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個人住民税を地方税法からまなぶ⑨普通徴収編、一括納付するとごほうびがある? #0065/1000

さて、普通徴収のつづきです。

前回、「納税通知書」で住民税をあつめることを「普通徴収」という、ということを確認しました。

では、その「納税通知書」はいつ手に入るのでしょうか?

以前、退職したひとは、会社からの天引きから、普通徴収に切り替わるというお話をした時に確認しましたが、住民税は納期、納める回数と時期が地方税法で定められています。

(普通徴収に係る個人の市町村民税の納期)第三百二十条 普通徴収の方法によつて徴収する個人の市町村民税の納期は、六月、八月、十月及び一月中(当該個人の市町村民税額が均等割額に相当する金額以下である場合にあつては、六月中)において、当該市町村の条例で定める。但し、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる。

年4回、6月、8月、10月、翌年1月が納期です。

つまり、決められた年税額を、年4回で払うことになります。

給与天引きの場合は12分割なのが4回、つまり3ヶ月ぶんをまとめて払うのですから、かなりの高額になりそうだということがわかります。

支払うのが大変そうだと思いますが、なんと、その全4回を前倒しで払った場合のごほうびについても、地方税法では触れています。

(個人の市町村民税の納期前の納付)第三百二十一条 個人の市町村民税の納税者は、納税通知書に記載された納付額のうち到来した納期に係る納付額に相当する金額の税金を納付しようとする場合においては、当該納期後の納期に係る納付額に相当する金額の税金をあわせて納付することができる。2 前項の規定によつて個人の市町村民税の納税者が当該納期の後の納期に係る納付額に相当する金額の税金を納付した場合においては、市町村は、当該市町村の条例で定める金額の報奨金をその納税者に交付することができる。但し、当該納税者の未納に係る地方団体の徴収金がある場合においては、この限りでない。3 前項の報奨金の額は、第一項の規定によつて納期前に納付した税額の百分の一に、納期前に係る月数(一月未満の端数がある場合においては、十四日以下は切り捨て、十五日以上は一月とする。)を乗じて得た額をこえることができない。

ちょっと引用が長いですが、ここで言っていることはこういうことです。

・納期がきたものを払う時は、このあとの納期分の金額もいっしょに払うことができます。
・まだ納期がきていないぶんまで払った場合は、市町村はその人に報奨金を払うことができる(!!)
ただし、他の地方税(自動車税など)に未納がない場合。
・報奨金の金額は、納期が来る前に払った金額をベースとして、その1パーセントに、納期までの月数を掛けた金額が最大。

税金はどうせ払わなければいけないもの。

まとまったお金が用意できるなら、前倒しで払えば税金が安くなる!いい制度だ!

と、ぜひ活用したいところですが、条文をよくみれば「交付することができる」とあります。

つまりは、市町村で任意に決められるのです。

結果、残念ながら現在は、ほとんどの市町村が行っていないようです。

和歌山市のホームページにはこうありました。


「前納報奨金は、普通徴収分の個人住民税を、第一期の納期限内に全期分を一括して納付した場合等に一定の割合で交付するもので、地方税法第321条第2項及び市町村の条例に基づき、一部の市町村で実施されています」

一部で実施されている、ということは、ほぼ実施されていない、ということ。

でも、いま普通徴収で納めているかたは、ご自分のお住いの市町村が、この一部にあたるかどうか、念のために‪確認してみる価値はありそうです。

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