個人住民税の後払いが変わる?〜個人住民税検討会が考え中
総務省の「個人住民税検討会」が、今年は本腰をいれて個人住民税の仕組みを変えることを検討しはじめたようです。
具体的には、いまの後払いの仕組みをやめよう、ということ。
いまの個人住民税は、去年の収入について今年税金を納めるという後払いのかたちですが、これを、ちゃんと収入のあった年に納めるという「現年課税」にしようというのです。
所得税がみなしで税金をあつめて、年末に年末調整で確定させる、それと同じ考え方でやろうということです。
なぜそんな変更が必要かというと、いまの仕組みが税金の考えかたとあっていないことと、現実にも合わなくなってきているからです。
1.税金の考え方と合っていない点
税金の考え方として、応能負担というものがあります。
その人の税金が払える力に応じた税金を納めてもらう、という考え方です。
収入が多い人にとってはちょっと厳しい話
ではありますが、収入が少ない人に多額の税金は納められないので、なるべく多くの人に少しずつでも払ってもらうためにも必要な考え方です。
その「応能」を考えると、所得発生の時点と税の徴収の時点との間は、できるだけ少なくする必要があります。
なぜなら、去年は大企業の部長クラスでばりばり働いていた人が、翌年は年金生活で収入激減なんてこともありますし、そうでなくても、前の年と翌年の状況が大きく変わることはだれだってあるからです。
ですが、いまの個人住民税は、約半年のずれがあるため、その税金の考えかたを満たしていません。
それは国もわかっていて、なんと1968年、昭和43年の政府税制調査会から、個人住民税は所得発生の時点と税を納める時点が離れているのが問題だ、とされていました。
2.現実にあわない点
昔とくらべ、いまの世の中の働き方にはいろいろなパターンがあります。
パートタイマーやアルバイト、いまやデイワーカーの人もいますし、フリーランスの人も増えています。
むかしの終身雇用が主流の時代は、その年1月、市町村に去年の収入を給与支払報告書で届けた会社あてに、6月からのお給料で個人住民税を天引きして納めてね、というやりかたはスムーズでした。
ですがいまや、1月に給与支払報告書を届けたあと、もう退職している社員も大勢います。
そんな退職者についての手続きは、市町村にも会社にも負担でしかありません。
外国人雇用者も増えていますが、昨年1年しっかり働いていたひとが、翌年5月までに日本を出国した場合、その収入ぶんの個人住民税を納めてもらうことはできません。
いまの個人住民税の仕組みは、税金の考え方とも、現代ともあっていないのです。
3.じゃあどうする?
これまでも、個人住民税の後払いを変えることについては、長年かけて話し合いがなされてきています。
いちばんの難点は、会社と市区町村の事務負担。
そのネックポイントが、マイナンバー普及によってハードルが下げられつつあります。
これまで、この個人住民税の現年課税については年1、2回話し合われる頻度だったのが、今年は6月から8月まで毎月話し合われる予定とのこと。
いまはマイナンバー信用できない!コールがにぎやかですが、マイナンバーを全く使わずにこういった改革はできません。
批判すべきところはちゃんと批判しつつ、利用できるところは利用する姿勢でいきたいものです。
個人住民税の後払いがもし変更になれば、お仕事を辞めた翌年の住民税で苦しむこともなくなりますよ。