫禄すぎる。「終わるの早い」とか文句を言ってる場合ではない。いや文句ではありません。

 そんな大野さんが5/4の横浜戦に登板した時、大野さん自身は本調子じゃなくて2発もホームランを打たれたりしていたのですが、今度は打線が奮起し、中でもあのミレニアムスター根尾昂さんが満塁ホームラン(プロ初ホームラン)をぶち込むなどして勝利投手になりました。4/20の借りを返した。その時解説の人が「打線ががんばって打って大野に勝ちをつけてあげる、そういうのもいいんじゃないですか」みたいなことを言ってたのが沁みました。「この人を勝たせたい」と思わせるピッチャー、すごくいい。

 マウンドではいかついクマみたいな絶対的エースですがそれ以外ではめちゃくちゃおちゃらけています。ずるい。こんなの好きになってしまうだろう。

 大野さんといえばノーノー達成した時のガッツポーズと断定していいほどあのジャンプは球史に残るレベルで球史に残るレベルでダサくてかわいい。無邪気。偉業を成し遂げたのになぜか笑ってしまう。後にセ・パの令和初ノーノー達成ピッチャーコンビであるソフトバンクの千賀さんとノーノーを決めた時のポーズを交換したのですがこれもまた面白い。普通はあれなんだよ。みんなあんなにぴょんぴょん飛び跳ねないんだよ。

(↑これ)

 このノーノーシーンのプロ野球チップスカードを持っているのですが、こっちはキャッチャーの大野奨太さん(大野バッテリーだ)とのジャンピングハグの写真でこれもめちゃくちゃアホっぽい(ごめん)けどめちゃくちゃかわいくてめちゃくちゃおめでとうって言いたくなる。愛くるしい。大野かわいいよ大野!! って叫びたくなる。

 あとこれ。私に大野雄大の何たるかを教えてくれた(一連の大野ネタnote、略して大noteに愛を深めていただきました)最所あさみさんのツイート。

 いや「たぶん3日ぐらいで死ぬ」が引っかかりすぎて素直にそうですか! って言えない。そもそもなんで大野雄大さんと一緒に無人島に行って3日ぐらいで死なないといけないのか? 人間ってもうちょっと頑張れると思うんですよね。無人島で生き延びるよりノーノーする方が難しいでしょ。どっちもやったことないので知りませんが。

 でもこのお言葉はいい。「何言ってんの(笑)」ってツッコみながらもひそかにキュンとしちゃうやつ。


 そんなふざけ倒しておちゃらけまくりの大野さんですが、2017年6月には苦しんだ末ようやくこのシーズンの初白星を手にして上がったお立ち台で泣いたというようなこともありました。本当にいい加減にしてほしい。決め球いくつあるんだ。

 再三言っている通り男の人が泣くの自分でもよくわからないくらい大好きなのですが、「プロ野球選手がヒーローインタビューで泣く」はその中でもかなり上位のシチュエーションに入ります。声も出せない大野さん、そしてスタンドのドラゴンズファンの大声援、あとさりげなく優しいドアラさん。もう、ズッキュン。いつも底抜けに明るい人の涙、鉄板ですね。いかついピッチングとそれ以外の全力おふざけと不意の涙と全方向にギャップが仕込まれている恐ろしいエースだと思います。先ほど引用させていただいた最所さんのお言葉、「普段おちゃらけてる同級生が体育祭で真剣な顔して走ってる姿にグッとくるやつ…!」に頷くしかない。そういうのってありますよね。そして私はそういう人に惹かれがちなんだなぁ。推しでもガチ恋でも。

 さっきのノートでも書いたように、20日にマリンに行っとくべきだったかなぁ……とは思っていましたが、一方で私は「縁」というものを信じているのでこの日程を選んだことも何かの巡り合わせだろうとも思っていました。その通り21日はサヨナラツーランのヒロミナイトを堪能することができ、20日は大野雄大さんに巡り会えたわけです。オオノナイト。やっぱりご縁ってありますね。

 大野さんにずっぽりハマっていろいろ観たり読んだりした結果、大野愛が最高潮に達して深夜1時のテンションで大野ユニを注文してしまい、買っちゃった! 楽しみ! とホクホクしていたらその日にちょうど(?)登録抹消されるという事件が起こりましたが、これは何の縁なんでしょうか。どんなタイミングだよ。無人島に一緒に連れて行きたいので早く戻ってきてください。ユニフォーム飾って待ってます。まだ届いてないけど。

参考文献:


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