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個人住民税を地方税法からまなぶ③住民税の天引き方法 #0051/1000

前回の②では、市区町村が、
・個人に給与を支払うもので、所得税を天引きするものに対して「特別徴収義務者」であるという指定をし
・住民税を特別徴収(天引き)するために、個人の住民税の年額を5月31日までに知らせる
という話をしました。

今回③では、その住民税の年額をどう給与天引きするかについてです。

計算した結果の住民税の年額(これを「年税額」といいます)を、どうやって給与から天引きするか。

たとえば、
・単身世帯
・給与収入が480万円
・年間の社会保険料は449,753円
・生命保険料控除は69,500円
という人(仮にAさん)の場合、特別にプラスアルファの税金がない一般的な市町村だと、年税額は247,500円という計算になります。
(計算方法はまた別途まとめます)

市町村から会社等へは、5月31日までにAさんの年税額は247,500円です、という通知が行くわけですが、ではこの金額、一括で払わなければいけないのでしょうか?

地方税法第321条の5には、その天引きのやり方もちゃんと記されています。

第三百二十一条の五 前条の特別徴収義務者は、同条第二項に規定する期日までに同条第一項後段(同条第六項において準用する場合を含む。)の規定による通知を受け取つた場合にあつては当該通知に係る給与所得に係る特別徴収税額の十二分の一の額を六月から翌年五月まで、当該期日後に当該通知を受け取つた場合にあつては当該通知に係る給与所得に係る特別徴収税額を当該通知のあつた日の属する月の翌月から翌年五月までの間の月数で除して得た額を当該通知のあつた日の属する月の翌月から翌年五月まで、それぞれ給与の支払をする際毎月徴収し、その徴収した月の翌月の十日までに、これを当該市町村に納入する義務を負う。ただし、当該通知に係る給与所得に係る特別徴収税額が均等割額に相当する金額以下である場合には、当該通知に係る給与所得に係る特別徴収税額を最初に徴収すべき月に給与の支払をする際その全額を徴収し、その徴収した月の翌月の十日までに、これを当該市町村に納入しなければならない。

ここでは、以下のように定められています。
・年税額を12で割り、12分の1の金額を、6月から毎月天引きする
・もし年税額が均等割額(以下補足)より少ない金額であれば、最初の月で全額を徴収する
・給与天引きで徴収した住民税は、翌月の10日までに各市町村に支払う。

つまり、住民税の金額は年額で知らされますが、実際に天引きされるのは、分割払いだということです。

12で割り切れない端数は最初の月、たとえば6月にまとめて納めることになります。

月額いくらかは、6月の給与明細とともに会社等より個人あてに知らされる通知に、12ヶ月分記されています。
(以下、様式よりサンプル。右下に月ごとの納付額があります)

総務省ホームページ:https://www.soumu.go.jp/main_content/000397112.pdf

住民税額はかなり大きい金額なので、分割払いはほっとしますね。

でも、それが効かない場合もあります。

それは次回で。

【補足】
均等割:均等割は、個人住民税は「地域社会の会費」的なものであるとして負担を求める個人住民税の性格を反映したもので、通常5,000円(市町村民税3,500円、道府県民税1,500円)※と定められています。
※東日本大震災を踏まえ、地方団体が実施する防災費用を確保するため、2014(平成26)年度から2023(令和5)年度までの10年間、市町村民税・道府県民税ともに500円ずつ引き上げられています。

総務省ホームページ


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