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アイドルだけじゃない、音楽会社としてのSMエンターテインメント

K-POP界隈で「SMエンターテインメント(以下、SM)」といえば、一般的には「アイドル」を思い浮かべる人が多いでしょう。それもそのはず、SMは韓国のアイドル市場を開き、各世代を代表するアイドルを排出し続け、1996年から約30年間一貫して業界のトップランナーとして走り続けているからです。
しかし、アイドルプロダクションというイメージが強いからか、K-POPだけじゃない様々な音楽ジャンルにも力を入れていることを知っている人は少ないないように思います。

KRUCIALIZE SM's New Contemporary R&B Label

5月7日、SMはコンテンポラリーR&BレーベルKRUCIALIZE(クルシアルライズ)を新たに立ち上げました。KRUCIALIZEは、crucialに語尾-izeを着けて「決定的にする」という意味の造語。新レーベルは「Join the KREW」というスローガンの元に、音楽で集まったクルーたちと共に、クリエイティブな経験と文化を率いるという抱負を込めているとのことです。

公式ウェブサイトやSNSアカウントの開設と合わせ、SMの公式YouTubeチャンネルSMTOWNにてレーベルの紹介動画もを公開されています。

コンテンポラリーR&Bの全盛期は1990年代~2000年代。この時期はまさに「H.O.T」や「Fly to the sky」といった第1世代K-POPアイドルが流行っていた時期です。過去SMのメインプロデュサーや初期アーティストの音楽から強いR&B色を感じられるように、SMの音楽的ルーツにはR&Bが深く根付いると言っても過言ではないです。
Y2Kブームで様々なところで2000年代の感性が注目されている近頃、主に10代~20代をターゲットにしているSMがどんな風にR&Bを紐解いていくかが、気になるところです。

音楽という「軸」から広がる世界

今回新しく立ち上げた「KRUCIALIZE」以外にも、SMのレーベルとして有名なものだと「Sm Classic」や「ScreaM Records」などを挙げられます。

「Sm Classic」は名前どおりクラシック音楽レーベル。主にSM所属アーティストの曲をクラシックに編曲、ソウル市立交響楽団とコラボした「K-POP's Orchestra」の公演シリーズを展開しています。
「ScreaM Records」はEDMをはじめとした、K-POP、エレクトロニカなどダンスを基盤にした音楽をメインで活用しています。

それぞれSMTOWNのYouTubeチャンネルで楽曲のPVがアップされるので、ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。違うベクトルでK-POPアイドルの曲を楽しめます。

SMはこのように様々なジャンルに力を入れる目的を『K-POPのジャンル的なスペクトラムを新たに広げ、差別化された独自のコンテンツを追求するため』と語っています。ここで挙げているジャンル以外にもトロットやロックなど多少マイナーな大衆音楽ジャンルにもチャレンジするなど、多様性を追求しています。
このように大きい収益を期待できない分野にも持続して投資し続けていますのは、これは音楽という産業におけるR&Dの一環だと解釈できます。すぐには効果が出にくくても、SMの音楽をより豊かにすることに繋がるでしょう。

余談ですが、韓国のアイドルファンはこのように様々な音楽事業を支援しているSMの姿に対して「音楽に対しては常に本気」というふうに讃えたりします。アイドルのファンとしてSMの商売っぷりは気に入らないこともあろうけど、音楽に対する姿勢だけは認めており、応援するアーティストの音楽性が広がることを信じているのです。

時代が変わり、いくらトレンドが変わろうとも、SMが業界のトップとして市場を牽引しているのは「音楽」というブレない「軸」を大事にしながら、常にそれを拡張させる努力をしているからだと思います。私も一人のリスナーとして、これからも様々な音楽のケミストリーを期待しています。

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