世界標準の年休・有給(年次有給休暇)が驚き!な件~御社もILO基準にしてみませんか?
はじめに
日本の年次有給休暇取得率がかなり上がってきている、という報道をよくききます。
2023年の結果は初の60%超えで騒がれました。
「日本人は休まない」などといわれますが、日本の国民の祝日の数は、世界的にも多いという事実があります。
国際比較をみればわかる通り、日本は、「週休日」(職務専念義務の発生しない日、通常は土日)はほぼ他の国と同じ、「週休日以外の休日」(祝日)は他の国より2倍近く多く設定されています。
違うのがやはり、「年次有給休暇」の日数です。
ここが少ないために、トータルの日数も、ドイツ、フランス、イタリアより低くなっています。
なぜ、日本は有給休暇の取得日数が少ないのか。
日本人は休むことに罪悪感があるから・・・などの精神的な話もよくされますが、そもそも、日本の年次有給休暇の制度が、世界基準と大きく違うことがその理由のひとつです。
1.日本の「労働基準法」では
日本の年次有給休暇は、以下のように「労働基準法」という法律で定められています。
「入社から6ヶ月継続勤務し、全労働日に80%以上出勤していたら、「継続し、又は分割した」10日間の有給休暇を与える」
これが、大原則です。
2.国際労働機関(ILO)基準
では、世界基準を定めている国連の専門機関、国際労働機関(ILO、International Labour Organization)ではどのように提示されているのでしょうか。
ポイントは3つです。
1.休暇は原則として継続したものでなければならない。(分割も可能だが、分割された一部は2労働週を下らない→週5日労働なら10日)
2.休暇給与は先払い(!!)とする。
3.病気やけがによる欠勤日は、一定の条件下で年休の一部として数えないことができる
大事なポイントの3つとも、日本では「非常識」。
えっ!と驚く内容ではないでしょうか?
そもそも、日本では、
1.継続してとることが前提ではない。むしろめずらしい。
2.もちろん、労働した分と合わせて後払い。
3.具合悪いときこそ年休消化のチャンス。
となっています。
労働基準法の内容が審議されていたとき、草案には当初、「使用者に対して継続した6労働日の有給休暇を請求することができる」とあったそうです。
これに、いつの間にか、「使用者に対して継続し【又は分割し】た6労働日の有給休暇を請求することができる」と、【 】内が鉛筆で書き加えられていたそうで、いまだ、だれの手によるものかは不明だとか。
そもそも、「続けて取る」「前払い」「病気のときに使うものではない」というポイント3つの逆をいっているのが日本の制度。
諸外国の年次有給休暇制度と、名前は同じでも、実態はかなり違うものなのです。
それであれば、年次有給休暇の取得率が低いことも納得ですよね。
3.ILO基準を「ウリ」にする
ですが、会社は、年次有給休暇の制度として、このILO基準を採用し、独自ルールとして定めることができます。
なぜなら、法を下回ることは違反でも、上回るのは自由だからです。
人手不足の時代、こんな提案はいかがでしょうか?
・うちの年次有給休暇は、基本連続してとってもらいますよ。
・その長期の年次有給休暇ぶんは、もちろん前払いです。
・病気で年次有給休暇をつかうなんて、もったいない!疾病の場合は別の特別休暇があります。
「うちは日本の法律のワクをこえ、国際基準でやっています」
なんてことにしたら、「面白い!」と思ってくれる求職者がいそうではありませんか?
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