健康保険「組合」、そろそろ見直しの時期?〜年収の壁とのジレンマ
会社に勤める人が加入する健康保険制度には、むかしは政府が、いまは全国健康保険協会が中心に運営している「協会けんぽ」と、会社が独自に運営している「組合健保」と、2種類あります。
歴史が長いのは、実は「組合健保」。
最初は社員の福利厚生から始まった制度なのです。
ですがいまの時代、「組合健保」はデメリットのほうが大きくなってきているように思います。
自主的に解散する組合健保もありますが、もう少し、政府としても整理する方向で動くべきと思います。
全国健康保険協会としても、被保険者が多くなることは事務が大変になり、喜んでとはなりにくいのかもしれません。
ですが、政府がなくそうとしている「年収の壁」に、組合健保は差し障りがあります。
結果、「年収の壁」の認識がひろがり、「年収の壁」を超えたいという人がでても、協会けんぽと組合健保で対応が違うため、国民にとって非常にわかりにくいものとなってしまっています。
最近、立てつづけに2つそんな事例を聞きました。
現在、「130万円の壁」については、健康保険の扶養に入っている人が一時的に年収130万円を超えても、事業主が一時的であることの証明をすれば、引き続き扶養に入れるということになっています。
ですが、その政府の方針に従わないと思われる回答をする組合健保があるのです。
ひとつめは、会社から、扶養に入っている人の年収が130万円を超えるかもしれないが、一時的なので、事業主証明書を出せば大丈夫でしょうか?と尋ねられ、「原則認められません」と答えた組合健保。
ふたつめは、扶養に入っている人の月のお給料が基準額を超えたら、年収に関係なく、扶養から外しますと回答している組合健保。
どちらも、国の健康保険制度という意味では一緒なのに、大事なところで違っています。
組合健保がその強みを発揮できるのは、入社した社員が長く勤めて、その生活や健康を長くフォローできる時代です。
いまのように、入退社の間隔が短い時代には、その強みは発揮しにくくなっています。
経営が厳しい健康保険組合も多いですが、なかなか自分たちからは解散できないところも多いのではと思います。
そういうときに、国が手を差し伸べることもあってもいいのではないでしょうか?