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人事評価でマネージャーから言われたこと~イギリス/宇宙ベンチャーで働く~

こんにちは、こおるかもです。

このnoteではいろんなジャンルの記事を書いていますが、ぼくは普段、イギリスの宇宙ベンチャーでエンジニアをやってます。なんやかんや、ぼくの属性のなかでこれが一番レアっぽい気がしています。

そして先日、会社の人事評価のようなものがあり、マネージャーと30分面談してきました。今回は、少しドキドキしながら面接に臨んだので、そのときに思ったことを自分の備忘録のために記事にしようと思いました。


宇宙?
イギリス?
ベンチャー?
なんだかわくわくする!

という方をまず最初に落胆させておくと、わが社は基本的に、宇宙機に必要なとある部品を作って、完成品の衛星メーカさんに納入している、いわば下請けの製造業者なので、航空機や自動車産業におけるサブコンの部品業者とほとんど変わりません。

ただし、たった一つの部品でも、成長著しい宇宙産業にあって、革新的な技術と、他社に負けない価格力で、一気に世界中から注文を受けるようになり、現在は大きく成長していくフェーズにあります。

ぼくが入社した2022年の春に40人くらいだった社員が、今は100人近くになりまして、この2年で会社も様変わりしました。

しかも大量に社員を採用する過程で、古株だった社員たちの半分くらいが辞めていったので、今やぼくも古い方から数えて20番目くらいになってしまいました。

その間、何度かの組織改編を経て、最初に自分が所属していたチームは名前も役割も変わり、それに伴ってぼくの役割も微妙に変化してきた2年間でした。


さて今回は、そんな宇宙ベンチャーの人事評価のお話です。

組織がどんどん変わっていくなかにあって、人事評価も、担当者が手探りでやっている感じです。そして現在は、全従業員が、各自のラインマネージャーと年に2回Performance Reviewというのを開催して、その年の目標、課題、スキルセット、マイルストーンなどを話し合い、文章に残していくということをしています。

日本時代の前職では、いわゆるJTC(JTCっていう言葉をこのnoteで初めて知ったのですが)に勤めていたので、はっきりいって人事考課とか全然興味ありませんでした。フェアに評価されている思ったことがなかったし、いくら要望を伝えても聞かれている感じはしなかったし、昇給はいつも年功序列だったし、仮にいい評価をされたとしても出世は運次第だし、という感じで、なんのモチベーションもなかったです。

でも、100人の会社で、ぼくのマネージャーは会社のCTOなので、結構緊張感があります。ちなみにCTOの直下の部下は5人位しかいないので、これでも結構いいポジションで働かせてもらっています。

そうして迎えた今年の中間評価。最初に書いたように、実は結構ドキドキしていました。

なぜなら、3年めの今年は完全に中だるみしてしまい、自分でもパフォーマンスが全然いいとは思っていなかったからです。

技術の面で言えば、2年めまでに「ぼくにしかできないエリア」というものを確立してしまったので、ぶっちゃけて言えばそれをのんびりやっていても誰も文句が言えない状況なので、あまり頑張らなくならなくなってしまっていました。

もう一つは、英語の面で、ぼくは今でも英語がぜんぜんできないので、例えば外部との打ち合わせに一人で対応するのが難しかったり、かなり恥ずかしいレベルで会社に迷惑をかけています。そのため、年初の面談では「英語のスキルを上げる」と宣言していたのだけれど、今年はここまで完全にサボっており、「いい加減にしろ!」って言われてもおかしくないかな、とビクビクしていました。


そんな不安を抱えながら、いよいよマネージャーとの面談が始まりました。

最初に言われた一言は、「今年もお前はExcelentだ」ということでした。

だいたいこういうのって、心配しながら臨むと拍子抜けすることが経験上よくあるのだけれど、ほんとうに拍子抜けもいいところでした。

技術の面でも、相変わらずよくやってくれている、となぜだか絶賛の評価。

英語の面でも、「もう英語のことを課題として挙げる必要はないよ」と言ってくれました。いやこれは、逆に言うと「もう言い訳にはできないぞ」という脅しとも取れるのですが、マネージャーの口ぶりからはそんな雰囲気はありませんでした。

それどころか、「積極的に話すようになってきたので、だんだんお前のパーソナリティが現れてきたぞ」と言ってくれました。常にエンジニアリングに忠実で、Trustworthyだと褒めてくれました。

その後は、今年後半に予定されている大きめの仕事について、どの時期にどうリソースを工面するか、お互いの休暇の都合の調整など、実務的な話をして終わりました。


面談を終えて、もちろんほっとした気持ちが100%なのだけれど、それと同時に、「もっと頑張ろう」と思いました。

ぼくは思ったのだけれど、マネージャーはかなり意図的に、エンジニアをEncourageするというロールプレイに徹しているのではないかなと思いました。

こんなぼくでも一応、今この会社をやめたらかなり痛手になるし、ここでネガティブな評価をつきつけてもあまりメリットはないと判断したのかもしれません。

そう考えてみると、イギリスのこの会社に転職して以来、チームミーティングやファミリーミーティングでも、マネージャークラスのメンバーというのは、とにかく従業員をエンカレッジしていることに思い当たりました。

絶対に人を貶めるようなことは言わないし、何があっても感情的になったり、怒ったりしているのも見たことがない。設計の致命的な欠陥に納入直前に気づく、なんていう失態もたまに起こるような、まだまだ未熟な会社なんだけど、絶対に担当者に厳しくあたったりしない。

どんなタフな状況でも崩さないそういう姿勢は、ぼくの知る限り日本の企業では考えられないほどのレジリエンスだと思います。

こういうところは、もしかしたらある程度日本とイギリスの企業文化の違いとして、当てはまるのかもしれません。


この違いがどうして生じるのか、という点について少し考えてみたんだけど、思い当たることは、やっぱり圧倒的に職場のストレスが少ないことなんじゃないかな、と思います。

単純に業務時間がキチッとしていて、残業しないこともそうだし、各自が基本的にはJob Descriptionに従って明確な役割を与えられているということも、余分なストレスが生じない理由だと思います。

加えて、会社の人間関係もフラットで、「上司だから」とかそういう理由で忖度して物事を進めることがなく、仕事外の付き合いも、完全に自由参加なので、家族持ちの人はほぼ参加しません。

そういうストレスの少ない環境だと、みんな心に余裕があって、周りをエンカレッジすることでより良い環境がつくられる、その結果みんなよりストレスなく自分のパフォーマンスに集中できる、というポジティブなループがつくられているのかな、と思います。

イギリスの他の会社のことは知らないし、日本にも良い環境の職場はたくさんあると思うけど、少なくともぼくが経験した日本1社とイギリス1社のN=2の経験値としては、その違いがあまりにも鮮明で面白い、というお話でした。ぜひみなさんの考えもお聞かせください。

ついでに、「そんなに良い職場なら、ぼくも/わたしも働いてみたい!」という方がもしいましたら、弊社はいつでも募集中(ビザも発給可能)なので、興味のある方はお声がけください。

というわけで本日は、イギリス宇宙ベンチャーの人事評価のお話と、職場環境の特色を紹介しました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
それでは。

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