否定形の命令がよくない理由、デッドマンテストとは
ルールを決める時、「○○してはいけません」というかたちにしてしまっていませんか?
この「○○してはいけません」という否定形の命令表現は、ふたつの理由で避けるべきです。
ひとつめの理由は、「◯◯してはいけません」という命令に対して、人間の脳は、まず「◯◯された状態」をイメージしてしまうからです。
たとえば、ピンクの熊をイメージして欲しくない時に、
「ピンクの熊をイメージしないでください」
と言ったら、イメージしないことができますか?
出来ないと思います。
どうしても思い描いてしまうでしょう。
なので、ピンクの熊をイメージしてほしくないときは、
「みどりの熊をイメージしてください」
というべきなのです。
否定形の命令がよくないもうひとつの理由は、何をすべきかが明確にわからないからです。
命令を受けた人に、何をすべきかを明確に伝える表現にするためには、応用行動分析学(ABA)で言われる、デッドマンテストというチェックが有効です。
たとえば、以下ではどうでしょう。
廊下を走らないこと
友達と口論しないこと
宿題を忘れないこと
テレビを見すぎないこと
食事中に飲み物をこぼさないこと
どれも、否定形の命令です。
してはいけないことはわかりますが、何をすべきかはわからないため、守らせる力は弱くなります。
また、脳内には「廊下を走る」ことなどがイメージされてしまいます。
これをこう言い換えたらどうでしょうか?
廊下を静かに歩くこと
友達と穏やかにコミュニケーションを取ること
毎日予定通りに宿題を完成させること
一日に決まった時間だけテレビを見ること
飲み物をゆっくりと静かに飲むこと
これであれば、何をすべきかがはっきりわかりますし、言われたことをそのままやればよいので、脳内も混乱しません。
このデッドマンテスト、屍人テストは、今日参加した日本人事労務コンサルタントグループ(LCG)のイベントで教わりました。
就業規則、なかでも細かいルールを決めることの多い服務規程を作るときには、社員にわかりやすく、守りやすいルールにすべきということです。
デッドマンテスト的な表現になっていないかは、AIにもプロンプトで設定することでチェックしてもらえるとのことなので、積極的に試してみたいものです。
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