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個人住民税を地方税法からまなぶ⑪住民票がどこにあるかに要注意!#0086/1000
引き続き、個人住民税のお話です。
6月からの新税額の手続きを調べていると、なんと住民票がどこにもない人がいることがあります。
給与を支払う会社は、社員の昨年1-12月の給与収入を毎年1月に市区町村に届け出る義務があります。
これは地方税法317条の6に定められています。
第三百十七条の六 一月一日現在において給与の支払をする者(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この節において同じ。)で、当該給与の支払をする際所得税法第百八十三条の規定により所得税を徴収する義務があるものは、同月三十一日までに、総務省令で定めるところにより、当該給与の支払を受けている者についてその者に係る前年中の給与所得の金額その他必要な事項を当該給与の支払を受けている者の同月一日現在における住所所在の市町村別に作成された給与支払報告書に記載し、これを当該市町村の長に提出しなければならない。
この時、その社員についての給与のデータをどこの市区町村に届出るかというと、「給与の支払いを受けている者の同月(1月)1日現在における住所所在の市町村」です。
そうして届け出たのに、6月になっても新しい税額の通知が来ないことがあります。
その時、うちは給与データを届け出た市町村に、問い合わせをしています。
その結果、「その人はいまはうちに住民票がないので、課税していません」と言われることがあります。
この場合は、その社員に、住民票がどこにあるのか確認してもらうのですが、なんと、「引っ越しで転出届を出したが、どこにも転入届を出していない」という人がいるのです。
住民基本台帳法には、以下の定めがあります。
第五十二条 第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出に関し虚偽の届出(第二十八条から第三十条までの規定による付記を含む。)をした者は、他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き、五万円以下の過料に処する。
2 正当な理由がなくて第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出をしない者は、五万円以下の過料に処する。
第二十二条 転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下この条及び第三十条の四十六において同じ。)をした者は、転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項(いずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者にあつては、第一号から第五号まで及び第七号に掲げる事項)を市町村長に届け出なければならない。
第二十三条 転居(一の市町村の区域内において住所を変更することをいう。以下この条において同じ。)をした者は、転居をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。
第二十四条 転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない。
虚偽の届け出をしたものはもちろん、「正当な理由がなくて」届け出をしなかった場合も、最高5万円の罰金が取られる可能性があります。
会社としては、引っ越しをした社員から通勤交通費の変更の連絡があったら、住民票の処理はちゃんと行っているか確認しておきたいところです。
地方税の手続きのためにも。