South Pacific
今回のミュージカルはロジャー&ハマスタインのSouth Pacific。
かなり古典なミュージカルだけど今回初めて観劇。
劇場
劇場はAngel駅近くのSaddlers wells。ここはウェストエンドからは少し離れているのだけど、なかなかしっかりした規模の劇場なのでよく面白い演目を上演していたりするところ。そしてAngel駅はたくさん素敵なレストランがあることで有名なので、プレシアターも楽しい。
観に行ったのは土曜日なので、プレシアターは寿司翔。日本の板前さんがやっていらっしゃるお寿司やさんなので美味しい。そしてこのストリートの雰囲気。最高!
パフォーマンス
ミュージカルのストーリーは、第二次世界大戦におけるポリネシアを舞台にしたアメリカ人の従軍ナースとフランス人の話。アメリカサイドの話なので、当然日本軍は敵扱い、JAP JAPと呼ばれていて、その点ではあまり心地の良いものではないけれど。。。
でもミュージカルの古典なので有名な曲もあった。この曲は、このミュージカルが出典なのを知らなかった。
I'm Gonna Wash That Man Right Out of My Hair↓
一番興味深いなと思ったのは、かなり真正面から人種差別に触れていた点。
主人公のアメリカ人ナース、フランス人の農園経営者に惹かれていくのだけど。彼が「昔、人を殺したことがある」と告白した時はそんなこともあるよねと(?)すんなり受け入れていたにも関わらず、彼が自分には前の奥さんとの間に二人子供がいて、その前の奥さんはポリネシアンだった(肌がダーク)ということを告げた時に、かなり激しくショックを受けて拒絶するという。
こんなにあからさまに人種差別を描く?!とびっくりしたのだけど、やはり公開時から物議を醸していた様子。ただ、ロジャー&ハマスタインのハマスタインさんはユダヤ系アメリカ人ということで、人種差別についての問題提起をしたかったらしい。確かにハマスタインさんは名前的にユダヤ系だ、そういえば。ただ、戦後まもなく描かれた作品なので、時代のせいか脚本が少し粗いといえば粗い。この時代にあえてこの作品を上演することについてはプロデューサー側も葛藤があったようで、「Racistな作品」ではなく「Racismを扱った作品」という見え方になるように気を遣っていたと。脚本と演出と共になかなか扱いが難しい部分だと思うけど、私は観てよかったなと思える作品に仕上がっていたと思う。映画版や他の演出版のミュージカルを見ていないからなんとも言えないけれど。
そして特筆すべきは、日本人キャストの方が出ていたこと。フランス人の農園経営者と一緒に戦地に赴く少佐の現地の恋人役。あまりフランス語もできない設定なのでセリフは多くなかったけど、ダンスで恋心や葛藤を華麗に表現されていた。ここに関するストーリーはアメリカ人の軍人と現地の女の子の恋ということで、ミス・サイゴンを彷彿とさせる。。。なんとなくジェンダーについて、人種について考えてしまい、個人的にはモヤモヤとしてしまう部分ではあるのだけど。
あと、主人公のフランス人農園経営者がいるので、所々フランス語が出てくるところも個人的には好みだった。アメリカのミュージカル界、フランス好きだよね、American in Parisとかもそうだけども。
コロナ前からDuolingoでフランス語を継続して勉強しているので、だんだんミュージカルで取り入れられるフランス語表現もわかるようになってきて楽しい。やはりフランス語は教養として知っているべき言語なのではないかしら。というか、知っているとミュージカルがより楽しくなる。
全体的には、超おすすめ!というミュージカルではないものの、一度はやはり観ておくべきトピックかな、というミュージカルでした。
修士留学からしばらく経ち、今は日本人ひとりの職場でなぜか修行中。現地企業での日常、イギリスの今を備忘録として。