人事担当・給与計算担当のかた、令和6年の所得税改正、定額減税以外も要チェック!note767日目
国税庁より、「令和6年4月源泉所得税の改正のあらまし」が公開されました。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0024004-044.pdf
1.法改正内容を把握しておこう
既存の給与計算システムを利用している会社は、ほぼ、ベンダーさんが法改正対応してくれるかと思います。
ですが、法改正の内容がちゃんとしているかのチェックはやはり個々の会社として行なうべきですし、社員からの問い合わせ対応のためにも、内容はおさえておくことが大事です。
こうして大本丸の国税庁がまとめてくれていますので、もれなくチェックしておきましょう。
同僚にも「今年のまとめ、出ましたよ」なんてシェアできたら素敵かもしれません。
2.令和6年の改正、会社としての対応は?
令和6年の税制改正といえば、定額減税、あの批判不満しか耳にしない改正が、何より大きいものになります。
とはいえ、それだけではありません。
制度の根本から大きく変わるような改正はありませんが、今年の法改正は、以下の2点からチェックが必要です。
①対応内容が令和5年より前に決まっているものもある
②システム対応ではなく社員対応が必要なものがある
①対応内容が令和5年より前に決まっているものもある
今回のまとめに掲載されている改正は11。
そのうち、一般の人事担当・給与計算担当が把握しておくべきは定額減税をいれて4つです。
そのうち、2023年12月に公表された税制大綱より前に決まっていたものが2つあります。
加入している生命保険料の保険料について、年末調整で所得税額に配慮をしてもらうための書類と、会社員は毎年年末年始に会社に出している家族の状況の書類のふたつについて、より簡単な手続きにしようというものです。
このふたつの変更は、令和5年度の税制大綱で提案され、決まったもので、準備期間が必要だということだからか、1年越しで行われることとなりました。
ブランクをあけてひょっこり出てくるこういぅた改正は、チェックしもれないよう要注意です。
②システム対応ではなく社員対応が必要なものがある
今回、一般の人事担当・給与計算担当が把握しておくべき法改正4つのうち3つは、社員への説明が必要な場合がある内容です。
外れたひとつは、住宅借入金等特別控除に関するもの。
これは、その制度を利用する当事者が初回に確定申告をすることにより、税務署が今後の年末調整用の書類を作成してくれるものなので、会社としては出された申告書の内容をチェックすれば済むものです。
残る3つ、定額減税、保険料控除証明書の内容、扶養控除申告書の内容は、どれも担当者が理解しておくべき内容です。
定額減税については複雑なので、こちらをご参照ください。
残るふたつは、「これまでよりラクにしよう!」がコンセプトです。
1)年末調整の保険料控申告書について
その保険料に受取人などで登場する家族との続柄(妻、夫、子、父、母など)を、書かなくてもよいことになりました。
2)扶養控除申告書について
自分や家族の状況が前の年と比べて変更がない場合は、「特に変更なし」と記載すればいい、ということになりました。
これまでは、家族の勤務状況や収入に変更がなくても、毎年家族の名前や収入見込みを書いてかならず出すべきもの、出さないと高い所得税率(乙欄)で計算しますよ、ということになっていました。
これらは、必須項目ということで、これまでベンダーさんも収集データにカウントしていたものだと思います。
それが、どちらも収集項目が軽減されるといことになります。
年に1回しか出さない書類なので、内容が変わっていることに全く気がつかない人も多そうです。
一方で、細かく気がつく人はいるもの。
それに、扶養控除申告書を、「昨年と変更のない人は「変更なし」にチェックでいいですよ」とアナウンスしようものなら、「昨年はどうでしたっけ?」と聞いてくる人が一定数いるはずです。
夫は会社でフルタイム勤務、妻は家を守り子供を育てる、という定型のあった時代と、今は違います。
夫と妻との収入にさほど差がなかったり、転職しては子の扶養を付けかえたりすることも普通にありうる時代なのです。
そんな時代に「昨年と変りなければ」と言っても、問い合わせがくることは必至です。
なぜそういった対応の変化があったのかを説明できるようにしておくことが必要ですし、あるいは、そんな問い合わせがくるようなら、「うちではこれまで通り昨年と変わっていてもいなくても申告書を出してもらう」などと、会社としての対応を決めておくことも大事です。
これは、続柄が省略できる保険料控除申告書についても同じことが言えます。
必要のない個人情報を社員から集めるべきではありませんが、年1回、保険料控除申告書を確認することで、家族の状況がわかるケースもあるもの。
法改正はあくまで「記載を要しない」であって、「記載してはならない」ではありません。
このあたりも、あらかじめ社内で確認しておくことが必要なことではないでしょうか。
さいごに
扶養控除申告書の運用変更については、2024年6月上旬頃に、改正後の「給与所得者の扶養控除等申告書」の取扱いについて説明した「簡易な給与所得者の扶養控除等申告書等に関するFAQ(源泉所得税関係)を国税庁ホームページに掲載予定とのこと。
資料がでる6月から、会社としてどう対応するか準備しておけば、年末まで準備期間はたっぷりです。
もう年末調整?!などと言わず、新しいシステムを入れようと思ったら、見積もりから決裁の動きを考えても、この夏までが勝負です。
早め早めの動きがおすすめです。
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