離職票がハローワークから直接届く!マイナポータルの仕組みが来年1月スタート
会社を辞めたあと、次の会社でお給料をもらうまでの生活を保障してくれる公的なしくみのひとつが、ハローワークで手続きする失業給付。
雇用保険のおサイフからもらえる給付です。
その失業給付をもらうために必要なのが、会社が発行する「離職票」。
重要な書類です。
その重要な書類の受け取り方が、来年1月から、今の会社経由からハローワークから直接と、大きく変わるという明るいニュースがありました。
いまの離職票の問題点
現在の仕組みでは、まず、会社が、退職した人について、離職票のもととなる「離職証明書」を作成し、ハローワークに届け出ます。
ハローワークはそれをもとに「離職票」を発行し、会社に渡します。
そして、渡された会社が、それを退職した人に発送して、完了。
そんな流れで、失業給付をもらうための「離職票」は、退職した人の手元に届くのです。
私自身も実務担当者として、離職証明書をたくさん作成してきましたが、この流れに違和感をもっていました。
退職するということは、定年退職以外、退職者と会社の関係が円満なケースは少ないと考えられます。
それなのに、退職者にとって大事な生活保障の手続きが、辞めた会社の手にゆだねられているのです。
会社がよろこんで離職票を発行するとはあまり考えにくいですよね。
もちろん、法律で、希望者には発行しなければならないことや、期日(退職日の翌々日から10日以内)は決まっていますが、すべての会社が法律をしっかり守ろうとしてくれるわけではありません。
現に、会社がなかなか離職票を発行してくれない、とハローワークに申し立てて、ようやく離職票が発行されるケースもあるくらいです。
離職票の発行が遅れるとどんな影響があるかというと、生活保障である失業給付をもらうのが遅くなるのです。
離職票をもってハローワークに手続きにいってはじめて、失業給付をもらうための時計は動き始めます。
たとえば、会社都合で解雇された場合も、7日間は「待期期間」といって、失業給付をもらう対象にならない期間がありますが、そのカウントもはじまらないのです。
離職票が手元になくても、ハローワークに相談に行けば、離職票が届く前から手続きをはじめてくれるケースもあります。
ですが、その場合も、離職票が届かないと、失業給付は始まりません。
なぜなら、失業給付の金額をきめるお給料の額が、その離職票に書かれているからです。
そんな大事な離職票という書類が、会社側が作成してハローワークに出すところは変更ないものの、ハローワークが発行したら、会社経由ではなく直接もらえるルートができるようになります。
現状の仕組みと比べると、以下の図のような感じです。
来年1月から失業給付の手続きがスムーズに
上の図にある通り、会社を経由してしか受け取れなかった離職票が、ハローワークから直接受け取れるようになります。
これまでは、ハローワークから会社へ渡す時間、会社がそれを退職者に渡す時間がそれぞれかかっていました。
会社でハローワークから受け取った後、少し滞留でもしようものなら、失業給付をもらうまでの時間はその分延びてしまうかたちだったのです。
それが、ハローワークが発行したら、電子でマイナポータルで受け取れるため、かなりのロスタイムがなくなることになります。
失業給付の手続きが大幅に改善されるということです。
ただし条件はマイナンバーカードがあること
ただし、だれでもその仕組が利用できるわけではありません。
条件は、以下の3つを満たすことです。
やはり、ここでもマイナンバーが鍵になります。
健康保険証がマイナンバーカードになり、抵抗感がある方もいると思います。
ですが、マイナンバーカードで利便化をはかることで、こういった行政サービスは確実に早く正確になります。
マイナンバーの持つリスクを気にしないでいいわけでは決してありません。
ですが、少子化で人手不足が解消されるみこみが少ない現代、より良いサービスを受けるためにも、マイナンバーカードをうまく活用していきたいものです。